書籍・雑誌

2019/04/14

久保亮吾『ホスピタリティを育てる物語』

以前勤めていた出版社で編集制作を担当した『サービスマインドをたかめる物語』という本があります。その出版社ではたくさんの本の編集制作を担当しましたが、そのなかでも個人的に思い入れが強く、テーマも内容も仕上がりも気に入っている本のひとつです。

残念ながら以前勤めていた出版社は現在は事業を縮小しており、この本もおそらく、現在の在庫がなくなったら、増刷されずに市場から消えていってしまう運命でした。それがとても残念でした。

しかし、出版社と著者の久保亮吾さんとのあいだで話しあいが行われ、『サービスマインドをたかめる物語』はこのまま自然消滅的になくなっていってしまうけれど、その代わりに別の出版社から、新たにリメイク版が発行されることになりました。そうしてできたのが『ホスピタリティを育てる物語』です。『サービスマインドをたかめる物語』をもとに文章やイラストを時代に合わせて修正・調整し、新たなコンテンツも加えて、装いも新しくリメイクされました。

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『サービスマインドをたかめる物語』は、文章を極力シンプルにして、見開き2ページのうちの左ページは基本的にイラストにし、読者さんに言葉で理解してもらうよりも感性に訴えかけるような内容をめざしました。言ってみれば、サービスパーソンになったばかりの人に向けた絵本のような本でした。

リメイクされた『ホスピタリティを育てる物語』は、根底に流れるものは変わりませんが、絵本というよりは、より書籍らしい内容になっているように感じます。

書籍のサイズがA5判から四六判になったこともあり、いくぶんテイストは変わりましたが、このまま消滅してしまうのかと残念に思っていた書籍がリメイク版となってこの先も残っていくことになり、オリジナル版の編集担当としてはやはりうれしいです。リメイク版を作ってくださった編集者さんと出版社さん、そして著者の久保亮吾さんに感謝。

 

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2018/09/02

平野啓一郎 『最後の変身』


読み切るのがすごく苦痛だった。途中の、カフカの『変身』の解釈部分はなるほどなどとも思ったけど、基本的には自意識ばかり強くて、だけどなににもなろうとせず、けっきょくなににもなれなかった主人公が、なれなかった理由を自分以外のせいにして、ひたすら愚痴と文句と泣き言を一見、理論的な感じで書き散らしているだけで、こういうことはティーンエイジャーのうちに終わらせておこうよというようなことを社会人2年目に引きこもりになったいい大人が言っているという設定がもうきつい。そして最後はインターネットを使って不特定多数を自分の愚かさに巻き込んで不快にさせてやろうという思考形態も勘弁してほしい。こういう感じの思考や行動の形態をインターネット上で見せる人はときどき実際に見かけるように思うが、人目につかないところでひとりでやってかってに朽ち果ててろよと思う。



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2018/04/22

アーネスト・ヘミングウェイ 『老人と海』

なんだろう。いまでは年老いて、漁もうまくなっている老人が、いつもより遠くの海にまで出かけ、これまでに出合ったことのない大きなカジキと数日にわたる戦いをし、ついには釣り上げたのだけど、港に戻る途中でサメに襲撃され、釣ったカジキをすべて食べられてしまったという、ストーリーとしてはなんということのない話だし、カジキとの戦いのなかでの回想は「むかしは俺もすごかった」という過去の栄光のフラッシュバックだし、なにより帰り着いたときには獲物はなしで漁としては大失敗で終わる物語なのに、読後感がなんか清々しいんだよな。だから、ときどきまた読みたくなる。なんかよくわからないけれど、また読みたくなる。





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2017/11/29

Obscured by Pink / Confessions (2009)


グループ名や曲名などからも、きっとPink Floydが大好きな人たちなんだろうなぁと思ったけれど、曲を聞いたら予想どおりでした(笑)
プログレッシヴ・ロックというほどプログレッシヴではなく、アート・ロックやサイケデリック・ロックのような雰囲気も漂わせつつ、あちらこちらにPink Floydの曲へのオマージュというかリスペクトというかパクリもどきというかが散りばめられてて、なんだか微笑ましくて半笑いになります。



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2013/02/14

チャオ・アモーレ・イタリア


懐かしく感じる人にはすごく懐かしい
イタリアン・ポップスのミニコミ誌
「チャオ・アモーレ・イタリア」や
「LA STAGIONE DELLA MUSICA」が
楽天オークションに出てますよ。

