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2007/08/13

真夏の恐怖映画特集@自宅

というわけでもないのですけど、この週末はそれ系の映画ばかり観てました。


■蛇娘と白髪魔■
1968年製作の古い日本映画。モノクロです。楳図かずおの恐怖マンガが原作になっているそうです。産院での赤子取り違え、蛇に噛まれたことによるらしい顔の醜い赤あざと背中の鱗が原因のコンプレックス、不憫な子への育ての親による愛情など、非常にベタだけどわかりやすく共感しやすいことがらをモチーフに、そこに財産乗っ取りというこれまたベタかつわかりやすい欲望を加味してホラー仕立てに仕上げられたストーリーは、いくぶん前時代的ではあるけれども、いまでもなかなかに楽しめるものだと思います。
しかし、古い映画であることもあり、画面効果やクリーチャーのちゃちさは、ちょっときつい。あまりにおもちゃっぽく、せっかく緊張した気持ちがなんだか和んでしまいます。小学生であろう主人公「小百合」の台詞回しも、やたらとはっきりとした滑舌で大袈裟感も漂い、いかにもむかしの映画風です。いろいろな意味で、なんだかすごい映画です。そのあたりを割り引いて考えれば、いまでも充分に面白いホラー系作品ではないかしら。
最初に死んだお手伝いさんや小百合が見る「幻覚」がなぜ起きたのか(タマミもしくはしげに催眠術等の素養があったのか)が不明、しかもお手伝いは心臓麻痺で死んだのに口から血を吐いてる(心臓麻痺死でも血を吐くの?)のが腑に落ちないのと、母親は自動車事故の後遺症で記憶その他に多少の障害が起きているという設定があまり生きていないのが残念。


  

■ボディ・コレクター 背教者■
う~ん、いまいち。神対悪魔系のオカルトぽいものを期待したのだけど、極端な宗教観を持った殺人者と自称無神論者の刑事によるサイコ・スリラーでした。まぁこれも一種の神対悪魔系ともいえるのかもしれませんが。
展開がたらたらと遅く、犯人の宗教観が醸成された理由や、それがなぜ殺人の動機になるのかの踏み込みが浅いように感じられ、なんだかなぁといった感じです。犯人が残す「If you are so powerful, you can stop me!」(ちからがあるというのなら、俺を止めてみろ!)というメッセージは、なんとなく『失楽園』的というか、リュシフル的な匂いがして興味深いのだけど、そこからあまり発展しなかったなぁ。タイトルがなぜ「ボディ・コレクター」なのかもわからず。




■ミズチ 水霊■
すべてがあやふやで中途半端。人が死んでいく原因も理由もわからず、そもそも本当に死んでいったのかもわからない。けっきょくすべては響子の幻想・幻覚だったのではないかとすら思ってしまう。だって、響子って明らかに精神に異常をきたしてますよね。タイマーをかけて一定の時間に摂取してたのは、薬じゃなくて人骨だったし。きっと、出産してほどなく子供が死に、その事実を受け入れられずに自分に都合のいい幻想・幻覚を見るようになり、それに耐え切れずに旦那は離婚、以後ひとりでさらに幻想・幻覚を強めていった結果、世の中というものがすべて自分に対して悪意を持っているように感じられるようになり、その復讐(八つ当たり)のように「人間が生きるためにぜったい必要な水に悪意がこめられ、それを口にした人間たち(自分を不幸にした世の中)は滅んでいく」という妄想プランを頭の中で実体化し、最終的にはその妄想に自分も取り込まれて破滅する、というお話なのかしら?
中途半端に古事記(日本書紀か?)の記述とかからませるから、余計に薄っぺらくなってしまったように思います。そういうバックボーンを持たせるなら、きちんとそれが理由付けとして納得できるようなストーリー展開で深みを持たせてほしかったところ。残念。


  

