ALBERTO FORTIS / TRA DEMONIO E SANTITA' (1980)
1955年6月3日、北イタリアのDomodossola(ドモドッソラ)生まれのカンタウトーレ、Alberto Fortis(アルベルト・フォルティス)が1980年にリリースしたセカンド・アルバムです。前年リリースのデビュー作『Alberto Fortis』では演奏にPremiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ。PFM)
が参加していましたが、今作でもClaudio Fabi(クラウディオ・ファビ)とMauro Pagani(マウロ・パガーニ)
が参加しています。
独特の少し細い声で、ときにメロディをはずれて演劇調に叫ぶように歌ったり、かと思えば可愛らしいファルセットをまじえたりもするスタイルは、クセが強いので苦手な人は苦手だと思います。また、メロディ的にもそれほど美しさやなめらかさがなく、メロディの魅力よりもヴォーカルの個性と演奏で聴かせる要素のほうが強いように感じます。前作には「Milano e Vincenzo」などの可愛らしいメロディを持った曲もあったのですが、今作にはそれほど魅力的な歌メロが見当たらなかったのが少し残念です。
演奏はいろいろと工夫やアイデアが凝らしてあり、なかなかおもしろく感じます。少しキーボードがやりすぎな感じの部分も多いのですが、ところどころでほんのりとプログレッシヴな香りがしたり、ジャジーな雰囲気があったりと、楽しみどころがいろいろです。全体にうっすらとプログレ・ポップな匂いがあります。また、出だしと終わりではずいぶんと雰囲気が違っている曲が多いのも特徴でしょうか。
M1からM3は「Tra demonio e santita' parte uno - due - tre」のちょっとした組曲風になっていて、緩急のはっきりした演奏やころころと場面転換する構成にプログレッシヴな香りが漂います。Supertramp(スーパートランプ)とか、『Il fantastico viaggio del "Bagarozzo" Mark(マークの幻想の旅)』
のGoblin(ゴブリン)
とか、ちょっと思い出してしまいました。少し陰鬱なジャズ風味が漂うM11「Parlando ai grandi」も、ヴォーカルのうしろで鳴っているシンセサイザーにプログレッシヴやサイケデリックの匂いがします。
一方、いきなり「イエーッ!」で始まる陽気なフォーク・ロックのM8「Bene, insomma」や、ソウルっぽいコーラスの入るM7「Prendimi, fratello」、M10「Al di la' della porta di vetro」などはアメリカっぽい感じが強くあります。
ファルセットを上手に使った「夜中のおもちゃ箱」のようなイメージのあるM4「Dialogo」や、夢見がちなフォーク・ポップ風からフィドルの入ったトラッド風に展開し、またポップスにもどってくるM9「Dio volesse」などは、ちょっと印象的で好みです。
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