RENATO ZERO / CALORE (1983)
1980年代前半ころのイタリアにはQ-Discという、LPサイズで33回転なんだけど収録曲数は4曲という、シングルでもなければアルバムでもない中途半端な立ち位置のヴィニール盤シリーズがありまして、Lucio Dalla(ルーチォ・ダッラ)とかAmedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)
とかいろんな人がこのシリーズのものをリリースしていました。このシリーズでリリースされた曲は他のオリジナル・アルバムに収録されることが少なく、かといってシリーズ自体が中途半端なのであまり流通せず、ライヴ盤やベスト盤以外ではなかなか聴けない入手困難曲になってしまうことが多いようで、困ったものです。しかも、収録曲には意外といい曲が多いようで、それもまた悩ましいところ。
『Calore』は、Renato Zero(レナート・ゼロ)
が『Via Tagliamento 1965/1970』
と『Leoni si nasce』
のあいだにリリースしたQ-Disc。ディスコグラフィ上はいちおう「アルバム」扱いになっているようですが、イタリアのWikipediaによるとヒット・チャート上はシングル扱いで、最高4位まで上がったようです。Q-Discなので4曲入りですが、収録曲の中に「Calore」というタイトルのものはなく、なんだかやっぱり不思議な存在。
しかし収録された曲自体は、どれもイタリアらしい、Renato Zeroらしい、ロマンティックで、おだやかなあたたかさがあって、べたつかないさらっとした哀愁がほどよく振りまかれた、美しいポップス。落ち着いたRenato
のヴォーカルのうしろでピアノとオーケストラが心地よく響きます。すべての曲で曲づくりにDario Baldan Bembo(ダリオ・バルダン・ベンボ)
がかかわっています。
M1: Spiagge
人気がある曲のようで、その後のライヴ盤でも歌われています。暖かで爽やかさを感じるピアノとオーケストラ。おだやかでやわらかいメロディ。サビにごくわずかに紛れ込む哀愁。ミディアム・テンポの心地よいポップス。
M2: Voglia
イントロはオーケストラが映画のサウンドトラック風に盛り上がります。Renatoのロマンティックな響きのある歌声をピアノとオーケストラがサポート。シンセサイザーのソロにはおだやかな明るさが感じられます。後奏ではオーケストラにうっすらとコーラスがかぶさり、ホーンがやわらかなメロディを奏でます。やさしいあたたかみのあるバラード系のポップスで、ちょっとPooh(プー)
の曲に似た印象があるかもしれません。
M3: Navigare
キーボードとシンセサイザーの響きが1980年代のシティ・ポップスぽい雰囲気。すっきりしていて洒落た感じにふとまざる寂しさが都会風です。リズムはけっこう軽快で、ヴォーカル・ラインは落ち着いた感じなのも、おしゃれ系ポップスの香りがします。
M4: Fantasia
ピアノとオーケストラのみをバックにロマンティックに歌い上げられるバラード系スロー・ポップス。やさしいあたたかみ、べたつきのない爽やかな哀愁が、Renatoらしいです。おだやかでロマンティックで美しいなかに、どこか明るいイタリアの陽射しも感じます。
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