SILVIA MEZZANOTTE / LUNATICA (2008)
Silvia Mezzanotte(シルヴィア・メッツァノッテ)のセカンド・ソロ・アルバム。前作『Il viaggio』
は収録時間30分が程度のミニ・アルバム的な印象でしたが、今作では45分弱と、最近のCDとしては短めですがアルバムらしい長さになっています。収録時間の長さだけでなく、ヴォーカリストとしてのSilvia
の多彩な歌声も存分に発揮され、前作よりも魅力的な作品になっていると思います。
全体には、いかにもイタリアの女性ヴォーカルものらしい、のびやかで美しいメロディを持った曲が多く、カンツォーネからの正統的な流れを感じる歌唱も聴かれます。前作にはあまりなかった、Matia Bazar(マティア・バザール)時代のようなダイナミックな歌唱や、おなじみの伸びのあるファルセットもあります。囁くような静かな歌い方から情熱的な歌い上げまで、振り幅の大きいヴォーカルを表情豊かに聴かせてくれます。とくに低域で静かに歌うときの歌声は、少しかすれたような声で、個人的にぞくぞくします。Silvia
って、こんな声でしたっけ?
M2「Oggi un dio non ho」、M3「Ma il buio」、M4「Al di la' del mare」などにはMatia Bazarの香りが感じられますが、Silvia
がMatia Bazar
にいたのって、たったの5年くらいなんですよね。「元Matia Bazar
の歌姫」といえばデビューから約15年間在籍した初代ヴォーカリストのAntonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)
がいちばんに思いだされますが、その後、音楽性の幅を広げ、ポップスのフィールドには収まりきれない作品を何枚もリリースしているAntonella
よりも、ポップスのフィールドの中でヴォーカリストとしての魅力や表現力の豊かさを発揮しているSilvia
のほうが、いまでは「元Matia Bazar
の歌姫」らしいような気がします。
美しく伸びやかで、ほどよい哀愁とやわらかなあたたかさのある、イタリアン・ポップスらしい魅力あふれる楽曲を、歌唱力も表現力も豊かな女性シンガーが鮮やかに歌い上げる、とても素敵なアルバムです。
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コメント
シルヴィア、うまいですよねぇ。私はアントネッラ時代のマティア・バザールを知らない(CDは持っていますが)ので、マティアと言えば、シルヴィア時代です。
投稿: なこ | 2008/11/04 17:38
シルヴィアは、マティア・バザールにずっとついて回っていた「アントネッラの亡霊」を上手に取り込みつつ、シルヴィアらしいマティア・バザールをきちんと表現したシンガーだったと思います。マティア・バザールってけっこう歌メロの展開が強引だったりすることがあるんだけど、それをシンガーの個性として表現できていたのがアントネッラとシルヴィアかなぁって。
投稿: もあ | 2008/11/05 09:39