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2008/01/08

STEVE HARLEY & COCKNEY REBEL / LOVE'S A PRIMA DONNA (1976)

年末年始の旅行から帰国後、「のだめ」漬けになっていたら、もう七草粥の日もすぎちゃいましたが、みなさんお元気でしたでしょうか。いまさらですが、あけました、おめでとう?

さて、今年最初は「Pensiero! 別館Blog」のサブタイトルにふさわしく?アルバム紹介から。でも明日からはきっとまた昼ごはん紹介が中心になってしまうのだろうな...(^^;)。

1951年2月27日、ロンドン南部のデットフォード(Deptford)で生まれたSteve Harley(スティーヴ・ハーレイ)率いるCockney Rebel(コックニー・レベル)が1976年にリリースした5thアルバムです。デビュー当初のグループ名はたんにCockney Rebelだったのですが、このころにはSteve Harley & Cockney Rebelという名称に変わっています。

グラム・ロック・グループのひとつとして認識されている彼らの音楽は、ポップでキッチュでキャッチーでカラフルでちょっとエロチックでときにドラマチックでどこか素直じゃなくて、変態じみたブリティッシュ・ポップが好きな人にはたまらなく魅力的な愛らしいものだと思います。そしてこのアルバムは、彼らの変態さ加減がいかんなく発揮されている作品だといえるでしょう。いきなり混声合唱入りで始まるのも驚きますし、あいかわらずのひねったポップ作品の合間に、ほとんどクラシックとしかいえないようなオーケストラによるインスト曲はあるし、原曲の面影のない「Here Comes The Sun」のカバーもあるし。なんだかもう、やりたい放題、好き放題です。なのにアルバム全体の構成に破綻を感じないのが素敵です。

そして、Steve Harleyの独特の味わい深いヴォーカル。味わい深いといっても、たとえばGary Brooker(ゲイリー・ブルッカー)のように懐の深さや感情の機微を感じさせるような味わい深さではなく、なんというか、愛すべきダメ男? 個性的というか、クセのあるヴォーカルなので、苦手な人もいるかもしれませんが、このヴォーカルがあってこそ、Cockney Rebelの変態ポップが輝くのでしょう。きっと。ほんとか?

M1: Seeking A Love
M2: GI Valentine
M3: Finally A Card Came
この3曲はメドレーのようにつながっています。いきなりの混声合唱入りブリティッシュ・ポップスで始まり(M1)、ギター類がせわしない演奏をするポップ・ロックを経由して(M2)、のほほんとしたホーンの音色が印象的で、ホンキートンク・ピアノも導入されて雑多な感じの演奏の上にやけにソウルフルなハード・ポップ風のヴォーカルが乗る曲へとつながります(M3)。そして締めは一瞬の「ハレルヤ・コーラス」。なんだこれ? おかしくてたまりません。

M4: Too Much Tenderness
ほどよく都会的な洗練がありながら、どこかユーモラスで、はずした感じがします。こういったねじれ加減、変態加減が魅力的です。

M5: (Love) Compared With You
ピアノをバックに、弾き語り風に始まります。美しいメロディを持ったバラードです。2コーラスめからはリズムとヴァイオリン、コーラスも入ります。やわらかく、あたたかく、やさしい空気が広がるラヴ・ソング。

M6: (I Believe) Love's A Prima Donna
Electric Light Orchestra(エレクトリック・ライト・オーケストラ。ELO)Procol Harum(プロコル・ハルム)なども持っている、イギリスの猥雑な、パブ・ミュージックにも通じる雰囲気のあるポップ・ロック。世俗的な感じと、どこか飄々としたヴォーカルが魅力的です。かと思うと突然オルガンとコーラスで荘厳になってしまったり。得体の知れない変態構成がたまりません。

M7: Sidetrack II
オーケストラによるクラシック? 弦とフルート、木管が美しく響きます。たおやかなシンフォニー。後半ではティンパニと混声コーラスが入り、力強く、ドラマティックに盛り上がります。

M8: Seeking A Love (Part II)
可愛らしいポップス。イギリスらしいキャッチーさがあります。混声のコーラスが入り、どことなくゴスペルっぽくも感じます。

M9: If This Is Love (Give Me More)
スローな三連符のリズムで演奏されるロッカ・バラード。ドゥーワップなコーラスが入り、少しソウル風でもあります。M7でいきなりクラシック・シンフォニーになったアルバムを、M8で少しクラシック・テイストのあるポップスに移行し、このM9でクラシック色を払拭した元のポップスに引き戻しました、といった感じでしょうか。ルーズなエレキ・ギターのソロが心地いいです。

M10: Carry Me Again
オルガンのやさしい響き。どこかユーモラスなベース・ライン。10cc(テン・シー・シー)などにも通じそうな、少しひねったポップ感や、コーラスの使い方などが、とてもブリティッシュ。

M11: Here Comes The Sun
The Beatles(ザ・ビートルズ)の有名曲のカバーです。原曲とはずいぶん違う感じになってます。ベースがうにょうにょ。オルガンはカラフルなパッセージを奏で、ほぼ全編にコーラスが配置されていて、けっこうリッチな感じですが、変なポップスになってます。

M12: Innocence And Guilt
エレクトリック・ピアノのアルペジオ。おもちゃのラッパやぜんまいのような音。これは夜のおもちゃ箱の世界でしょうか。子供たちが寝静まった夜の闇のなかで息を吹き返したおもちゃたちがそっと動き出したような雰囲気があります。しかしヴォーカル、というかナレーションが入る後半からはがらっと空気が変わり、子供というよりはむしろ大人の、どことなくエロティックでサスペンスフルで秘密めいた妖しい夜の雰囲気です。B級のエロティック・バイオレンス映画でかかっていそう。そして最後は実験音楽風に終わります。

M13: Is It True What They Say?
1950年代頃のセレナードというかバラードというか、スロー・ポップス。8分の6拍子のリズムで、優しく甘く、ノスタルジックでロマンティックなメロディが歌われます。Perry Como(ペリー・コモ)とかの時代の曲のようです。夜空に浮かんだ丸い月を眺めているような、古い映画にありそうなそんなシーンが浮かびます。




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