MANUEL AUTERI / LE MIE ABITUDINI (2006)
ボローニャ生まれで2005年にシングル・デビューした若手カンタウトーレ、Manuel Auteri(マヌエル・アウテリ)のファースト・アルバムです。1998年のカストロカーロ音楽祭(Festival di Castrocaro)でセミ・ファイナルまで残り、その後はVasco Rossi(ヴァスコ・ロッシ)のツアーに参加したりなどして音楽活動を続けていましたが、2004年にGatto Panceri(ガット・パンチェーリ)
と出会ったのが転機になったようです。2005年の3月4日にはサンレモ音楽祭の会場としてよく知られるアリストン劇場の前でGatto
と一緒に歌うなどして交流を深めました。そんなこともあってか、このデビュー作ではGatto
が3曲ほどで楽曲制作に協力しています。
で、アルバム全体の印象なんですが、率直にいって、平凡です。プログラミングされたキーボード・オーケストレーションがどの曲にも配置され、ミドル・テンポを中心としたなめらかなメロディをバックアップします。ほどよくイタリアぽい感じはありますが、英米的なメロディアスさも多分にあり、けっこうあっさりしています。どの曲もそれなりにいいのだけど、突き抜けた感じはないし、とくに味わい深いというわけでもなく、さらっと聴きやすい印象です。
M1「Le mie abitudini」はイントロのコード進行がむかしのAmedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)ぽくて、ちょっと期待したのだけど、メロディと軽いリズムは普通の最近のポップスでした。M4「Argento」は、なんだかTiziano Ferro(ティツィアーノ・フェッロ)
の劣化コピーみたいな印象。M6「Inno leggero」は途中でAndrea Binetti(アンドレア・ビネッティ)というテノール歌手の歌唱が入るのですが、その瞬間Andreaにすべて持ってかれてしまっているというか、明らかにAndreaが歌っている部分のほうが魅力的に感じてしまいます。
M8「Sara' il mattino」などはなかなかいい曲で、シンプルでゆったりとしたメロディと、わかりやすくドラマティックな構成を持っています。ただ、ヴォーカルが平凡なので、この曲の魅力がうまく表現されていないんじゃないかという印象を受けてしまいます。もっと声量があるとか、表現力があるとかしたなら、さらにドラマティックに歌い上げられたのではないかと思ったり、逆に、もっと弱弱しかったり儚かったりしたなら、もっとロマンティックになったのではないかと思ったり。
M5「Tramonto e fragole」も、ありがちな感じの曲ではあるけれど、明るくてあたたかい曲調は好印象です。コーラスの使い方とかがちょっと英米ぽい感じで自分の好みとは違いますが、歌メロにはイタリアらしい美しさが散見(散聞?)されます。ただ、その“イタリアらしい美しいメロディ”がどれも「どこかで聞いたことがある」感満載なのが残念ではあります。
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