チャオ・アモーレ・イタリア No.1

チャオ・アモーレ・イタリア No.2

LA STAGIONE DELLA MUSICA INVERNO

LA STAGIONE DELLA MUSICA PRIMAVERA

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2012/10/20

人生で大切なことはみんなマクドナルドで教わった

う~ん、なんか惜しいな。

一つひとつのエピソードは参考にもなるし、ある意味で感動的でもある部分が多いのだけど、一緒に働く店長やスタッフたちから「教わった」といっておきながら、どのエピソードもその背後に「こんなことできた俺、すごいでしょ!」「みんなが協力してくれる俺、人望あるでしょ!」「こんな好成績をあげられる俺、立派でしょ!」という自己顕示欲というか自己礼賛意識というか自己承認欲求の強さのようなものが見え隠れしてる。

タイトルがよく似た本に、10年くらい前に発行された『社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった』というのがあるのだけど、この本では、えらくて立派なのはいつも「著者のまわりにいる人」で、自分を育ててくれた「まわりの人たちへの賞賛」にあふれてた。「自分がこんなすごいことをやった」というような内容はなくて、だからおもしろく読めたし、読後感もさわやかだった。

それに対し「マクドナルドで教わった」のほうは、まわりの人を褒めているようでいて、実際は自分自慢の要素が強いと感じる。たしかに最初はダメスタッフだったかもしれないけど、「ダメを克服して賞を取れるほどの店長になった俺ってスゲー!」ってところに帰着してる。文章に直接的にそうは書いてないけれど、読みすすめるほどに行間に「俺様えらい!」という意識を感じてしまうんだよなぁ。そのため読後感がさわやかにはならなかった。




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2011/01/27

ホルモー六景

『鴨川ホルモー』のスピンオフ短編集。『鴨川ホルモー』関係者が、『鴨川ホルモー』に書かれたのとは別の場所、別の時間にどんなことをしてたか、を描いたもの。

あくまでもスピンオフなので、本編である『鴨川ホルモー』を先に読んでおいたほうがいい。そもそも「ホルモーってなんだ?」とか、「なんでそんなこといまもやってるんだ?」といったあたりについての詳しい記述は本編にしか出てこない。このスピンオフの読者は当然、そのあたりのことは本編で予習済みが前提になってるから。

また、それぞれのお話には別々の主人公が設定されていて、いちおう、どれも独立したお話としても楽しめるのだけど、物語のなかには本編との関連を示すちょっとした「ヒント」が仕込まれている。主人公のほとんどは本編での主要登場人物とは別の人だけど、本編を知らなければその短編の中だけでしか展開しない物語が、本編を知っていると本編の主要登場人物や本編でのイベントとの関連性が見えてくる。本編を読んでいればその「ヒント」に気づき、スピンオフ物語の背景に一気に厚みが出る仕組み。その点からも、やはり本編を読んでからこのスピンオフ集を読んだほうが楽しさが大きくなる。

さらにこの本、独立した短編として楽しめる話を集めてあると同時に、それぞれの短編のなかに別の短編へのリンクとなる「ヒント」も仕込まれている。本編でのあの時期に別の場所ではこんなことがあったんだを描いた短編の、さらに別の場所ではこんなことも起きていたんだと途中であるいは読後に気づく仕組み。そして収録された短編を最初から最後まで読み終わると、この短編集全体がひとつの輪になってることにも気づく。

個別の短編の中での構成だけでなく、短編と本編をつなぐ構成、短編どうしをつなぐ構成、そして短編集全体としての構成が、非常によく考えられていて、すごいなぁ、この人は。「あの人」がチョンマゲにならなければならなかったのには、本編を読んだだけではわからない、こんな理由があったんだね。



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2011/01/09

かたみ歌


「世にも奇妙な物語」でドラマ化された「栞の恋」の原作が読みたくて。
朱川湊人という作家のことは知らなかったし、この人の作品を読むのも初めて。

物語自体はなかなか魅力的に感じる作品もあったのだけど、文体というか、表現のしかたや言葉の選び方とかが自分に合わないようで、気持ちを乗せられない。だから好きになれなかった。
収録された作品の中ではやはり『栞の恋』が素敵だったけど、原作よりもドラマ版のほうが良いと感じてしまった。

こういう露骨に昭和ノスタルジーを武器にしたような作品って、やっぱり合わないんだな。
自分は昭和にノスタルジーなんて感じない。
舞台や背景に昭和ノスタルジーがないと成立しないような「良さ」には感情移入できない。
テーマの選び方自体は悪くないのに文体の合わなさと露骨な昭和ノスタルジー表現が物語を味わうことを阻害した残念な作品集だった。自分にとっては。


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2010/11/28

■本■ 新人OL、つぶれかけの会社をまかされる


これ、もったいないなぁと思う。

ライトノベル風?(ライトノベルと呼ばれるものを読んだことがないのでわからないのだけど)の物語を読むことでマーケティングの基本的な部分がわかるというスタイルは、自分のようなマーケティング初心者にもとっつきやすいし、「売上が伸びず廃店寸前のレストランを再生させる」というシチュエーションもレストラン企業出身の自分にとって身近だし、わかりやすい。

