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2008/05/19

週末映画&テレビ

■ヴェロニカ・ゲリン■
記事を書くために麻薬組織に近づきすぎて殺されたジャーナリストの話。実話ベースらしい。
街角で小さな子どもたちが捨てられている注射器で遊んでいるのを見たのがきっかけで麻薬に関する記事を書き始めたようになっているけど、きっと、もっと直接的な動機は「スクープを取りたい」だろうし、それまでに自分の書いてきた記事をくだらないと評価してきた人たち(自分も含めて)を見返してやりたいという、非常に個人的な虚栄心じゃないかと思う。家にまで「脅し」の銃弾が撃ち込まれ、家族が危険にさらされても、実際に家を襲撃され自分が撃たれても、取材と記事執筆をやめなかったのも、麻薬組織の解明という大儀を掲げて自分を正当化しているけれど、その根底にあるのは「ジャーナリストとして認められたい、自分を馬鹿にした人たちを見返したい」という個人的な欲求の強さゆえのように感じる。この欲求が満たされるなら、対象が麻薬組織解明でなくても、べつにかまわなかったんじゃないかと。プラス、自分の活動を抑圧するものに対する過剰なまでの対抗心。これもけっきょくは個人の資質というか、性格によるものであって、ジャーナリストとしてではなく、ジャーナリストだからでもないように思ってしまった。
組織に殺されたことでその後の大規模な麻薬撲滅運動へのきっかけとなったのも、なんとなく結果論的な感じ。

  


■恐怖の岬■
モノクロの画面が復讐者ケイティの持つ凄みや恐ろしさを強調しているように感じる。ロバート・ミッチャムってあまり知らないのだけど、非常に存在感のある芝居をしてた。ケイティに付けねらわれる弁護士を演じたグレゴリー・ペックは、少し前に亡くなったんでしたっけ。この人もいい役者さんだと思うけど、知的な二枚目と知的な野獣が並んでは、やはり知的な野獣のほうが印象強いよな。おそらく、物語的には主演グレゴリー・ペック、助演ロバート・ミッチャムなのだろうと思うのだけど、圧倒的にロバート・ミッチャムのほうが印象に残った。そういえばこの役、リメイク版の『ケープ・フィアー』ではロバート・デ・ニーロが演じてたと思う。体中に刺青(のメイクを)入れて。

  

  


■きみがいた時間 ぼくがいく時間■
演劇集団キャラメルボックスが2008年4月に行なった芝居の舞台中継。所属する人気俳優の上川隆也が5年ぶりに出演するというので話題になってた気がする。
上川さんの芝居は『ウーマン・イン・ブラック』で観たことがあり、舞台上に「芝居の空間」をつくりあげ劇場全体が「場」になってしまうかのような演技に「この人、すごい」と思った。なので、彼が所属するキャラメルボックスもいつか観てみたいと思っていたのだけど、本当かどうかは知らないが「観客の大半が若い女性」という噂を聞き、それが本当ならきつそうだとスルーしてた。この舞台中継を観て、とくに序盤のあたりは「やっぱ、ここの芝居はきつそうだ」と感じ、最後まで観ていられるか心配になった。ガーガーとがなるばかりの役者たち。必然性も感じなければおもしろくもないギャグの大量投入。以前に、やはり若い女性に人気のあるカムカムミニキーナの舞台を観てがっかりしたときの感覚を思い出してた。でも後半へと進み、舞台上への上川さんの登場比率が高まるにつれ、お話も芝居も落ち着きとまとまりを見せてきたように思う。
話の内容自体は、よくあるといえばよくあるタイム・パラドックスもので、テーマも「ある特定の時間に死ぬことがわかっている大切な人の命を守るために過去を変えに行く」という、やっぱりよくあるといえばよくあるタイプのものだけど、よくある分、安心して観ていられるともいえる。それゆえ、序盤のドタバタが余計に残念。最終的には、なかなかおもしろく観終えることができたけど、やはりテレビではなく生の舞台で観たほうがよりおもしろそうではある。
「きみがいた時間 ぼくがいく時間」というのは趣のある素敵なタイトルだな。


■高原へいらっしゃい■
田宮二郎主演のテレビドラマ。全部で17話あるうちの、まだ7話までしか観ていないのだが、ちょっと困っちゃったなという感じ。
佐藤浩一主演のリメイク版『高原へいらっしゃい』は、視聴率は悪かったらしいが、素敵な「サービス・パーソンたち」のお話で、自分としてはかなり好き。そのオリジナルとなる田宮二郎版は放送時の視聴率もよかったというし、内容的にもリメイク版よりずっといいという評判を聞いていたので、CATVで再放送が始まって、観るのをとても楽しみにしていた。でも、7話まで観た時点では、むしろリメイク版よりもずっと劣るという印象。
田宮二郎演じる支配人であり主人公でもある面川が、ホテリエとして、サービス・パーソンとして、ぜんぜんダメなんだよな。とても「一流ホテルで働いていた有能なホテリエ」とは思えない。ここまでのところでは、彼はお客様のことなんかちっとも見てないし、考えてもいない。「お客様に満足していただきたい」とか「お客様の心に残るホテルにしたい」とかいってるけど、どれも口先だけ。いつだってお客様よりも「自分」のことばかり考えてる。ということに本人が実は気づいていない? 他のスタッフはひとりを除きホテルの仕事は初めてで、スキル不足はしかたないけれど、お客様のことを考え思いやる気持ちがある。フロント・マネージャー経験者の面川がいちばん、お客様への気持ちが少ないよな。むしろ、ホテルの仕事もサービスの仕事も初めての地元のおばちゃん(おばやん)がいちばんホスピタリティの心を持っていて、それをきちんとお客様に表現しようとしてるよ。
開業後のホテルで起きるお客様とのトラブルも、そのもととなっているのはいつも面川の勝手な決断や行動。しかも、自分がおおもとの原因であるそのトラブルを自分できちんと解決できたことがない。いつも他のスタッフたちの頑張りでかろうじて収束している。そのくせ、事態が収束すると、原因となった自分の勝手な判断や行動は棚上げして「みんな、よくやってくれた。お客様も満足してくださった」とかいってる。満足どころか、第7話では宿泊客に支配人が気遣われてしまってる。お客様に気を使わせるなんてサービス・パーソンとしては恥ずかしいことなのだけど、面川さんってば恐縮するどころか喜んじゃってるよ。おいおい。こんな支配人のもとで、お客様が満足するホテルになれるようには、どうしても思えない。悪い意味で「お客様の心に残るホテル」にはなるかもしれないけれど。
制作されたのが30年以上前で、当時の「ホテル」や「サービス業」に働く人の意識や、お客様へサービスを提供する、ホスピタリティを表現するということについての意識がいまとはぜんぜん違う、まだほとんどそういったことへの意識が育っていない時代だったからということはあるだろう。それに、そもそもテーマは面川をはじめとした従業員たちの「再生」であり、サービスとは関係ないともいえるし。お話的にもまだ半分も進んでいないので、今後の展開で印象が替わってくることも考えられるけど、少なくとも7話までの段階では、自分は佐藤浩一版の『高原へいらっしゃい』のほうがずっとお話的におもしろく、内容的にもすぐれてると思うわ。ただ、地元のおばちゃん役は、オリジナル版の「おばやん」のほうがずっといいけど。



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