■平日読書■ 会社に行くのがもっと楽しみになる感動の21話
う~ん。なんというか、残念な本だ。ネタ元のエピソード自体は悪くないのに、ストーリーテリングのしかたがヘタなために、ぜんぜん「感動の話」にならない。しかも、そのあとに著者の解説?がつくのだけど、そこで一気に説教臭さが高まっちゃう。
『絆の翼』とかもそうなのだけど、こうした「ストーリー形式」でなにかを伝えるには、ストーリー自体を楽しめるだけの描写力や表現力が必要なんだよな。こういうふうに話の流れだけをフラットに提示するのでは、読み手の心に届きにくい。必要なポイントではきちんと心理描写と情景描写を細かく書き込み、絵が見えるようにしないと。
せっかく「素敵なエピソード」を扱っているのに、そのエピソードを楽しむことより、そこから読者に感じてほしい「教訓」を明確にすることのほうに強い意識があり、結果としてエピソードの素敵さよりも著者による「これを感じろ」という押し付け感・説教感のほうが強く残ってしまった。
ストーリーとして充分に楽しめつつ、きちんと読者になにかを感じさせたり考えさせたりするのが、優れた「ストーリー形式」なのだけど、それに成功している書籍って、あまり多くないよね。むしろコミックのほうがそういうのはうまいな。
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