■本■ 新人OL、つぶれかけの会社をまかされる
これ、もったいないなぁと思う。
ライトノベル風?(ライトノベルと呼ばれるものを読んだことがないのでわからないのだけど)の物語を読むことでマーケティングの基本的な部分がわかるというスタイルは、自分のようなマーケティング初心者にもとっつきやすいし、「売上が伸びず廃店寸前のレストランを再生させる」というシチュエーションもレストラン企業出身の自分にとって身近だし、わかりやすい。
マーケティング理論の部分についても、もっとも基本的・基礎的なことに絞ってあるそうだが、基礎だからこそシンプルだけど非常に奥深く、なるほどここから出発して広げ、しかし最後にはきちんとここに戻ってくることが重要なのだということがわかる。
物語形式なのですらすら読めるけど、1回読んで終わりにするのではなく、何度も読んで、物語とそのあとにある理論解説を頭の中で何度もイメージづけし、理屈としてだけでなく感覚としても把握・理解できるようになると、かなり役に立つと思う。軽くてポップな文章やストーリーの裏に、それだけの深みや奥行きのある内容だと思う。
なのにこの本、序盤でいきなり校正が甘いんだよ。プロローグで主人公の簡単な紹介があるのだけど、主人公の所属する部署がP3とP7、P8では「新規企画室」なのにP5とP6では「新規事業室」、P9では「新規事業企画室」と、たった7ページのあいだで表記がばらばら。そのあともたしか、本編に入る前の段階で表現のダブリとか校正漏れとかがひとつふたつあったはず。
本編に入ってからは特に気になることはなかったのだけど、本を読み出して早い段階でこうした編集上の凡ミスがいくつもあると、その時点で本全体に対する信用度が下がっちゃうんだよな。その後の内容がいいだけに、こうしたつまらないミスが余計に残念というか、もったいなく感じた。
その点さえ気にしなければ、何度も読むに耐えられる本だし、実用性もあると思う。商品企画や販売戦略を立てるときなど折に触れて読み返し、一貫性と具体性のチェックに使いたいと思った。
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