I POOH / ROTOLANDO RESPIRANDO (1977)
1960年代からいまも活動を続ける人気グループ、Pooh(プー)。初期のころはオーケストラをバックに従えたゴージャスなアレンジが特徴的でしたが、このアルバムのころにはバンド演奏が主体となり、オーケストラはほとんど入ってきません。ポップ・ロックらしいかっちりとしたシンプルな演奏になっています。ここよりさらにあとの時代になると、とくにギターなどはよりテクニカルでハードな演奏が増えてくるのですが、このころはまだ、もんやりとした隙間が残っているような感じの演奏で、愛らしいです。
黒い背景に白地で浮かび上がるグループ名とアルバム・タイトルの文字。斜め上から光を当てられた真っ白な卵の殻と、そこに生けられた真っ赤な花。はっきりしたコントラストがドラマティックで、非常に美しく印象的なアルバム・ジャケットは、それまでの彼らのアルバムにない洗練を感じさせます。収録された曲もドラマティックでロマンティックで、鮮やかなコントラストを保ちつつ、オーケストラをバックにしていたころよりも洗練されたアレンジが楽しめます。あたたかで、澄んだ明るさのなかに心地よい哀愁が漂うメロディはPoohならでは。もちろん、彼らの魅力である完璧なコーラスも随所で聴けます。
哀愁のア・カペラから躍動的なリズム入りのヴォーカル・パートへと進むM5「Rotolando respirando」は、やはり印象的な曲。また、軽やかなアコースティック・ギターのコード・ストロークや、やわらかであたたかいメロディに明るい陽射しを感じるM8「Una domenica da buttare」、静かなAメロと感情ののったサビの対比が美しく、無理のない構成でわかりやすい強弱と素直で美しいメロディを聴かせてくれるM9「Dammi solo un minuto」、おだやかなオーケストラとピアノをバックにした歌が、あたかも満天の星空の下で聴いているような、おおらかで、やさしい気持ちになれて、だけど少しさびしさも感じさせ、胸にしみるM10「Ancora tra un anno」とつながるアルバム終盤の流れはとても印象的です。とくにM9、M10はよい曲だと思います。
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