RUNAWAY TOTEM / TEP ZEPI -L'era degli dei- (2002)
1980年代の終わりごろに結成され、1993年にアルバム・デビュー。その後、3年ごとくらいにコンスタントにアルバム・リリースを続け、いまも現役で活動中のイタリアのグループ。『Tep zepi』は彼らの4枚目の作品になります。
非常にハッタリの効いた作風だと思います。タイプとしてはダーク・ヘヴィ・シンフォニック・プログレッシヴなのでしょうが、さらにゴシック・メタルなどの要素も混じっているような。重いリズムの上を金属質な音色のギザギザしたエレキ・ギターが暴れまわる様は狂暴にすら感じられますが、ヴォーカル・パートでは一転して聖歌隊のソリストのような深みと奥行きのある声で落ち着いたおだやかなメロディを歌い、ヒューマン・ヴォイスをサンプリングしたと思われるシンセサイザーによる重厚なコーラスがクラシカルで荘厳な世界をつくりあげます。フランスのMagma(マグマ)との類似性について言及されることが多いようですが、自分はMagma
をほとんど聴いたことがないので、よくわかりません。それよりは、同じイタリアということもあってか、Il balletto di bronzo(イル・バレット・ディ・ブロンゾ)
やMetamorfosi(メタモルフォシ)
に通じる匂いがときどきするというほうが、自分にはわかりやすいかも。あと、King Crimson(キング・クリムゾン)
にも通じる部分があるように思います。
曲の構成がどれも、重く密教めいた怪しさをもって狂暴に力強く演奏されるパートと荘厳でクラシカルで美しいヴォーカル・パートの極端な対比というパターンで、あまりヴァリエーションはない感じだし、リズムが細かく速くなってくるとドラムの手数が追いつけていないような印象もときどきあるし、ヴォーカルの音程が多少あやしかったりもするのですが、それらに気をとられる暇を与えずに一気に聴かせきる勢いと力を感じます。いくぶんもっさりしたドラムもむしろ魅力的に感じるし、ハード・エッジでメタリックなエレキ・ギターは非常にかっこいい。そしてメロディのはしばしに、やはりイタリア、これぞイタリアと意識させる、熱くドラマティックで美しいイタリアン・プログレッシヴの香りが色濃く感じられるのが非常に好ましい。シンセサイザーの安っぽいデジタルチックな音づくりだけがちょっと残念です。
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