RENATO ZERO / SOGGETTI SMARRITI (1986)
Renato Zero(レナート・ゼロ)の14枚目のアルバム。
1984年にリリースした前作『Identikit』はベスト選曲にRenato Serio(レナート・セリオ)による統一感のあるオーケストラを全曲に配した再アレンジ新録盤で、派手さはないものの、非常にしっとりと落ち着いた、聴き心地のいいものでしたが、残念なことにセールス的には振るわず、アルバム・チャートで最高16位と、1979年以降続いていた連続1位の記録を止めてしまいました。それを反省したのか、それとも前作でお金がかかりすぎたのかはわかりませんが、このアルバムではオーケストラの導入はなく、主にシンセサイザーがオーケストラ・セクションの代わりを務めています。
しかし、このシンセサイザーの音づくりがとてもチープというか、いかにも時代を感じさせるもの。1980年代のRenato Zeroの曲は、90年代以降のたおやかさを感じさせるものがある一方で、いま聴くといかにも古くさい歌謡曲チックなものも多いのですが、このアルバムは歌謡曲チックなものを中心に構成されています。そして、その歌謡曲ぽい安っぽさを感じさせるもっとも大きな要素が、シンセサイザーの音づくりと、そのシンセを中心にした演奏アレンジでしょう。いきなり飛び出す派手な金管シミュレーションのシンセ・サウンドとか、なんだか恥ずかしくて泣けてきます。それでもこのアルバムはファンに受け入れられたのか、残念ながらチャート1位に返り咲くことはできませんでしたが、2位を獲得しています。
全体に軽快で歌謡曲チックなポップス/ロックで、ヴォーカルにはRenato Zeroらしいいくぶん芝居がかったシャウトなども入るのですが、自分にはあまり魅力的に感じられません。演奏アレンジの安っぽい派手さとか、けっこうつらい。M4「Donna donna donna」、M7「Ostinato amore」、M9「Problemi」といった、イタリアらしい美しさ、Renato Zero
らしいロマンティシズムを感じさせるメロディを持った曲もあるのだけど、これらもアレンジの平凡さ、安っぽさが曲の魅力を制限している感じです。これがRenato Serio
の深みのあるオーケストラ・アレンジだったら、かなり聴かせる曲になっただろうに。残念です。
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