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2007/02/16

TEMPIDURI (2003)

Tempiduri(テンピドゥーリ)は、Cristiano De Andre'(クリスティアーノ・デ・アンドレ)がソロ・デビューする以前に参加していたグループ。もともとは『Chiamari Tempi Duri』というタイトルで1983年にリリースされた、おそらく彼ら唯一のアルバムにシングル曲や未発表曲を数曲追加してCD化したもののようです。

グループは4人組で、Cristianoはギター、ヴァイオリン、ヴォーカルを担当していますが、メイン・ヴォーカルはベースとギターも担当するCarlo Facchini(カルロ・ファッキーニ)のようで、曲もほとんどがCarloのものなので、たぶんCarloがリーダーなのでしょう。

どうしても「Cristianoが以前にいたグループ」という印象で聴いてしまうため、どこかに地中海ぽさはないかとか、お父さんのFabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)の作風に通じるところはないかなどと偏った聴き方をしてしまうのですが、ソロになってからのCristiano作品との類似性は、あまりなさそうです。

全体に軽快なカントリー・フレーバーのフォーク・ロックといった感じで、アコースティック・ギターのストロークを中心に演奏され、Carloの土臭いヴォーカルがいっそうカントリーぽさを強めます。かぎりなくクリーン・トーンに近いわずかにオーヴァードライヴ気味のエレキ・ギターがフィルイン風にフレーズやコードを奏でたりするところは、Dire Straits(ダイア・ストレイツ)と印象がとても似ているように感じます。Cristianoの奏でるヴァイオリンは、ヴァイオリンというよりはフィドルといったほうが似合いそうな印象が強く、やはりカントリー風。あまりイタリアの香りはせず、どちらかというとアメリカ、古き良き時代のカントリー・ロックといった感じです。Massimo Bubola(マッシモ・ブボラ)よりは土臭さが抑え目だけど、Dire Straitsよりは土臭いといったところでしょうか。

土臭いフォーク・ロックのM1「E.I.」や、メッセージ性を感じさせる重いフォーク・ロックのM3「Regina di dolore」、古いアメリカ映画に出てくる田舎のバーが似合いそうないなたいカントリー・ロックのM8「In una notte cosi'」、クリーン・トーンのエレキ・ギターの音色を生かしたDire Straits風のM2「Tempi duri」やM5「Elena」など、味わい深いといえば味わい深いのですが、いくぶん玄人向け、コア・リスナー向けかもしれません。

個人的には、アルバム全体のイメージとは少し違うM4「Stella d'autunno」とM10「Il castello」が好きかな。M4はイントロのアコースティック・ギターによるアルペジオが美しく、明るい陽射しと乾いた空気と青い空を感じます。むかしのプログレッシヴ・フォークとかを思い出します。エレキ・ギターのソロも希望へと向かうような雰囲気がありますし、フィドルも肯定的な響きです。古き良き時代のロックを思わせます。M10はロマンティックなスロー・チューンで、ここではフィドルではなくヴァイオリンといったほうがふさわしい音色が聴けます。その後のCristianoにも通じるかもしれない、イタリアらしい美しさを感じる曲です。

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