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2007/11/08

PIERPAOLO BIBBO' / DIAPASON (1980)

詳しいことはわからないのですが、サルデーニャ出身のカンタウトーレらしいです。1970年代終盤にひっそりと活動をし、79年にレコーディングしたこのアルバムを80年にリリースしたあと、とくに話題にもならずにひっそりと消えていったようです。

Pierpaolo Bibbo'(ピエルパオロ・ビッボ)のソロ名義にはなっていますが、収録されているのはバンド的な演奏です。Pierpaoloはヴォーカルとギター&ベースを担当し、もちろんそれが多めにフィーチャーされていますが、それと同等以上にAdriano De Murtas(アドリアーノ・デ・ムルタス)の奏でるキーボード群が曲の性格付けをしています。

曲の感じは、いま聴くと非常に懐かしいというか、古臭いというか。アルバムがリリースされた1980年の時点でもきっと、なんでいまさらという感じがしたのではないでしょうか。1970年代初頭の、初期のプログレッシヴ・カンタウトーレ的な匂いがします。

ほんのりサイケデリックだったりメディテーショナルだったりするシンセサイザーやギターのアレンジや、ときにふわふわと浮遊するようなヴォーカルは、たとえばAlan Sorrenti(アラン・ソッレンティ)Claudio Rocchi(クラウディオ・ロッキ)などをちょっと思い起こさせるかもしれません。イタリアぽいといえばイタリアぽいのですが、自分にはなんとなくスペインのシンフォニック系グループ、たとえばCai(カイ)とかのほうが似ているような気がしました。とくにギターが中心になった演奏部分など。

全体はM1~M4の「parte 1 (espansione)」とM5~M8の「parte 2 (contrazione)」のふたつに大きく分けられていますが、実際には全曲がほぼ切れ目なくつながっていて、アルバム1枚が大きな1曲ととらえてもよさそうです。

M1「Cercando una terra fantastica」
シンセのバックにサイケデリック風なフルート。歌メロはイタリアン・プログレ・テイストもあるけれど、むしろFar East Family Band(ファー・イースト・ファミリー・バンド)風でもあります。1970年代中盤頃のPink Floyd(ピンク・フロイド)フォロワー系といった印象。いかにもアンプのオーヴァー・ゲインでひずませましたという感じのエレキ・ギターも懐かしいです。

M2「Contaminazione」
いかにもアンプでひずませましたという感じのエレキ・ギターと、煌びやかなチェンバロ系のシンセサイザー。基本的な雰囲気はM1とあまり変わりませんが、アルバム中で唯一の完全なインストゥルメンタル曲です。それもあってかリズムが強めに感じられます。ギターがリード・メロディを奏でますが、どことなく印象は「フラメンコ・テイストのないスパニッシュ・シンフォ・プログレ」といった感じです。

M3「Incantautore」
アコースティック・ギターのアルペジオをバックに切々と歌われるバラード系の曲。瞬間的な歌い上げはイタリアらしいです。どこかふわふわした感じのヴォーカルやバックのアレンジは、初期のClaudio Rocchiをすごくわかりやすくしたふう?

M4「...E dalle mie macerie...」
バックがピアノとアコースティック・ギターに変わり、曲の持つ雰囲気も少し明るくあたたかいものになります。サビのあたりの歌い上げはいかにもカンタウトーレ的で好ましく感じます。シンセサイザーの音づくりが当時のイージーなプログレ風なのが少し興ざめですが、いわゆるプログレッシヴ・カンタウトーレらしい曲調、展開だと思います。

M5「La macchina del tempo」
シンフォニック系のシンセサイザー・プログレを思わせる始まり方で、ちょっとNovalis(ノヴァリス)とか思い出しました。しかしすぐにエレキ・ギターやリズム・セクションが加わり、少し上ずった感じのヴォーカルも入って、軽快なポップ・プログレへとなっていきます。これもイタリアというよりはスペインのグループみたいだと自分は感じたのですが、気のせいでしょうか。浮遊感のあるサイケ風味なヴォーカルはAlan Sorrenti風? メディテーショナルなシンフォ・プログレの匂いもたっぷりの約10分。

M6「Suoni, Echi, Voci」
コズミックでサイケ風味もあるエレキ・ギターのアルペジオやシンセサイザー。歌い上げるけどふわふわしたヴォーカル。ちょっとテクニカルもどきなシンフォニック・プログレぽい展開です。

M7「Possessori della mente」
リズミカルで、いくらかの疾走感を感じます。メロディも軽快です。うにょうにょ下シンセサイザーや、細い感じの歪んだギターも健在です。そして印象は(自分にとっては)やっぱりスパニッシュ。

M8「Incantautore (reprise)」
チャイムの音から始まり、シンフォニック・ワールドが始まりそうな予感がします。おなじみの、少しサイケ・フォークがかったアコースティック・ギターのアルペジオに、浮遊感のあるヴォーカル。このままプログレッシヴ・カンタウトーレ系の歌ものが続くかと思いきや、ヴォーカル・パートは最初の少しだけで、キーボード類が加わる中盤以降はエレキ・ギターがやわらかな哀愁のあるなめらかなメロディを奏でるやさしいシンフォニック・プログレッシヴになっていきます。


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