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2006年10月1日 - 2006年10月7日

2006/10/05

MARCO FABI / LA SCELTA (2005)

1977年8月28日、ローマ生まれの新人カンタウトーレ。これはデビュー・アルバムです。Fabiという苗字から想像がつきますが、Marco Fabi(マルコ・ファビ)はプロデューサーとして有名なClaudio Fabi(クラウディオ・ファビ)の親戚で、Niccolo' Fabi(ニッコロ・ファビ)のいとこ、Renzo Arbore(レンツォ・アルボーレ)の甥にあたるそうです。

このアルバム、いいです。自分、好きです。Marcoのヴォーカルはあまり力強さとか表現力とかはなくて、どちらかというと淡々とした感じなのですが、あたたかみとやさしさに独特の浮遊感が入り混じったようで、ときにバックの演奏とともに幻想風味を醸したりするところが魅力的。演奏もアコースティック・ギターを中心にしたミディアム・テンポのフォーク・ロック風なものが多いのですが、そこにストリングス・アンサンブルやコーラスが趣味よく入り、堅苦しくないアート風味が付け加わったり、ときにサイケデリックやプログレッシヴの香りが漂ったりするところが魅力的です。

M1「La scelta」はピアノとギターを中心にした、どことなく重い感じはするけれど幻想味もあるサイケ風味のフォーク・ロック。コズミックな印象のSEも入り、ほのかにプログレ風味も感じます。

M2「Insieme al vento」ではアコースティック・ギターのアルペジオにやさしいヴォーカルがのり、ヴァイオリンとコーラスの助けも借りて、おだやかで叙情的なフォーク風のポップスが展開されます。どこか儚い感じの浮遊感もあり、アートの香りもします。

M3「La collina di vetro」ではアコースティック・ギターのコード・ストロークに、寂しげなヴォーカルが乗ります。ストリングス・アンサンブルと女性コーラスが、Marcoの歌を支えます。

M4「Strum」はアルバム中唯一のインストゥルメンタル曲。ビヨビヨと鳴るシンセサイザーと、ブォーと唸るシンセサイザーのうしろで、アコースティック・ギターが幻想フォーク風のアルペジオを奏でるという、変な小曲。

M5「Chiedimi」は、ちょっとひねくれたフォーク・ロックといった感じでしょうか。アコースティック・ギターによるコード・カッティングとハンド・クラップをバックに、シンセサイザーはびょんびょんと鳴り、エレキ・ギターはサイケデリックな雰囲気を振りまきます。左右に振り分けられたコーラスも精神が混乱しそうです。

M6「Ad occhi chiusi」では、ゆっくりしたスリー・フィンガー風のアルペジオをアコースティック・ギターが奏で、透明な空気を感じます。ヴォーカルとハーモニーを取る女性コーラス。幻想フォークやサイケ・フォークの雰囲気も漂いますが、印象としてはそれらよりもっと明るく、あたたかい感じです。

M7「Io ti adoro」ではいきなりフルートの音色が響き、これまでの流れからして、もしやこのままプログレッシヴ・フォーク風になるのかと思ったのですが、ヴォーカル・パートが始まると比較的軽快なリズムのポップ・ロックになっていきました。しかしサビではプログレッシヴな匂いが漂うエレキ・ギターのストロークとストリングス・アンサンブルがバックで響き、ただのポップスでは終わりません。

M8「Immobile」は、のんびりした感じのフォーク・ロック。むかしのサイケ・フォークや、古き良き時代のブリティッシュ・ポップスに通じる香りがします。

M9「Come ieri」はミディアム・テンポのポップスですが、なんだか飄々とした感じで、楽しげです。この曲も、ポピュラー・ミュージックが極端に売れ線指向になる前の、古き良き時代の英米ポップスの香りがするのですが、コーラスの使い方とかがあの頃に似ているのかもしれません。

M10「Intervallo di calma」は、聴いていると天気のいい満月の夜に空を見上げているような気分になります。やわらかなアコースティック・ギターのアルペジオ。浮遊感のあるMarcoのヴォーカルに彩を与えるスキャット・コーラス。SE風に使われるエレキ・ギター。おだやかなフォーク・ポップスです。

M11「Cerco casa」はテープの逆回転SEからスタートします。この時点でレトロなアート感があります。曲が始まると、エレキ・ギターのコード・カッティングに乗ってガチャガチャとしたロックになるのですが、サビでは大きく場面転換します。リズムはスローになり、ストリングスも入って、独特の幻想味と浮遊感が加わり、一気にアートな雰囲気になります。

M12「Another man's world」は、タイトルからもわかるように英語で歌われています。アコースティック・ギターのストロークを中心に、Marcoと女性ヴォーカルが交互に歌い、ときにハーモニーを奏でます。ロック色の強いフォーク・ロックといった感じですが、これも古い英米の匂いがします。アルバムの最後を締める曲としては、ちょっと平凡だし、弱いかな。なんだかボーナストラックを聴いてるような感じです。

たぶん日本でこのアルバムを聴く人は少ないだろうし、おそらくイタリア本国でも話題になることはないだろうと思うのだけど、でも自分はきっと、こういった音楽にときどき出会えるから、わざわざイタリアン・ポップスのアルバムをいろいろと聴いてるんだなと思います。うん、なかなかおもしろい、いい買い物をしたな。