マーケティング理論の部分についても、もっとも基本的・基礎的なことに絞ってあるそうだが、基礎だからこそシンプルだけど非常に奥深く、なるほどここから出発して広げ、しかし最後にはきちんとここに戻ってくることが重要なのだということがわかる。

物語形式なのですらすら読めるけど、1回読んで終わりにするのではなく、何度も読んで、物語とそのあとにある理論解説を頭の中で何度もイメージづけし、理屈としてだけでなく感覚としても把握・理解できるようになると、かなり役に立つと思う。軽くてポップな文章やストーリーの裏に、それだけの深みや奥行きのある内容だと思う。

なのにこの本、序盤でいきなり校正が甘いんだよ。プロローグで主人公の簡単な紹介があるのだけど、主人公の所属する部署がP3とP7、P8では「新規企画室」なのにP5とP6では「新規事業室」、P9では「新規事業企画室」と、たった7ページのあいだで表記がばらばら。そのあともたしか、本編に入る前の段階で表現のダブリとか校正漏れとかがひとつふたつあったはず。

本編に入ってからは特に気になることはなかったのだけど、本を読み出して早い段階でこうした編集上の凡ミスがいくつもあると、その時点で本全体に対する信用度が下がっちゃうんだよな。その後の内容がいいだけに、こうしたつまらないミスが余計に残念というか、もったいなく感じた。

その点さえ気にしなければ、何度も読むに耐えられる本だし、実用性もあると思う。商品企画や販売戦略を立てるときなど折に触れて読み返し、一貫性と具体性のチェックに使いたいと思った。



新人OL、つぶれかけの会社をまかされる

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2010/10/12

■書籍■ にほんとにっぽん なにが違うの


副題は「知っているようで実は違いがわからない日本語の雑学」となっていて、なんとなく語学系実用書か?みたいな感じがするけど、中身は「日本語」よりも「雑学」の比重が高い。

日常的に見たり聞いたり使ったりしてるけど実はきちんと違いを把握しておらず雰囲気で理解しているような「微妙に似てる感じのこと」を100組集めて、それが見出しになってる。

その見出しの中には「カイロプラクティック」とか「リンス」「トリートメント」「ハリケーン」「ベランダ」「キャッシング」「カーニバル」といった用語もあって、日本語じゃないじゃんとつっこんでおこう。

全項目に図版やイラストが使われている。また、見出し語となる「○○と××の違い」を解説するだけでなく、ところどころに関連した豆知識(たとえば「ラグビーとアメフト」の項には、中世イングランドで行われていた原始フットボールは「村祭り」のようなものでルールとか超テキトーだった、みたいなことがカコミで書いてある)があったりと、娯楽性志向が強く感じられる。その点でも、いわゆる雑学本、ネタ本なんだろう。

「日本語の雑学」という言葉から、より言語学的な、あるいは辞書・辞典的な内容を期待すると、きっと大はずれ。そういう人は類語辞典とか語源辞典とか、あるいはPHPの『言葉の「違い」がわかる本』とかを読んだほうがいいだろうし、実際の役にも立つだろう。

それに対してこの『にほんとにっぽん なにが違うの?』は、基本的になんの役にも立たないと思う。役には立たないけど、100集められた項目のうち「なにが違うのか」を知っているものがどれだけあるかというと、自分は半分もなかった。というか、3割くらい... そういう意味では発見があったし、そうした「どうでもいいといえばどうでもいい知識」を得てひとり満足するのが雑学本を読む楽しみでもある。

なかには「保育園は児童福祉法が根拠にあるので厚生労働省の管轄、幼稚園が学校教育法が根拠にあるので文部科学省の管轄」のように、ちょっとばかり高尚?な「ここが違う」もあるし、ピラフとチャーハンはどちらもインドの「プラーカ」という料理が起源で、シルクロードを通ってトルコに渡ったものは「ピラー」と名を変え、それがフランスに渡ると「ピラフ」に、スペインに渡ると「パエリア」になり、さらにスペインからアメリカへ渡って「ジャンバラヤ」になった一方、トルコに行かずペルシャ人により中国へ渡ると「炒飯」になり、それを遣唐使が日本へ伝えたなどという、飲み会や合コンで使えそう?なうんちくネタもあったりする。

扱い対象がニュースなどで聞く用語から身近な生活用語、食べ物までと幅広く、その点でもムダな知識に興味や愛着を持つタイプの人には楽しいはず。ていうか、あたしゃこういう直接なにかの役には立たないけど思考や知識や理解に厚みや深みを持たせてくれる(かもしれない)ものが大好きです。

にほんとにっぽんなにが違うの?

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言葉の「違い」がわかる本

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