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2018/09/02

『出口なし』 (新国立劇場 小劇場)


フランスのサルトルの作品だそうです。主要登場人物は男性1人+女性2人の3人だけで、約80分ほどのコンパクトな芝居でした。演じるのは段田安則、大竹しのぶ、多部未華子。段田さんと多部ちゃんは以前にも舞台を観たことがあるけれど、大竹さんの生舞台は初めてで、それがいちばんの楽しみでした。

ストーリー的には、死んで地獄に落ちた3人が1つの部屋に閉じ込められ、おたがいに批判しあい傷つけあい馬鹿にしあい続けるといったような救いのない感じの話でしたが、そんななかにもところどころ人間の愚かしさにクスッと笑えるところもあったりして、上演時間が短いこともあり、最後まで飽きずに観られました。

楽しみにしていた大竹さんの芝居は、これまでに観てきた映画などから期待していたものと比べるとおとなしめというか、もっと迫力のある芝居もできるだろうにと感じる部分もありましたが、イネスという役のいやらしさはさすがの表現力で演じており、ときどき本当に憎たらしいおばさんに見えるところがさすがでした。

多部ちゃんが演じるエステルという役は、生前の所業が3人のなかでいちばん悪いと思うのだが、多部ちゃんが演じるとどうしても「いいひと」感が出てしまうように思います。テレビドラマの『ドS刑事』でも、ドSのはずなのに優しさが垣間見えていたし。エステルには、天真爛漫な美しさと闇があるといいと思うのだけど、多部ちゃんに「悪」や「闇」は似合わないんだな、きっと。以前に観た舞台ではもっと魅力的な芝居をしていたので、今回はキャスティング的にミスマッチだったかなぁ感じます。あと、せりふの言い方や声の出し方にもう少し緩急があるとよかったと思います。

段田さんの舞台を観るのは2回目で、前に観た芝居でもなんかあんまりパッとしなくて、段田さんってもっとできる人だと思っていたのにという感想だったのだけど、今回も、前回よりかはよかったのだけど、やっぱりあんまりパッとしない感じでした。段田さんが演じるガルサンという役も、他のふたりに比べると「悪」の要素が希薄で、その罪で地獄に落とされちゃうのという感じだし(まぁ、時代背景が違うからでしょうが)。役もパッとしないし芝居もあんまりパッとしなくて、舞台人としての段田さんに対する興味が一段と下がった感じでした。


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