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2006/10/04

MONDO CANDIDO / MOCA (2002)

1999年にフィレンツェで結成され、2001年にシングル・デビューした3人組のニュー・グループ、Mondo Candido(モンド・カンディード)のデビュー・アルバムです。日本盤がリリースされてます。2年くらい前に自動車のCMか何かで彼らのカヴァーした「月影のナポリ」が使われていたらしく、そんなこともあっての日本盤リリースなのかもしれません。

ジャンルとしては、いわゆるラウンジ・ミュージックというのでしょうか(こういった新しい音楽ジャンルって、よくわからないのですけれど)。ボサノバのリズムを上手に取り入れ、おしゃれに、ちょっとロマンティックに、やわらかい演奏を聴かせてくれます。ときにウィスパー風味もまじえたLuisella(ルイゼッラ)のヴォーカルは、イタリアというよりはフレンチ・ポップスの雰囲気があるように思います。実際、M6「La vie a deux」はフランス語の歌詞で歌われていたりするし。ちなみにこのM6、どこかで聴いたことのあるメロディのような気がするのだけど、気のせいかしら。

また、グループ結成当時はインストゥルメンタルを演奏していたらしく、古いBGM系イタリアン・ポップスや、部分的には往年のイタリアン・プログレッシヴ・ロックにも通じるM4「Gente elegante」や、都会的な洗練のなかに大人の哀しみや孤独が入り混じっているようなM7「La calda notte」といったインスト曲もあります。こうしたインスト曲は、どことなく映画音楽風の印象があります。フランス語ヴォーカルの入ったM6は、フレンチな香りのするクラブ系のポップスなのだけど、エレキ・ギターの演奏は、やっぱり古い映画音楽、それもサスペンス・アクション系の映画に使われていそうと思わせます。

Earth & Fire(アース&ファイア)Shocking Blue(ショッキング・ブルー)などといった古いダッチ・ポップスをおしゃれにしたようなM2「Cambiare idea」、ゆっくりとしたディストーション・ギターの音色とウィスパーまじりのヴォーカルが幻想的なフレンチ風味を醸すM3「Mondo candido」、ラテンのニュアンスを持った、ザ・ピーナッツとかがカヴァーしていそうなM5「Meglio stasera」などは、古き良き時代の洋楽ポップス、ユーロ・ポップスの香りがあります。

M8「Invisible」は、いかにもおしゃれ系な女性ポップス。イタリアのメロディアス系女性ポップスに通じるところもありますが、一般的なイタリアン女性シンガーほど力強く歌い上げない感じがやはりちょっとフランス風?

M10にはRita Pavone(リタ・パヴォーネ)の「Fortissimo」が、日本盤のボーナス・トラックのM12にはMina(ミーナ)の「Converzione」がカヴァーされていて、イタリアの往年のポップスに対する愛情と尊敬も持ち合わせていることがわかりますが、かといって「イタリア的である」ことにはそれほどこだわりがなく、もっと気楽に「気持ちのいいヨーロッパの音楽」を演奏していきたいんだろうなという感じがあるところが好ましいです。


 

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2006/10/03

THE MOODY BLUES / HALL OF FAME (2000)

中古で安く落ちていたので、ひさしぶりにThe Moody Blues(ムーディ・ブルース)のCDなど買ってみました。音楽的興味の中心がプログレッシヴ・ロックだった学生時代によく聴いてたな、Moody Blues

これは2000年にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行なわれたライヴを収録したもの。バックにはThe World Festival Orchestra(ワールド・フェスティヴァル・オーケストラ)を従えているということで、初期の頃のシンフォニックな彼らの演奏が再現されるか、とちょっと期待したのですが、さすがに30年も前の味わいが出るわけもなく、全体に軽やかでポップな感じになっていました。ポップ度の高まった中期以降(=オリジナルを聴いたことがない)曲はもちろん、オーケストラ比重の高い初期の曲も、たぶんオリジナルより少しテンポ・アップしているのかな、軽快に聴こえます。また、World Festival Orchestraの奏でる音色も、艶やかな厚みと旨みというよりは、さわやかで上品な美しさといった印象で、それも曲の軽快感を高めるのに寄与している感じ。

おだやかなパートでも激しいパートでも、あまり感情的にならず、どちらかというと淡々と、牧歌的とさえいえそうな落ち着いた歌い方をくずさないところは、やはりイギリス、というか、英国的。こういった匂いって、Barclay James Harvest(バークレイ・ジェームス・ハーヴェスト)などにも通じますね。この雰囲気はけっこう好きなのだけど、こうしていろいろな時期の曲がランダムに演奏されるライヴで聴いてみると、Moody Bluesって、単発の曲で聴かせるメロディ・メイカーとしては、あまり魅力的なグループじゃなかったのかも。テーマと、それに沿った流れを持ったアルバムで聴いたほうが魅力的な感じ。ひさしぶりに『Every Good Boy Deserves Favor』とか『To Our Children's Children's Children』とか聴きたくなってきました。

ちなみに、大ヒット曲の「Nights in White Satin」はもちろん演奏されていますが、彼らの曲のなかで個人的にもっとも気に入っている「One More Time to Live」が演奏されていないのが残念。でも、この曲、このライヴのポップな雰囲気には合わないやねぇ。



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