MONDO CANDIDO / MOCA (2002)
1999年にフィレンツェで結成され、2001年にシングル・デビューした3人組のニュー・グループ、Mondo Candido(モンド・カンディード)のデビュー・アルバムです。日本盤がリリースされてます。2年くらい前に自動車のCMか何かで彼らのカヴァーした「月影のナポリ」が使われていたらしく、そんなこともあっての日本盤リリースなのかもしれません。
ジャンルとしては、いわゆるラウンジ・ミュージックというのでしょうか(こういった新しい音楽ジャンルって、よくわからないのですけれど)。ボサノバのリズムを上手に取り入れ、おしゃれに、ちょっとロマンティックに、やわらかい演奏を聴かせてくれます。ときにウィスパー風味もまじえたLuisella(ルイゼッラ)のヴォーカルは、イタリアというよりはフレンチ・ポップスの雰囲気があるように思います。実際、M6「La vie a deux」はフランス語の歌詞で歌われていたりするし。ちなみにこのM6、どこかで聴いたことのあるメロディのような気がするのだけど、気のせいかしら。
また、グループ結成当時はインストゥルメンタルを演奏していたらしく、古いBGM系イタリアン・ポップスや、部分的には往年のイタリアン・プログレッシヴ・ロックにも通じるM4「Gente elegante」や、都会的な洗練のなかに大人の哀しみや孤独が入り混じっているようなM7「La calda notte」といったインスト曲もあります。こうしたインスト曲は、どことなく映画音楽風の印象があります。フランス語ヴォーカルの入ったM6は、フレンチな香りのするクラブ系のポップスなのだけど、エレキ・ギターの演奏は、やっぱり古い映画音楽、それもサスペンス・アクション系の映画に使われていそうと思わせます。
Earth & Fire(アース&ファイア)やShocking Blue(ショッキング・ブルー)
などといった古いダッチ・ポップスをおしゃれにしたようなM2「Cambiare idea」、ゆっくりとしたディストーション・ギターの音色とウィスパーまじりのヴォーカルが幻想的なフレンチ風味を醸すM3「Mondo candido」、ラテンのニュアンスを持った、ザ・ピーナッツとかがカヴァーしていそうなM5「Meglio stasera」などは、古き良き時代の洋楽ポップス、ユーロ・ポップスの香りがあります。
M8「Invisible」は、いかにもおしゃれ系な女性ポップス。イタリアのメロディアス系女性ポップスに通じるところもありますが、一般的なイタリアン女性シンガーほど力強く歌い上げない感じがやはりちょっとフランス風?
M10にはRita Pavone(リタ・パヴォーネ)の「Fortissimo」が、日本盤のボーナス・トラックのM12にはMina(ミーナ)
の「Converzione」がカヴァーされていて、イタリアの往年のポップスに対する愛情と尊敬も持ち合わせていることがわかりますが、かといって「イタリア的である」ことにはそれほどこだわりがなく、もっと気楽に「気持ちのいいヨーロッパの音楽」を演奏していきたいんだろうなという感じがあるところが好ましいです。
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