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2007/04/13

ROSARIO DI BELLA / IL NEGOZIO DELLA SOLITUDINE (2007)

2000年の前作『I miei amici』から7年ぶりにリリースされたRosario Di Bella(ロザリオ・ディ・ベッラ)のアルバム。彼は寡作な人で、アルバム・デビューは1989年なのですが、このアルバムでやっと5枚目だったりします。デビュー作から2枚目までが2年、2枚目から3枚目までに4年、3枚目から4枚目が5年、そして5枚目が出るまでに7年かかりました。このペースだと、次のアルバムが出るのは10年後くらいになりそうです。ちなみに、自分のアルバムはときどき思い出したようにしか出さないのですが、楽曲提供は頻繁に行なっているようで、最近では2007年のサンレモ音楽祭でPaolo Meneguzzi(パオロ・メネグッツィ)が歌った「Musica」がRosarioの曲だったりします。

で、Rosarioのこのアルバムなのですが、おおまかな印象は「これ、本当に2007年にリリースされたものなの?」でした。時代遅れとか古臭いといった悪い意味ではなく、よい意味で「時間が止まっている」と感じます。最近ではなかなか聴かれなくなってきた、素朴でやさしいメロディ。あまり密度や圧力が高くない、だけど行き届いた感じのシンプルでおだやかな演奏。短い収録時間。どれも、音楽が一緒にいて疲れない、気の置けない友人だった良い時代を思い出します。

M1「Invece no」は粘っこいエレキ・ギターの音がむかしのニューウェーヴ系のグループみたいで、Rosarioにしてはちょっとめずらしい感じです。

M2「Portami via」のイントロはチェロでしょうか。中低音の弦楽器が美しく響きます。スローのおだやかな曲で、メロトロン・フルートのような音色のキーボードによるコード弾きも可愛らしくてノスタルジック。歌メロにも、ほんのり哀愁とノスタルジィを感じます。聴いていて、自分はIvan Graziani(イヴァン・グラツィアーニ)の曲とかを思い出しました。

M3「Mi dispiace」はミディアム・テンポのポップ・ロック。8ビートを刻むリズムとエレキ・ギターがむかしっぽく感じます。シンプルなメロディを重ねた歌メロも懐かしい感じ。

M4「Il tempo」はアコースティック・ギターのアルペジオで始まり、前半はほとんど弾き語りのフォーク調。おだやかで、やわらかく、少し寂しげな感じがあります。後半ではコーラスなども入りますが、華やかになるというよりは、可愛らしい印象です。

M5「La vita va cosi」ではチープな音色のシンセサイザーやリズム・ボックスを使い、古いエレ・ポップ風な要素を大きめに導入しています。こういった安っぽい音づくりや演奏は自分の好みではないのですが、こういった感じ、一時のイタリアン・ポップスによくありましたね。メロディはけっこう素直できれいですが、歌謡曲っぽい雰囲気があるところも一昔前のイタリアン・ポップス風といった感じです。

M6「Abbracciami」は素朴で優しい感じのするヴォーカルがカンタウトーレらしくて、自分の好きなタイプ。ピアノのゆっくりしたアルペジオとヴァイオリンのアコースティックな音色があたたかく響きます。そのうしろではシンセサイザーによるリズムが小さく鳴っているのですが、その対比も悪くありません。最初は地味に始まり、後半に向けてオーケストレーションなども入れて徐々に盛り上がっていく展開は、ベタではあるけれど、やはりイタリアらしい感じがして好きです。

M7「Pace non ho」は、サビの部分で「ランランランラン」というコーラスが入るのですが、このコーラスが聞こえてくると頭のなかのスクリーンに、淡く明るい色の花がたくさん咲いている春のようなイメージが浮かびます。なんだか、平和で幸せな気分になります。

M8「Sono io」もノスタルジックな響きを持ったポップ・ロック。イタリアのノスタルジィというよりはイギリスのものに近いかなとも思うのですが、それよりも「ヨーロッパ風」といったほうがいいのかもしれません。Lunapop(ルナポップ)にも通じる懐かしさがあると思うのだけど、Lunapopほどイギリスぽい感じはしません。

M9「Un uomo」はミディアム・テンポで軽快な曲なんですが、自分の好み的にはいまいち。

M10「I nostri veri eroi」はアルバムの最後を締めるにふさわしい、おだやかで美しいスローな曲。ピアノとヴァイオリンのアコースティックな音色、やさしいヴォーカル、おとなしいけれど明るい感じのコーラス、どれもたおやかで、心に響きます。サビのあたりではまたIvan Grazianiをちょっと思い出したりしました。

最近の流行とかとはまったく関係ないところにいるような作品で、いまの音楽市場にどれだけアピールするのかはわかりませんが、でも自分はこういったポップスが好きです。地味だけど、くつろいだ気分になれるアルバムだと思います。

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