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2006/10/05

MARCO FABI / LA SCELTA (2005)

1977年8月28日、ローマ生まれの新人カンタウトーレ。これはデビュー・アルバムです。Fabiという苗字から想像がつきますが、Marco Fabi(マルコ・ファビ)はプロデューサーとして有名なClaudio Fabi(クラウディオ・ファビ)の親戚で、Niccolo' Fabi(ニッコロ・ファビ)のいとこ、Renzo Arbore(レンツォ・アルボーレ)の甥にあたるそうです。

このアルバム、いいです。自分、好きです。Marcoのヴォーカルはあまり力強さとか表現力とかはなくて、どちらかというと淡々とした感じなのですが、あたたかみとやさしさに独特の浮遊感が入り混じったようで、ときにバックの演奏とともに幻想風味を醸したりするところが魅力的。演奏もアコースティック・ギターを中心にしたミディアム・テンポのフォーク・ロック風なものが多いのですが、そこにストリングス・アンサンブルやコーラスが趣味よく入り、堅苦しくないアート風味が付け加わったり、ときにサイケデリックやプログレッシヴの香りが漂ったりするところが魅力的です。

M1「La scelta」はピアノとギターを中心にした、どことなく重い感じはするけれど幻想味もあるサイケ風味のフォーク・ロック。コズミックな印象のSEも入り、ほのかにプログレ風味も感じます。

M2「Insieme al vento」ではアコースティック・ギターのアルペジオにやさしいヴォーカルがのり、ヴァイオリンとコーラスの助けも借りて、おだやかで叙情的なフォーク風のポップスが展開されます。どこか儚い感じの浮遊感もあり、アートの香りもします。

M3「La collina di vetro」ではアコースティック・ギターのコード・ストロークに、寂しげなヴォーカルが乗ります。ストリングス・アンサンブルと女性コーラスが、Marcoの歌を支えます。

M4「Strum」はアルバム中唯一のインストゥルメンタル曲。ビヨビヨと鳴るシンセサイザーと、ブォーと唸るシンセサイザーのうしろで、アコースティック・ギターが幻想フォーク風のアルペジオを奏でるという、変な小曲。

M5「Chiedimi」は、ちょっとひねくれたフォーク・ロックといった感じでしょうか。アコースティック・ギターによるコード・カッティングとハンド・クラップをバックに、シンセサイザーはびょんびょんと鳴り、エレキ・ギターはサイケデリックな雰囲気を振りまきます。左右に振り分けられたコーラスも精神が混乱しそうです。

M6「Ad occhi chiusi」では、ゆっくりしたスリー・フィンガー風のアルペジオをアコースティック・ギターが奏で、透明な空気を感じます。ヴォーカルとハーモニーを取る女性コーラス。幻想フォークやサイケ・フォークの雰囲気も漂いますが、印象としてはそれらよりもっと明るく、あたたかい感じです。

M7「Io ti adoro」ではいきなりフルートの音色が響き、これまでの流れからして、もしやこのままプログレッシヴ・フォーク風になるのかと思ったのですが、ヴォーカル・パートが始まると比較的軽快なリズムのポップ・ロックになっていきました。しかしサビではプログレッシヴな匂いが漂うエレキ・ギターのストロークとストリングス・アンサンブルがバックで響き、ただのポップスでは終わりません。

M8「Immobile」は、のんびりした感じのフォーク・ロック。むかしのサイケ・フォークや、古き良き時代のブリティッシュ・ポップスに通じる香りがします。

M9「Come ieri」はミディアム・テンポのポップスですが、なんだか飄々とした感じで、楽しげです。この曲も、ポピュラー・ミュージックが極端に売れ線指向になる前の、古き良き時代の英米ポップスの香りがするのですが、コーラスの使い方とかがあの頃に似ているのかもしれません。

M10「Intervallo di calma」は、聴いていると天気のいい満月の夜に空を見上げているような気分になります。やわらかなアコースティック・ギターのアルペジオ。浮遊感のあるMarcoのヴォーカルに彩を与えるスキャット・コーラス。SE風に使われるエレキ・ギター。おだやかなフォーク・ポップスです。

M11「Cerco casa」はテープの逆回転SEからスタートします。この時点でレトロなアート感があります。曲が始まると、エレキ・ギターのコード・カッティングに乗ってガチャガチャとしたロックになるのですが、サビでは大きく場面転換します。リズムはスローになり、ストリングスも入って、独特の幻想味と浮遊感が加わり、一気にアートな雰囲気になります。

M12「Another man's world」は、タイトルからもわかるように英語で歌われています。アコースティック・ギターのストロークを中心に、Marcoと女性ヴォーカルが交互に歌い、ときにハーモニーを奏でます。ロック色の強いフォーク・ロックといった感じですが、これも古い英米の匂いがします。アルバムの最後を締める曲としては、ちょっと平凡だし、弱いかな。なんだかボーナストラックを聴いてるような感じです。

たぶん日本でこのアルバムを聴く人は少ないだろうし、おそらくイタリア本国でも話題になることはないだろうと思うのだけど、でも自分はきっと、こういった音楽にときどき出会えるから、わざわざイタリアン・ポップスのアルバムをいろいろと聴いてるんだなと思います。うん、なかなかおもしろい、いい買い物をしたな。

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コメント

もあの、曲っぽいロックしなかったよ。

投稿: BlogPetの小丸 | 2006/10/05 13:07

もあさん、お早うございます。

「でも自分はきっと、こういった音楽にときどき出会えるから、わざわざイタリアン・ポップスのアルバムをいろいろと聴いてるんだなと思います」  
    ↑
きっと「その一枚」に出会うために、10枚、100枚と音楽を聴き続けるのかもしれませんね。

また、映画もそうかもしれません。

投稿: ムーン・フェアリー・ヒロコ | 2006/10/06 05:22

>ムーン・フェアリー・ヒロコさん

んでも、効率が悪いっすよねぇ(^^;)。

投稿: もあ | 2006/10/06 20:30

 聴いてみました、Marco Fabi。とりあえず、「La Scerta」と「Insieme al vento」。穏やかな感じの、優しい曲ですね。

投稿: なこ | 2006/10/06 22:00

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