BLOQUE / EL HIJO DEL ALBA (1980)
世界的にはどうなのかよくわかりませんが、日本のプログレッシヴ・ロック・ファンにはわりとよく知られているスペインのグループ。この『El hijo del alba』は彼らのサード・アルバムで、前作『Hombre, Tierra y Alma』と並んでいちおうスパニッシュ・プログレッシヴの名盤と呼ばれているようです。自分が持っているのはLPから録音したカセットテープからコピーしたMDで、音はあまりよくないのですが、プログレッシヴ・ロックというよりはハード・ロック色の強いBloque(ブロッケ)の音楽では、それがあまり気になりません。
LP時代はB面がほぼ全体を通した組曲となっていて、音を聴く前のプログレ・ファン的にはそこが気になるところではないかと思われますが、これは意外と普通のハード・ロックだったりします。でも、それほど動きのないメロディを喉開きっぱなしで歌うという、いかにもスパニッシュ・プログレッシヴらしいヴォーカルが入るのと、短いパートがテンポよく展開する構成なので、たんに長いハード・ロックとはならず、飽きずに楽しめます。
プログレッシヴ・ファンにとって魅力的に響くのは、おそらくM1「Poemas de soledad」でしょう。いままさに朝日が昇ってくる瞬間を山の上から眺めているような、おだやかですがすがしいシンセサイザーの音色に心を洗われます。また、水の流れるSEで始まるM3「La danza del agua」も、6分の11拍子でストリングスとギターがテーマ・メロディを奏でる明るい感じのインストゥルメンタル・シンフォニック・プログレッシヴから、6分の6拍子に変わる中間部ではほんのりスパニッシュ・テイストなギターも聴かれるフュージョン系プログレッシヴになり、また6分の11拍子に戻って、最後は水の流れるSEで終わるという、プログレッシヴ・ロックらしい展開を持っています。
M2「Alquimista soy」は分厚いシンセサイザー・プログレッシヴ風に始まるけれど、厚いヴォーカルが入るとけっこう普通のスパニッシュ・ハード・ロックになるし、アコースティック・ギターのストロークが美しく響くM4「El hijo del alba」もユーロ・ラテンな雰囲気が感じられる明るく素朴なポップスです。
アルバム全体としては、実はあまりプログレッシヴ・ロックな雰囲気は強くなく、印象としてはプログレ・テイストもあるハード・ロックといったところでしょうか。スペインのグループなので「ユーロ・ロック=プログレッシヴ・ロック」といった方程式に乗せて扱われてしまったのかもしれませんが、もしイギリス出身だったら、いわゆるハード・ロック・グループとして扱われたかもしれないなと思います。演奏も曲づくりも、あまり難しいことはしておらず、比較的シンプルではありますが、明るくポップなセンスと構成のうまさが彼らの作品を魅力的にしているといえそうです。
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コメント
スペインのは、MecanoというグループのCDしか持っていません。古いからもう今は存在しないかもしれないけど。
投稿: なこ | 2006/10/31 18:47
Mecanoは日本でもちょっと人気がありましたね。たぶん、うちのCD棚にも1枚くらいCDがあるんじゃないかな(よく覚えてない)。それに、日本盤CDが出てたこともあった気がする。
ちなみにイタリアにはMeccanoというグループがあって(いまもあるのか?)、よくMecanoと混同されたものでした。
投稿: もあ | 2006/11/01 13:56