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2008/04/04

SONOHRA / LIBERI DA SEMPRE (2008)

ヴェローナ出身、1982年2月27日生まれのLuca Fainello(ルーカ・ファイネッロ)と1986年11月27日生まれのDiego Fainello(ディエーゴ・ファイネッロ)の兄弟によるデュオ、Sonohra(ソノーラ)のデビュー・アルバム。このアルバムに収録された「L'amore」は、2008年のサンレモ音楽祭参加曲のなかでは個人的にもっとも印象に残った曲です。

サンレモ曲はフォーク・ロックぽい曲で、ほどよく哀愁をまといつつサビではけっこう力強く歌い上げていましたが、アルバムにはこうしたフォーク・ロック系の曲のほかに、よりパワフルなロック色の強い曲も多くあります。そのどれもが素直で美しいフレーズを持っていて、そのフレーズの配置のしかたや組み合わせのうまさに才能を感じます。演奏のスタイルにこそフォーク風だったりロック風だったりといったヴァリエーションはあるものの、核となるヴォーカル・ラインはどれも、素直なフレーズをもった小さなグループを丁寧に破綻なく徐々に盛り上がるように配置し、サビにはロングトーンを含む印象的で力強いメロディを持ってきてバックの演奏も厚くしドラマティックに展開するというつくり方で、非常に王道的なポップ・ミュージックの構成になっていると思いますし、それが成功しているとも思います。

ときにJ.D.Souther(ジェイ・ディ・サウザー)などにも通じそうな素朴でやさしいフォーク風味を漂わせたり、Paolo Vallesi(パオロ・ヴァッレージ)などにも通じそうな哀愁を含んだ美しいイタリアン・ポップスらしさを見せたりする一方で、ソウルフルな女性コーラスを使ったファンクっぽいパワフルな曲があったり、オーケストラを上手に使いシンフォニック・プログレッシヴな匂いを感じさせたりと、いろいろなアイデアを持っているようですが、ほどよくノスタルジックでメロディ重視の姿勢がアルバムに統一感を与えています。演奏やアレンジも含め、個々の曲も、アルバム全体としても、非常に完成度の高い作品になっていると思います。

M1: Love Show
軽やかでソフトなアコースティック・ギターのコード・ストローク。美しく素直でポップなメロディが好ましいです。サビではディストーションの効いたエレキ・ギターが入り、力強いポップ・ロックになります。

M2: L'Amore
2008年サンレモ音楽祭新人部門参加曲で、新人部門1位をとった曲。リリカルなピアノの音色とアコースティック・ギターが哀愁漂うメロディを盛りたてます。Aメロ、Bメロ、サビと徐々に力強く、ドラマティックに盛り上がる構成や、オーケストラのアレンジも含め、上手につくられた曲だと思います。歌いきりの部分の力の込め方やヴィブラートまで合わせたハーモニーもよく練られています。印象的なフォーク・ロック。

M3: English Dance
エレキ・ギターのコード・カッティングで始まる軽快なポップ・ロック。シンプルで無理のない複数のメロディを上手に配列して破綻なくまとめあげたという印象です。エレキ・ギターの音やリズム・セクションはロック色が強いのだけど、そこにかぶさるオーケストラがなんだか歌謡曲チックなのがおもしろいです。

M4: Liberi Da Sempre
スローなフォーク・タッチの曲で、美しいアコースティック・ギターのアルペジオがやさしい雰囲気を出しています。素朴でおだやかなメロディを聴いていると、あたたかな陽だまりの中にいるような印象を受けます。

M5: Cinquemila Mini Mani
少し歪ませた音色のエレクトリック・ピアノがコード・ストロークを奏でる、ロック色の強い曲。曲の前半はマイナー調で、少しシビアな印象もあるメロディだけど、サビに入るとイギリスの古いソフト・ロックのような明るく楽しい、そしてほんのり哀愁のある感じに変わるのがおもしろいです。間奏ではミュートをつけたホーンによる都会的なジャズ風の演奏も聴けます。

M6: Salvami
あたたかくうららかな春を思わせるピアノとアコースティック・ギターのイントロ。やさしい感じの歌メロ前半からスキャットをはさみ、サビでは長い音符を多用した印象的なメロディを歌い上げます。このサビの部分、以前にどこかで聴いたことがあるような気がするのだけど、似たような曲があるのかな。終盤のオーケストラは古い映画音楽のようで少しノスタルジックです。

M7: Io E Te
やわらかなアコースティック・ギターのアルペジオとやさしいメロディ。前半はフォーク・ポップ風で、サビに入るとあたたかく美しくほんのり哀愁のあるポップスになります。このサビの部分は非常に正統的なイタリアン・ポップスらしい雰囲気を感じます。ハーモニーも綺麗です。なんとなく、青春の光と影という言葉が思い浮かんでしまいました。

M8: So La Donna Che Sei
Stevie Wonder(スティーヴィー・ワンダー)の「Superstition」のようなエレクトリック・ピアノのコード・カッティングがSE風に聞こえます。ディストーションの効いたエレキ・ギターがそのフレーズを引き取り、ロック色の強いパワフルなポップスが始まります。ソウルフルな力強い女性コーラスやブラスも入り、ファンキーな印象もあります。

M9: L'Immagine
ガット・ギターの丸い音色のアルペジオ。やさしいフォーク風に始まりますが、サビではエレキ・ギターとオーケストラが演奏に厚みをつけ、やけにシンフォニックな感じです。とくに後半のインストゥルメンタル・パートはシンフォニック・プログレッシヴの素養を強く感じます。

M10: Sono Io
やわらかくあたたかいポップス。ときどきいなたいブルース・フォークやカントリー風の香りも混じります。さわやかで素直で美しいメロディは、1980年代頃のアメリカのポップ・ロックの良い部分を思い出させます。なんとなくKansas(カンサス)とか聴きたくなりました。

M11: I Believe
クラシカルなピアノに導かれて始まります。ほんのりと哀愁を帯びたおだやかな曲。サビではバックに分厚いオーケストラが入り、ロングトーンを用いた印象的なメロディを盛り上げます。徐々にドラマティックに盛り上がる構成は非常にストレートで、ポップスらしいつくりだと思います。



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コメント

 彼らはこれからも活躍しそうですよね。甘いルックスも女の子に受けそうだし。全部彼らによる曲なんでしょうか(Roberto Tiniという人が関わっているようですが)? 雑誌の情報によると、お兄さんのルーカが作詞を弟のディエゴが作曲を担当しているそうですね。

投稿: なこ | 2008/04/04 18:39

CDについてたブックレットによると、作曲とアレンジはDiego、歌詞はLucaとRoberto Tiniとなっています。プロデュースはRoberto Tini e Sonohra。見たところ、全曲彼ら自身の作詞作曲のようですよ。

投稿: もあ | 2008/04/05 19:06

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