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2023/03/11

『白鯨(Moby Dick)』(1956年・アメリカ)

監督:ジョン・ヒューストン John Huston
出演:グレゴリー・ペック Gregory Peck 他

有名だけど観たことのなかった作品。原作小説も未読で、船乗りのあいだで伝説的に語られる巨大な白クジラ・Moby Dickを仕留めることに執念を燃やす老船長の話……くらいの知識しかなかった。
舞台はエイハブ船長が指揮する捕鯨船で、ストーリーはMoby Dickを追跡し闘うことと、ある意味では単純なものではあるのだけど、船長はエイハブ(アハブ)だし語り手はイシュマエルだし出航前にはイライジャ(エリヤ)という名の予言者がちょっと登場するしと、聖書との関連というか影響というかがあちらこちらにうかがえる。
そうすると、圧倒的な力を持ち多くの船乗りから恐れられる巨大な白鯨は、もしかしたら神のメタファーかもしれないし、それに挑もうとするエイハブ船長やPequod号の船員たちは異教徒、異端者のメタファーであり、滅ぼされて当然、そしてその力を伝えさせるためにイシュマエルを生かしたのか。あるいは、多くの船乗りの命を奪った白鯨は悪魔のメタファーで、それを滅ぼそうと最後まで闘ったエイハブ船長や船員たちは殉教者なのか。
などと深読みもしたくなるが、大長編らしい原作小説(核となるストーリーから逸脱した記述も膨大らしいが)を2時間弱の映像作品にまとめたためか、意外とあっさりした印象が残った。エイハブ船長とスターバック一等航海士がなぜあそこまで信頼し合っているのか、その背景がもう少ししっかりわかるように描かれていたなら、Moby Dickに執着するエイハブ船長をあれほど諫めていたスターバックが、エイハブ船長の死を目にして帰還を望む船員たちをたきつけ、自ら先頭に立ってMoby Dickに立ち向かっていくシーンに、もう少し納得感があったかもな、とか思う。
古い映画なので、映像に登場するMoby Dickはなかなかの作り物感があるが、捕鯨に向かう帆船はPequod号も含めておそらくみな実物なのだろう。大海原を進む帆船はやはり美しい。



白鯨 DVD


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