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2008/05/09

KARAT / TANZ MIT MIR (1995)

1970年代初頭に東ベルリンで活動していたジャズ・ロック・グループ、Panta Rhei(パンタ・レイ)を母体に、1975年に結成され、1978年にアルバム・デビューしたKarat(カラット)が、1995年にリリースしたライヴ盤です。これまでのアルバムからのベスト選曲的な構成になっているようです。

Karatといえば、日本での標準的な認知は「旧東ドイツ出身のプログレ系グループ」となるのではないかと思うのですが、このライヴ盤から「プログレ系グループ」という修飾語を引き出すのは、かなり難しいように思います。

思いっきりハード・ロックです。ときにポップでもありますが、それよりもロックン・ロール。しかも、けっこうアメリカっぽい。お客さんもノリノリです。この興奮はどことなくOmega(オメガ)のライヴ盤を思い出させたりもします。変拍子を用いた曲などもあり、プログレぽい雰囲気を匂わせることも極まれにありますが、軽快なロックン・ロールやブルージーなロックぽい演奏のほうがより印象に残ります。デジタルなリズム・ボックスやキーボードのオーケストレーションなども聴こえますが、その使い方もプログレッシヴやシンフォニック系の使い方ではなく、ハード・ロックの使い方だと思います。ただ、軽快なリズムに乗った明るく爽やかな感じのメロディが多いのだけど、ヴォーカルにどことなく乾ききらない湿っぽさが残ってるような印象を受けるのは、やはり東欧の味なのでしょうか。

ちなみに、彼らには「Der Albatros」という、プログレ・ファンのあいだでは超有名な曲があるのですが、自分は聴いたことがありませんでした。旧共産圏シンフォニック・プログレの超名曲といわれることも多いので、このライヴ盤で聴くのを楽しみにしていたのですが、なんか、思ったよりふつうでちょっとガッカリ。ライヴの興奮が、曲の持つ叙情性や透明感などを薄めてしまったのかもしれません。この曲はスタジオ収録で聴いてみたい感じでした。

M2: Tanz mit der Sphinx
トラック・ナンバーは2になっていますが、オープニングSEに続いて始まる実質的なライヴのオープニング曲。観客の手拍子がすごいです。クリーン・トーンのエレキ・ギターとピアノをバックにしたポップなロック。意外と爽やかで、旧共産圏のロックに対して持っていた印象とずいぶん違いました。

M4: Schwanenkonig
ピアノのやさしい音にのって歌われるやわらかなポップス。爽やかな歌メロはアメリカのフォーク・ソングみたいで、あまり東欧やヨーロッパの印象がありません。エレキ・ギターの奏でるメロディにはほんのりとした哀愁と寂しげな感じがあり、なんとなく荒野のイメージが浮かびました。キーボードを比較的多用してはいますが、だからといってシンフォニックな感じになることはなく、むしろ素朴な印象です。良いメロディを持った曲だと思います。

M5: Blumen aus Eis
ピアノが八分音符のコードを刻む軽快なポップス。サビのあたりでは厚い音のエレキ・ギターとベースが入り、いかにもロックン・ロールな曲になります。

M6: Tanz mit mir
八分音符のリズムを刻むシンセサイザーがデジタリックな雰囲気ではありますが、曲自体はブルージーなロックン・ロール。ボトルネック奏法を使うエレキ・ギターもブルージーだし、キーボードのソロはブルース・ハープの演奏を鍵盤に置き換えたような感じです。

M7: Der blaue Planet
デジタルなハード・ポップなのだけど、どこかゆったりとした雰囲気があります。明るく爽やかだけど、それほど乾いてはいない感じが独特です。木管風のシンセサイザーの音色も可愛いく感じます。最後にはドラムのソロがあり、やっぱり熱いロック。

M9: Gewitterregen
イントロのメロディにはほんのりエキゾティックな香りがあります。最初は8分の7拍子で始まりますが、後半はふつうに4拍子へとリズムチェンジがあります。変拍子を使っているからプログレ風かというとそんなことはなく、歌メロはポップで可愛らしかったりします。

M10: Kalter Rauch
ちょっとRoxy Music(ロキシー・ミュージック)の「Avalon」ぽい雰囲気があるメロディ。でもRoxy Musicよりもずっと明るい感じです。ほどよく歪んだエレキ・ギターの音色が心地いい。

M11: Jede Stunde
落ち着いたポップス風に始まりますが、リズム隊が加わると軽快な感じになっていきます。ハーモニカのソロなども入り、アメリカぽいというか、カントリー&ウェスタン風の雰囲気も感じます。
なお、M9からM11はあいだをリズム・ボックスでつないでメドレー風に演奏されています。

M12: ... und der Mond schien rot
8分の6拍子をピアノが刻むブルースぽいポップス。キーボードのソロもいなたくブルージーです。

M13: Der Albatros
アコースティック・ギターのコード・ストロークとキーボードの白玉系オーケストレーションにのって、抑えた感じで始まります。東欧シンフォニック・プログレの名曲と評価の高い曲ですが、あんまりプログレっぽい感じは受けません。どちらかというと、ブルージーなハード・ロックといった感じ。ただ、力強いヴォーカルがサビに向けて徐々に高揚していく構成は、オーソドックスだけど安心して聴いていられます。間奏部はシンフォニックで清涼感もあり、聴きどころといえそうです。ほどよく哀愁があり少しエキゾティックなメロディが好ましいです。

M14: Don Alfredo
森へピクニックにでも行くかのような、楽しげなリズム。明るいのだけれど、くすんだ湿り気がとりきれないようなメロディが独特の雰囲気です。この感じは、どことなくOmegaとかにも通じるところがあるかもしれません。ちょっと不思議な魅力を感じます。


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