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2007/10/05

NEW TROLLS / CONCERTO GROSSO - THE SEVEN SEASONS (2007)


大事故で今後の音楽活動が絶望視されていたNico Di Paro(ニコ・ディ・パーロ)の劇的なステージ復帰、長年にわたり2つのNew Trolls(ニュー・トロルス)で別々に活動をしていたNico Di ParoとVittorio De Scalzi(ヴィットリオ・デ・スカルツィ)の感動的な再会、そして多くのファンの期待とあきらめのなかで30年目にして実現した「Concerto Grosso」の新作と、盛り上がれるポイントが多々あるアルバム。
そういった感情的な高ぶりやご祝儀的な意味合いもあってか、たくさんの人が高い評価をしているのですけれど、自分にはそれほどよいものには感じられないというのが正直なところです。2007年の来日公演で初演奏されたときからそうでしたけれど。なんか、「Concerto Grosso」にするために無理にオーケストラを導入しているような印象がぬぐえません。

ヴォーカルのメロディも、バックに艶やかなオーケストラが入っているからそれなりに美しく感じる気がしますが、実は単調で平凡だし、「歌」としてはこれといった盛り上がりやドラマ性も希薄です。アレンジ面でも、とくにギターがリード・メロディを弾くパートにおけるストリングスの使い方とか、もう少しなんとかならなかったのかなぁと思ったりするし。とくにユニゾン部分とか、あまり効果的ではないと感じました。

プログレッシヴとかロックといった印象よりも、多分にオーケストラ入りポップ・ロックという印象を強く受けたのだけど、いわゆるポップ・ロックとしてのクオリティは、そんなに高くない感じです。New Trollsは優れたポップスをつくれるグループなんだけど、ここにも、「Concerto Grosso」でなければならないという縛りがあまりよくない方向で作用しているように感じます。率直にいって、たとえばRenato Zero(レナート・ゼロ)『Amore dopo amore』とかのほうがよほどドラマチックで感動的なオーケストラ入りシンフォニック・ポップ・ロックだと思うわけで。

もちろん、なかにはいい曲、かっこいい曲もあるのだけど、アルバムを通して聴いた印象は、野暮ったいメロディと平板であまり起伏のない構成の歌にオーケストラをのっけてみたらなんとなくそれっぽくなった、といった感じでした。自分にとっては。

M1「The Knowledge」は古の「Concerto grosso per I」を焼きなおした劣化コピーといった印象。もたもたとして野暮ったく、フレーズにもあまり魅力を感じません。

M2「Dance With The Rain」は印象的なバラードですが、ヴォーカルのメロディや構成に変化や起伏がなく、単調な展開で退屈を覚えます。

M3「Future Joy」やM7「Barocco'n'Roll」はバロックな香りが強くて印象的ですが、曲自体の魅力がいまひとつ。それに、こういった曲はNew TrollsよりもRondo' Veneziano(ロンド・ヴェネツィアーノ)で聴いたほうがより楽しめるように思います。

M4「High Education」~M5「The Seventh Season」は来日ステージでもっとも印象的かつかっこいいと感じた曲。哀愁のメロディを奏で、力強いリズムも刻むチェロの響きがたまりません。それをバックアップするバンドの演奏とオーケストラのアレンジもよく、美しくも哀しげなコーラスなど、新しい「Concerto Grosso」を感じます。ヨーロッパの薄ら寒い秋の街角を思わせるチェロのソロ・パートは胸にしみます。

M6「One Magic Night」のイントロは、オーボエとヴァイオリンがバロック風のたおやかなメロディを奏で、南イタリアの海の輝きを思わせるマンドリンとオーケストラがバックアップする、美しくて印象的なパート。でも歌メロにはあまり魅力がないのが残念。女性オペラ歌手による独唱部分はオペラ風で悪くない雰囲気だけど、曲のなかでは浮いているように感じます。

M8「Intro and Canone」~M9「Testament Of Time」やM11「To Love The Child」は、オーケストラが入ったそれなりの雰囲気のある哀愁バラード系ポップスなのですが、歌メロが単調かつ平凡で、構成もあまりドラマチックじゃありません。Renato Zeroの近作とかのほうがよほどシンフォニック&ドラマチックだと思います。

M10「The Ray Of White Light」は、この「Concerto Grosso - The Seven Seasons」のなかではメロディ展開や構成がよく練られているほうかなと思うのですが、やはり退屈を感じてしまうのはなぜでしょう。プログレッシヴ・グループとしてのNew Trollsのよさも、ポップス・グループとしてのNew Trollsのよさも、ここからはあまり感じられません。

M12「The Seasons Of Hope」~M13「Simply Angels」は、どことなくオリエンタルな雰囲気のあるピアノのメロディが印象的。リズム・セクションも含めたバンド演奏となるパートは力強くテクニカル&ジャジーで、オーケストラもそれに負けずに厚みのある音をかぶせ、ピアノを中心としたスローなパートはあくまでもしずかに優雅にやわらかにと、曲のなかでの起伏があります。プログレッシヴ・ロックらしい曲だと思います。

M14「Ethix」はスローでやさしい雰囲気を持ったポップス。ハープシコードのバロック風な音色や、おだやかなオーケストラも心地よく感じます。素直で美しい歌メロも好ましいです。

M15「So che ci sei」はM2のイタリア語版。まぁ、それだけです。どうせイタリア語版をつくるなら、M5、M13、M14のほうがよかったなと自分は思いますわ。



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