国:カナダ

2007/07/12

RUSH / MOVING PICTURES (1981)

多くのプログレッシヴ・ロック・ファンから高い人気と尊敬を集めるカナダのRush(ラッシュ)。でも自分は、あまり彼らの曲が好きではありません。いちおう自分も以前は熱心なプログレッシヴ・ファンの端っこにいたので、初期から1980年代くらいまで、おおかたのアルバムは聴いた(はず)なのだけど、なんかね、彼らの曲って、聴いてるといらいらしてくるんですよ、なぜか。

演奏はもうありえないくらいにうまいし、アンサンブルは3ピースのロック・グループの限界を軽く超えまくってる。ごく自然に素直にそうとあまり意識させずに軽がると変拍子を奏でる。それらの点は、素直にすごいと思います。かっこいいとも思います。Geddy Lee(ゲディ・リー)のヴォーカルはかなり個性的な声だけど、べつに嫌いじゃありません。でも曲自体が、どうもね、好きになれないんです。たぶん、いわゆる「歌心」とは別の方向を向いた曲づくりがされているのだろうな。

そんなわけで、CDを持っていてもあまり聴かないグループなのですけれど、このアルバム『Moving Pictures』だけは、ちょっと違うのだな。M1「Tom Sawyer」のかっこよさったらありません。なにかが宇宙から降りてくるかのような「ぴしゅぅぅぅぅ」というイントロのキーボード1音がスピーカーから流れてきた瞬間から、妙にひきつけられてしまう。その後の宇宙的な広がりを感じさせるエレキ・ギターのテンション・コードもたまりません。コズミックな空間を感じさせつつ、ゆるゆるのシンフォ風には絶対ならない素晴らしくタイトなリズム、ギター以上にフレーズを奏でまくるベース、変なギター・ソロ、それら全体を含めたアレンジやアンサンブルのどれをとってもめっちゃカッコイイ。

思えば自分がはじめて聴いたRushのアルバムがこの『Moving Pictures』でした。そして「Tom Sawyer」にしびれてRushっていいかもしれないと他のアルバムを試してみては「あれ?」、別のアルバムを試しては「あれれ??」となり、いまに至るという感じです。

ちなみにこのアルバムも、「Tom Sawyer」とM3「YYZ」は非常にグッとくるのですが、あとはM4「Limelight」がちょっといい感じな以外、他の曲はあまり自分にはアピールしなかったりします。






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2007/05/18

ALDO NOVA / ALDO NOVA (1982)

1982年、「Fantasy」という曲でアメリカのヒット・チャートに彗星のように現われたカナダ出身のマルチ・ミュージシャン、Aldo Nova(アルド・ノヴァ)。Novaという名前どおり、当時は期待の超新星と話題になったものでしたが、やはり彗星のように、こちらに向かってくるとき以外はたいして話題にならず、気がつくと音楽シーンのメイン・ストリームからいつのまにかいなくなってましたとさ。

このアルバムは、話題となった「Fantasy」をアルバム冒頭に収録したAldoのデビュー作。良くも悪くも1980年代のアメリカン・ロック的な曲というか、そのころに学生時代をすごした洋楽ファンには懐かしい『ベストヒットUSA』でいかにも紹介されそうな感じの曲ばかりが収録されています。明るく爽やかで、元気で、ほどよく都会的な洒落た感じや哀愁があって、きれいに歪ませたエレキ・ギターが小気味よいリフを刻み、ちょっと薄いけれどきらびやかなキーボード・サウンドが彩りを添える。あぁ、なんてイタリアン(カナダ人だけど)。

彼はギターとキーボードを演奏するだけでなく、たしか作曲とプロデュース、エンジニアリングも自分でしてたように思うのだけど、それゆえか、全体にAldoらしさがいきわたっているというか、細部まで丁寧につくりこんだのだろうなぁというのが感じられると同時に、意外とこじんまりした枠の中に納まっちゃってるなぁという印象も受けます。曲調やリズムなどにはそれなりのヴァリエーションがあるのだけど、どれも粒が揃いすぎてて、スリリングさに欠ける感じ。その粒も、どちらかというと小粒だし。

彼の弾くギターがバックでもソロでも大きくフィーチャーされている曲が多いのですが、あの時代のギタリストはみんなそうだったのか、それともAldoが几帳面な性格なのか、ギター・ソロで奏でられる音符がどれも生真面目に拍と小節にきれいにオン・リズムで並んでいて、これもまたスリリングさを欠く要因になっているように感じます。逆にいえば、非常に素直なフレージングとリズムどりで、安心して聴いていられるとはいえるのだけど、もう少しシンコペーションとかリズム崩し、ポリリズム的な要素がロックのギター・ソロにはほしいなぁと思ってしまう。

