宮崎駿 『風の谷のナウシカ』
ずっとむかし、まだ学生だったころにいちど読んだことがあるのだけど、そのときはまだコミック最終巻が発行されておらず、けっきょく最後までは読まなかった記憶がある。今回、おそらく初めて最後まで読んだわけだが、終盤に近づくにつれて物語が駆け足になっているというか、話を終わらせるために大急ぎでいろいろなものを詰め込んだような、そんな印象を受けた。最初のほうに出てきた腐海や王蟲の描写とかは繊細で美しかったのにな。それと、モノクロ印刷のコミックだと、王蟲の目の色がわからないのが残念だった。
あと、根本的な思想としては、『新世紀エヴァンゲリオン』に似ているように感じる。何度も過ちを繰り返し、争いや略奪に明け暮れるいまの人類を地上から一掃し、より平和的で完成された新しい世界をつくろうとする「誰か」によるノアの箱舟的な計画により、主人公たちが生きている時代に大きな災害が発生し、あと少しでその計画が成就しようとするが、最終的に主人公は完成され完全な調和が得られるであろう新しい世界よりも現状の未完成で不完全な世界で生きていくことを選ぶという流れは、基本的に同じなんだな。
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