江戸川乱歩 『悪魔の紋章』
猟奇的な趣はなかなか良いのだけど、、、、
ちょっとネタバレっぽい記述をするので、ここでいったん、広告を挟みます。
「ネタバレ困る」という方は、ここから先は読まないほうがいいかも。
江戸川乱歩で探偵ものといえば、活躍するのは名探偵・明智小五郎ですが、本作では明智探偵に勝るとも劣らない推理力でこれまでに数々の難事件を解決し警察からの信頼もあつい法医学の権威で民間探偵の宗像隆一郎博士が、猟奇的な事件を解決すべく奔走します。
発生する事件や、犯人の動機、それに死体の扱い方とかは、なかなかにエグくて良いです。
ただ、探偵小説としては、なんというか、禁じ手ではないかしら。映画『ソウ(SAW)』 の1作目的というか。
「すべての不可能を消去して、最後に残ったものがいかに奇妙なことであっても、それが真実となる」というのはシャーロック・ホームズのセリフだったかと思いますが、この作品でも、発生する事件のそれぞれにおいて「不可能」ぽいことを消去していくと、あぁ、この人が犯人かなぁというのが途中でなんとなくわかります。
そのこと自体は、読者が探偵の気持ちになって物語を楽しむうえで悪いことではないのですが、その結果、残ったもの=犯人がこの人なのかってところで「それは反則じゃね?」という気持ちになり、いや、まだひとひねり、ふたひねりがあるのではないかと期待して最後まで読んだら、やっぱりそれが真実だったときの「やっぱり反則じゃね??」感が強いです。
ていうか、最後にちょろっと出てきた明智探偵がおいしいところ全部もってっちゃった、という話でした。
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