そういった生真面目さは歌メロや全体の構成にも感じられて、どれもわかりやすく、非常に素直。そこがあのころのアメリカン・ロック(カナダ人ですが。しつこいな。笑)のよさ、楽しさでもあるのだけど、曲が素直で単純な分、たとえばサビとかに一発で印象に残るようなキラー・メロディがほしいところ。残念なことにAldoの曲には、キャッチーで印象的なキラー・メロディが不足気味で、それがこのアルバムを「当時よくあったアメリカン・ロック」の中に埋もれさせてしまっているように感じます。

このアルバムの後もAldoは音楽活動を続け、自身のアルバムは5枚ほどあるようですが、どちらかといえばプレイヤーやソングライター、プロデューサーとしての活動が中心になっているようです。Jon Bon Jovi(ジョン・ボン・ジョヴィ)Celine Dion(セリーヌ・ディオン)のアルバムなどで彼の名前を見つけられるらしい。

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2006/08/16

CIRQUE DU SOLEIL / DRALION (1999)

2007年に日本初上演が決まった「Dralion」のサウンドトラックです。

カナダ・モントリオールを本拠地とするサーカス・パフォーミング・アート集団、Cirque du Soleil(シルク・ドゥ・ソレイユ)は、肉体を駆使したアクロバティックなパフォーマンスと幻想美やドラマを感じさせるアーティスティックなステージングでよく知られていますが、そのステージで生演奏される音楽もすべて彼らのオリジナルです。その音楽は、もはや「サーカスのBGM」の枠を完全に凌駕し、彼らのステージ同様、非常にクオリティの高いものになっています。これまでに日本公演のあった「Saltimbanco」「Alegria」「Quidam」といった作品のサントラも、音楽だけで充分以上に「アルバム」として楽しめるもので、自分はかなり気に入ってます。とくに『Alegria』は、ヨーロッパ的な哀愁とドラマ性が存分に感じられ、クラシカルでシンフォニックな趣もあり、ある種のプログレッシヴ・ポップスともいえる、かなりよいアルバムでした。

でも、この『Dralion』は、ちょっとなぁ。

「Alegria」などは、どことも知れないヨーロッパ(西洋)が舞台でしたが、「Dralion」はアジア志向。中国で幸運のシンボルとされるライオンと西洋の竜(ドラゴン)が合体したドラリオン(Dralion)がテーマなのです。そのためもあってか、音楽もどことなくエスニック。さらに、そのエスニックさが、東洋風というよりは、アラブやエジプト、あるいはアフリカ風だったりするところに、西洋人らしいある種の誤解を感じます。で、その誤解と彼らのルーツである西洋音楽が、『Alegria』などでのように上手に融合できてはいないように感じるのです。アレンジも、演奏も、なんか、どこかとってつけた感がある。

ショーとしての「Dralion」は、Cirque du Soleilの代表作のひとつともいわれているようで、きっと他の演目と同様に素晴らしいものなのだろうと思います。その舞台を盛り上げる音楽としては、きっとこれらの曲も効果的なのだろうと思います。ただ、音楽だけを取り出して「アルバム」として聴くには、ちょっと安易で退屈な印象を受けてしまいました。一定のレベルにはあるのだけど、音楽作品としての『Alegria』『Saltimbanco』などのレベルには及ばないように思います。


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2005/11/17

SAGA / FULL CIRCLE

カナダのヴェテラン・プログレッシヴ・ハード・グループだそうです。プログレッシヴ・ハードとハード・プログレッシヴの違いがよくわからないのだけど、プログレッシヴ・ハードはプログレッシヴな“ハード・ロック”、ハード・プログレッシヴはハードな“プログレッシヴ・ロック”という理解でいいかしら。もしそうだとしたら、Saga(サーガ)のベースは“ハード・ロック”ということになりますが。

そう考えると、まぁ納得の音です。というか、ぜんぜんプログレッシヴな匂いがしません。普通の、ありきたりのハード・ロック。1980年代から90年代くらいにかけて一部の音楽ファンからある種の侮蔑表現として使われていた「産業ロック」というジャンル?がありますが、当時のメジャーな産業ロック・グループ、たとえばStyx(スティクス)とかJourney(ジャーニー)とかForeigner(フォリナー)とかGiufflia(ジェフリア。つづりこれでよかったっけ?)とかのほうが、よっぽどプログレッシヴな匂いをまとってます。

では、ハード・ロックとしてはどうなのかというと、これまた普通でありきたり。テクニック的にもアヴェレージという感じだし、ハードさやドライヴ感といったものは弱いし。カナダといえばRush(ラッシュ)やTriumph(トライアンフ)など、ハードでテクニカルで、かつプログレッシヴなニュアンスも持っていてというグループがまず思い出されるのだけど、彼らの前ではSagaはえらく見劣りします。

そもそもね、楽曲に魅力がないのがいちばんの問題だろうな。曲の構成が単純なのに、印象的なメロディがないから、記憶に残らない。リズム・パターンも単調で、曲のなかでのドラマ性が希薄。アレンジも演奏技術も並。ファンの方には申し訳ないけれど、自分には雰囲気だけのキーボード入りハード・ロックという印象しか残りませんでした。

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