STEFANO GIACCONE / TRAS OS MONTES (2006)
Stefano Giaccone(ステーファノ・ジァッコーネ)、1959年アメリカ・ロサンゼルス生まれ。7歳でトリノに渡り、独学でサキソフォンとギターを覚えた彼は、14歳で演奏活動を始めました。、フォーク、ロックからジャズ、パンク、アヴァンギャルドと、幅広いジャンルで数多くのギグを行ない、イタリアだけでなくドイツ、スイス、スペイン、フランス、ノルウェイ、デンマーク、イギリスなど、多くのヨーロッパの国々で演奏しました。こうしたグループでのセッションと同時に、ソロ活動も続けていました。
1982年にFranti(フランティ)というグループ(1980年代のイタリア・アンダーグラウンド・シーンにおける重要なグループだったそうです)を結成すると同時にBlubusというインディーズ・レーベルを設立し、アルバム・デビュー。1991年にはイタリア国内ではわりと有名だったらしいKina(キーナ)というパンク・グループに参加。これらの活動と同時に、他のアーティストのアルバムやツアーでのセッションやプロジェクト活動なども積極的に行ない、またソロ・アーティストとしても1989年にアルバム・デビューしています。
ソロやらコラボレートやらセッションやらとさまざまなアルバムがあってディスコグラフィがわかりにくいStefanoですが、Italianissima(http://www.italianissima.net/)やRockit(http://www.rockit.it/)などによると、この『Tras os montes』は彼の5枚目のソロ作品となるのだそうです。
非常に端整かつ地味な内容ですが、アコースティックを中心にした演奏はおだやかで美しく、またStefanoの歌声も落ち着いたやさしさがあり、自分は気に入っています。一部に電子楽器の入った曲があり、そこにはパンクやアンダーグラウンド出身のStefanoの姿がチラッと垣間見える気がしますが、それ以外の曲は、たとえば冷たい空気が気持ちのいい薄い朝もやの中にいるような、あるいは霧のたちこめる湖のうえで音楽を聴いているような、そんな風景や印象が湧き上がってきます。どことなくウィンダム・ヒル系のような雰囲気も感じられる気がします。ロマンティックなカンタウトーレ作品で、強いイタリア色はないものの、イタリアを含めたヨーロッパの香りや気品のようなものは存分に感じられます。1998年以降はイギリス(最初はロンドン、現在はウェールズ)を生活拠点にしているそうで、それもまた、少し湿った感じのロマンティシズムを生み出すのに貢献しているのかもしれません。
彼のアルバムはもう1枚、別の作品を持っているのですが、それもたしか同傾向の内容で、自分にとってはちょっと気になる、好ましいタイプのカンタウトーレです。
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