ROBERTO DE SIMONE / BELLO CANTARE (2006)
1933年4月25日、ナポリ生まれのRoberto De Simone(ロベルト・デ・シモーネ)は、ピアニストであり作曲家であると同時に俳優としても活動しているようです。しかしイタリアン・ミュージック・ファンにとっては、1967年から1974年まで在籍したNuova Compagnia di Canto Popolare(ヌォーヴァ・コンパーニァ・ディ・カント・ポポラーレ。NCCP)での活動のほうが馴染みがあるかもしれません。
映画や舞台用のサウンドトラックや自身のアルバムなどが入り乱れていてディスコグラフィがよくわからないのですが、この『Bello cantare』は2006年リリースのアルバム。しかし、録音等は1986年に行なわれていたようです。
かなりトラッド寄りの内容で、演奏もアコースティック・ギターを中心にしたシンプルなものでもあり、非トラッド系ポップスのファンにはちょっときつい部分もあるかと思います。でも、完全なトラッドというわけではなく、ナポリ風な哀愁が漂うところがあったり、クラシカルな優雅さを持ち合わせていたりもします。
M1「Cuccopinto de st'arma」はアコースティック・ギターをバックに男声中心の合唱で歌われます。ときに女声も加わり、ナポリの香りのするトラッドをたくさんの歌声が満たします。
M3「So' li sorbe」は男性の独唱ですが、アコースティック・ギターのほかにバイオリンのアルペジオも入り、クラシカルな雰囲気が強く漂います。どことなく聖歌風にすら聞こえます。
M4「Il Guarracino」は細かい音符で早口に喋り捲るヴォーカルが印象的なトラッド系音楽。ナポリの哀愁もまじっています。後半では、哀愁はそのままに、男声・女声のコーラスが入り、厚く、にぎやかになっていきます。
M5「Vecchie Letrose」では男声・女声によるコーラスや掛け合いといったヴォーカリゼーションが印象的です。トラッド・ベースの音楽ですが、ガット・ギターや弦楽器、管楽器も入り、ヨーロッパのサロン・ミュージック風な優雅さも感じます。
M7「Canna austina」はキラキラした感じのマンドリン(だと思います)の音色とフルートの淡くやさしい響きが印象的。哀愁と優雅さがあり、クラシカルな雰囲気も持ったトラッド・ポップスといった感じでしょうか。
M9「Tarantella」はギターとヴァイオリンによるインスト古楽器アンサンブルといった感じです。
完全なトラッドでもないし、いわゆるポップスでもないという、こういったタイプの音楽は、ファンを選ぶと思いますが、NCCPなどのトラッド・ポップスが好きな人は楽しめるのではないかと思います。また、たとえばAmazing Blondel(アメイジング・ブロンデル)
やOpus Avantra(オプス・アヴァントラ)
、Kormoran(コルモラン)
などの奏でる音楽のある一面に通じる部分もあると感じるので、そういった系統のプログレッシヴ・ファンにもアピールするところがあるかもしれません。
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