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2009/12/10

失われた世界

シャーロック・ホームズで有名なコナン・ドイルの書いた、冒険小説の古典。原題は『The Lost World』といい、映画『ジュラシック・パーク』シリーズの2作目『ロスト・ワールド』のタイトルは、この小説へのリスペクトといわれてるらしい。

これまでにも何度か読んだことがあり、気に入っている作品。登場人物のキャラもはっきりしていてわかりやすいし、未開の地、まさに「失われた世界」を探し求め、そこに足を踏み入れるストーリーもわくわくする。

このところ、『姉妹』とか『シャイニング』とか、ホラーばっかり読んでたので、ひさしぶりに心躍る冒険小説をと思い、昨日から読み始めた。で、本筋とは関係のないところで、いきなり引っかかった。

主要人物のひとり、記者のマローンが冒険の旅に加わるのは、彼が恋焦がれるある女性の心をつかむためなのだけど、その女性が口にする「理想の恋人」像がすごいんだ。いわく、意思が強く、行動的で実行的、死神の顔を見ても平然としていて、英雄的な行為や異常な経験をする方でないといけない――と。

そして、極めつけのせりふ。




「わたしが愛するのは、その人柄でなく、その人が獲得する名誉なのよ。それがわたしの心をとらえるの。(中略)夫が崇高な行為をしとげた陰の貢献者として、その妻も世界中から敬愛されてヒロインになれるんですわ」
「世間には、英雄的な行為ってたくさんあるし(中略)それをやるのは男のかた(中略)わたしの言うのはこういう男性よ。そんなかたの恋人のことを思うと、ほかの女は羨望でいっぱいになるわ! わたし自身がそんなふうな女性になりたいの――自分の愛人のために世界中の女性から羨まれるような――」
(『失われた世界』アーサー・コナン・ドイル/ハヤカワ文庫SF)



あぁ、なんという自分勝手さ。
おそろしいまでの虚栄心。
他人の名声で得をしようとするコバンザメ体質。
この本が書かれた1912年ころの女性って、みんなこんなだったんか?
意外といまも、たいしてかわらんかったりして?

ほかにも、「恋愛に暴力はつきもの」といった言葉もでてきて、なかなか興味深い。
以前に読んだときも、気になったのかなぁ。よく覚えてないのだけど。
いずれにしても、時代が変わると意識も変わるということがよくわかる。

物語の中の「冒険」が始まる前に、いまの世の中とはずいぶん違う世界への冒険に足を踏み入れた気がしたのだった。

あら、ハヤカワ文庫版は、いまは売ってないのね。
ご興味のある方は、創元SF文庫で。


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