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2007/06/20

TAI PHONG / LAST FLIGHT (1979)

ヴェトナム出身のヴォーカリストを擁したフランスのグループ、Tai Phong(タイ・フォン)といえば、良くも悪くも「Sister Jane」がやはり代表曲といえるわけで、その強力な哀愁に満ちた甘いメロディとハイ・トーン・ヴォーカルの印象が強く残っている人も多いでしょう。

1975年のデビュー・アルバム『Tai Phong』、翌76年の『Windows』から少し間をおいて1979年にリリースされた『Last Flight』は彼らのサード・アルバムにあたるわけですが、少し間を置いたあいだに、おそらくTai Phongというグループ名の由来の一部なのであろうヴォーカル&ベース&キーボードのTai(タイ)と、演奏面における哀愁の大きな部分を担ってきたキーボーディストのJean-Alain Gardet(ジャン・アレン・ガルデ)がグループを抜けています。それもあってか、このアルバムはそれまでの作品とくらべると、ずいぶんと肌触りが違います。

端的にいって、なんだかとっても明るく爽やか。泣き泣きの哀愁を背負ったTai Phongはいずこへ?といった感じです。M1「End of an end」なんてアコースティック・ギターのスリー・フィンガー奏法にのって爽やかなコーラスでヴォーカルが取られ、Crosby, Stills & Nash(クロスビー・スティルス・アンド・ナッシュ。CS&N)ですかとか思ってしまいました。M6「How do you do」もそうですが、フランスとかプログレとかいうよりも、コーラスのきれいなアメリカのフォーク・ロックやポップ・ロックといった印象で、どことなく西海岸の香りすら漂う気がします。間奏部のギターやキーボードなどはほどよく哀愁があるプログレ風なんですけどね。

そうかと思うとM3「Sad passion」は古いイギリスのポップ・ロックみたいで、明るく軽快なのだけどやわらかく美しいメロディが楽しめます。たぶん自分、Pilot(パイロット)Elton John(エルトン・ジョン)の曲だよといわれたら信じそうです。

そんなわけで、これまでのTai Phongのイメージとずいぶん違うのですけれど、9分を超える大曲2曲、M2「Farewell gig in amsterdam」とM5「Last Flight」には、わずかながらもTai Phongらしい哀愁が残っています。公園かどこかで遊ぶ子供たちの声のSEに導かれてアコースティック・ギターのアルペジオから始まるM2のヴォーカル部にはプログレッシヴ・フォークのような透明な幻想風味がありますし、ピアノの演奏などにはほんのりジャジーな雰囲気とともにやわらかな哀愁が振りまかれていて、シンフォニック・プログレッシヴとしてのTai Phongらしい味わいがあります。M5もエレキ・ギターのコード・カッティングとハイ・トーン・ヴォーカルの組み合わせが往年?のTai Phongを想起させますし、ギター・ソロの哀愁、終盤のキーボード&高音ヴォーカルの組み合わせもTai Phong風。ただ、どちらの曲も、かなり明るい感じではありますが。

全体に、曲自体のメロディやアレンジはけっこういいと思います。ただそれは、哀愁のシンフォ・プログレとしてのよさではなく、やわらかなポップ・ロックとしてのよさです。「Sister Jane」のTai Phongがすごく好きという人や、Tai Phongという名前から哀愁シンフォを期待する人にはすすめにくいですが、プログレ・ポップやシンフォ・ポップなども好きな人なら、けっこう愛情をもって接することができる作品だと思います。


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コメント

もあさん、お久しぶりです。
このポップ路線を引き継いで出来上がったのが黒人の女性ヴォーカルを入れたフレデリックス、ゴールドマン&ジョーンズという3人組のグループなんです。
タイ・フォンのこのアルバム、僕はけっこう好きです。

投稿: ニコラ | 2007/06/21 20:09

フランスとか、プログレとかを意識しなければ、なかなか可愛らしいポップ作品だと思いますわ、このアルバム。
そういえばJ.J.ゴールドマンのソロ作品って、聞いたことないや。

投稿: もあ | 2007/06/25 09:00

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