■人形霊■
韓国ホラー。韓国に限らず、人形は怖いです。非常に古典的な怪談だと思います。ただ恐ろしいだけでなく、その底辺に深い愛情と哀しみがある。その愛と哀しみが一方的だったりするところ、満たされない一方的な愛情が憎悪や恨みとなり、その思いだけが長く残っているところ、そしてその思いがなんらかのきっかけと道具を得て実体化するところなど、典型的な怨霊話。その起源を人形師と人形に置いたところが、ベタといえばベタだけど、秀逸ともいえます。
謎の洋館に集められた(ひとりは勝手に自主参加)人々の「集められた理由」も、勘がよければすぐ気がつくだろうけれども、納得の展開。自主参加してしまった彼が自主参加した理由も、多少こじつけっぽいけれど、納得。物語の大きな部分できちんと脈絡と整合性が取れていて、破綻がないので安心して観ていられます。映像も美しく、洋館内の各所に設置された人形の不気味さも非常に雰囲気があります。ミナ役のイム・ウンギョンが非常に印象的でした。


  

■輪廻■
優香ががんばってました。『八つ墓村』『丑三つの村』を思わせる、ひとりの狂人(頭脳は非常に優秀)によるあるホテルでの短時間における皆殺し(大量殺人)が発端となっています。このときに殺された11人と、殺したのちに自殺した犯人が、輪廻転生して35年後にそれぞれそれなりの年齢の市民として生きていて、この事件を題材にした映画が製作されることをきっかけに過去の因縁がまた動き出す、といったようなお話。
しかしこれも、どこまでが「現実」なのかわからないのですよねぇ。とりあえず優香演じる「渚」が精神的にいっちゃってるのはたぶん「現実」なのでしょうが、精神的にいっちゃう前のシーンに描かれていたのはなにが「現実」なのかしら。これも見方によっては「すべてが渚の妄想・幻想」にも思えるわけで、ついでにいえば35年前の大量殺人も犯人および被害者の輪廻転生もぜんぜん関係ないかもしれないわけで、あのばあさんだって人形やスーパーボールだってどこまでが「現実」のものなのかもわからないわけで。なにかの病気などで妄想気味だったところへインパクトの強い大量殺人の話とかドラマとかを見て妄想が増大し、現実にはなかった事件を「現実」と思い込み、死者が甦って復讐に来ると思い込み、もう手のつけようがなくなってしまった患者の頭の中を映像化しましたといわれても、それはそれでありといった感じのお話でございました。
しかし、やっぱり人形は怖いよ。だけど、最後に人形が変な表情をするのはおかしい(笑う)よ。鑑賞後の印象としては、津山事件を題材にした皆殺しものとゾンビもの、さらには『チャイルド・プレイ』が入り混じったようなホラーといったところでしょうか。


  

■LOFT■
豊川悦司と中谷美紀が主演。なんだかよくわかりません。ミイラの持つ意味も、80年前だかに引き上げられたときのミイラ映像の持つ意味も、安達祐美の役柄が持つ意味も、どれもあやふや。最初に中谷美紀が泥を吐くのも、彼女とミイラとのかかわりもわからん。あと、たとえ若手の新人(なのか?)とはいえ作家さんに対してあんな対応のしかたをする書籍編集者がいるなんてのは、ぜんぜんリアリティを感じないのですけれど、文芸の世界ってああなのかしら? 物語もよくわからず、主張やテーマもよくつかめず、ただ草木の緑色があまりにも鮮やか過ぎて気持ちが悪いという印象だけが残りました。


  


そんなわけで、「怖い」という意味ではかなり不作気味な週末でありました。いちばん怖かったのは今朝、廊下を歩いてたら壁にとまってた死にかけのセミが「ヂヂヂ」といいながら急に飛び立ち、おいらの頭に当たったことです。虫嫌い! びっくりするし、怖いよ。頭に当たったあと廊下に落ちて裏返ってましたが、あいつはきっとまたなにかの拍子に突然飛んだりするんだ。死にかけセミはめっちゃ怖いです。

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