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2007/05/21

週末映画

■みんなのいえ■
三谷幸喜監督・脚本作品。面白かったですよ。なんかね、主要登場人物がある意味で「人間としてダメ」な人ばかりなの。人の意見を聞くフリをしてるけど自分の意見しか通さない奥さんとか、相手にとってわかりやすいように伝えることにまったく配慮せずに主義主張を叫び続けるデザイナーとか、自分の知識と経験の範囲内でしかものごとを判断しない大工とか、いろいろな人の意見に左右されてオロオロと妥協を繰り返しているばかりの旦那とか。すべてに共通するのは、他人に対する尊敬がまったくない、自分勝手な人たちばかり。日常にも最近とくに増えてきている感じの人たちですね。
ただ、この映画では、そういった人たちがちょっとしたきっかけで相手のことを考えるようになり、相手の持つ想いと自分の持つ想いとのあいだに共通点や類似点を見つけ、他者への理解と、社会生活を営むうえで必要な最低限の他者への尊敬、それをないがしろにしていた自分への反省が生まれる様子が、それぞれの登場人物が持つ「自分の仕事に対する真摯な思い」を核にして描かれているのが素敵なんだな。
旦那もデザイナーも大工も、みんなクリエイターでありアーティストであり職人でもある。それゆえの反目と理解。こういうの、わかる気がする。現在の自分の仕事である書籍編集の世界でもあるから。梁の上にそっと墨壷を置く話、いい話だ。これはたしかに自分がつくったものだけど、それを知っているのは自分と神様だけでいい――こういう感覚、書籍編集の仕事でもあるもの。
情けない旦那役のココリコ田中さんが、なかなかいい味を出していた。三谷さんの映画では、『ラヂオの時間』『THE有頂天ホテル』よりも自分は好きかも。

  


■博士の愛した数式■
この映画を最初に観たのは飛行機の中だったので、画面がとても小さかった。そのあと原作小説も読んだ。とてもすがすがしく素敵なお話。地上波テレビでの初放送だそうだけど、少しカットされたシーンがあったかな。博士のために野球選手カードを探すのって、あれは原作小説だけだったっけ。映画として画面を見たような気もするのだけど、少なくとも地上波放送された映画では出てこなかった。
博士の愛した「ある数式」そのものの持つ意味とか役割とかはよくわからなかったし、義姉との不倫という設定が物語上どうしても必要だったかというと、なくてもよかったというか、ないほうがよかったようにも思うのだけど、それらが瑣末なことに感じられるほど、博士の「数への愛情」と真理を見極めたいという欲求、数学的な美の追求と、その濁りのなさによる家政婦母子への影響が、とてもさわやかで気分がいい。また、そうした博士と家政婦母子を包み込むように広がる博士宅周辺の美しい自然も、博士が求める数式の美しさと呼応しているようで、印象的。博士役の寺尾聰さんと家政婦役の深津絵里さんも、役柄にぴったりといった感じだった。

  


■マルホランド・ドライブ■
以前に観たときは地上波の深夜映画で、たしか30分くらいのカットがあった。過去と現在、虚構と真実、希望と現実が複雑に入り組んだ内容で、系統立てて筋道を把握しようとすると非常に難解なのだけど、ざっくりと全体を眺めれば、ハリウッドスターになることを夢に田舎から出てきた新人女優の挫折と破滅を描いた非常に哀しい物語であることがわかる。ただ、あちこちに意味のありそうななさそうなアイテムが散りばめられ、それらが時間を置いて再登場したりするので、観ていて混乱するのだな。それらのアイテムのなかには、最後まで意味がわからなかったものもいくつかあり、それはきっと30分もカットされているからなのだろうと思っていたのだけど、ノーカット版を観てもわからないものはやっぱりわからなかった。というか、かえって複雑さが増してしまった感じがする。そう考えると、地上波版のカットのしかたって「ストーリーの核を浮き上がらせる」という意味では上手だったのだな。
複雑だけど、やはり「哀しい」という印象が残る。その印象と、大枠としての「挫折と破滅の物語」というテーマを頭に置いたまま、複数回の鑑賞でさらに広がりや発見や感慨が生まれそう。何度も観たくなる作品だと思うし、複数回の鑑賞に堪えうる作品だとも思う。

  


■エリザベス■
自分は『パイレーツ・オブ・カリビアン』に出てくるキャプテン・バルボッサがけっこう好きで、あの映画のなかではジャック・スパロウよりもバルボッサのほうが圧倒的にかっこいいと思っているのですよ。そのバルボッサを演じたジェフリー・ラッシュがこの映画にも出ていると知り、どの役の人がジェフリー?と探したのだけど、なかなかわからなかった。バルボッサとウォルシンガムでは、ずいぶん印象が違いますね。声が似てるのでウォルシンガムかなぁと思いながらずっと観ていたのだけど、最後まで確信は持てず、けっきょくスタッフロールで確認しちゃった。
ストーリー的には、なんか、あまり盛り上がらなかったように思います。ていうか、昨日観たばかりなのに、内容をほとんど覚えてない。史実をもとにした物語なのでしょうが、どうも「外から見てる」的というか、解説書や教科書を読んでいるような印象で、登場人物への感情移入とか投影とかがほとんどできなかったな。エリザベスさん、いろいろたいへんだったんだね、おつかれさま... といった感じでした。




■サイレン FORBIDDEN SIREN■
これは、ダメでしょう。なんかもう、ありえなさすぎ。たぶんモチーフは『八つ墓村』や『丑三つの村』『野生の証明』などと同じ、いわゆる「津山事件」とか「杉沢村伝説」なんだろうと思うのだけど、それらの作品とくらべると、あまりに説得力がない。けっきょくは、妄想でしょ。それにより引き起こされた惨殺でしょ。実際、映画の最後でも刺し殺されちゃってるし。なのに映画の冒頭で出てくる島民全員失踪事件のシーンでは、あらそったあとも惨殺の痕跡もなく、食事の途中で忽然と姿が消えたように描かれてる。なぜサイレンなのか、なぜ彼と彼女なのか。そのあたりもほっぽりぱなしで、なんでもありなのかよって感じ。音や画面でおどろげな雰囲気だけは盛り上がるけれど、恐ろしさはぜんぜん感じなかった。

  

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