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2006/10/13

ACUSTIMANTICO / SPECIAL RADIO EDITION (2006?)


1998年に結成、2000年にアルバム・デビューしたローマ出身のグループ。これまでにリリースされた3枚のスタジオ作からピックアップされた11曲入りサンプルCDをもらったので、聴いてみました。

サンプルCDに添付されていた紹介文には「新時代の地中海音楽ユニット」などと大仰なことが書いてありましたが、それほど目新しい感じはしません。アコースティック楽器を中心にした、トラッド色の強いポップ・ロック(かなりトラッド寄り)といった印象です。「マドレデウスにも匹敵する女性Vocalを擁する哀愁のエキゾチック音楽」とも書かれていましたが、Madredeus(マドレデウス)のヴォーカリスト、Teresa Salgueiro(テレーザ・サルゲイロ)の域にはぜんぜん達していないと、自分は思います。サンプルCDを作成・配布しているのがプログレッシヴ・ロック・プロモーション会社のPOSEIDONで、Acustimantico(アクスティマンティコ)はAsturias(アストゥーリアス)と交流があったりもするようなので、プログレ系のファンになんとかアピールしようと考えているのかもしれませんが、ちょっと持ち上げすぎのように感じます。

サンプルCDには、ファースト・アルバム『Acustimantico』(2000)から5曲、セカンド『La bella stagione』(2002)から3曲、サード『Santa Isabel』(2004)から3曲収録されているのですが、大雑把な印象として、ファーストがもっともトラッド色が強く、アルバムを重ねるにつれてポップ・フィールドへの広がりを考えているように感じます。

ファーストからの曲では、「Fiori dei Loto」は古いヨーロッパのお祭り音楽風なニュアンスがあって楽しく、「Raganitza」はほんのり哀愁と少しシャーマニックな雰囲気を漂わせながらも早いパッセージのスキャットやサキソフォンによるメロディはやはりダンサブル。この「Raganitza」は、どことなくFlairck(フレアーク)などにも通じる感じがします。「F」もやわらかな哀愁の漂うトラッド風のフォーク・バラードといった感じで、ソプラノ・サックスかな?管楽器の響きとアコーディオンの音色が情感を高めます。ただ、このエモーションにヴォーカルのRaffaella Misiti(ラッファエッラ・ミジティ)がぜんぜん乗り切れていない感じで残念。もっと情熱的に歌い上げてほしかった。

セカンドからの曲では、インドやアラブのようなエキゾチックな雰囲気をまとった「Rasdio」がなかなか興味深いのですが、ここでもRaffaellaのヴォーカルの弱さを感じます。この曲調で、こういうメロディだったら、たとえばAntonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)が歌っていたならどれだけよかっただろうかと思ってしまう。そういえば、ヴォコーダー処理をしたようなヴォイスをSEを一部でつかっているのだけど、ここでテクノ期?のMatia Bazar(マティア・バザール)が一瞬思い浮かんでしまいました。いっそ演奏も当時のMatia Bazarがしていたならどれだけよかったか。さらにエンディングのミュージック・コンクレート風な音がいかにもとってつけた感満載でなんだかなぁです。また「Mikimaus」という曲ではシンセサイザーやウィスパー系のヴォイスをSE的に使っていて、電子リズムも取り入れちょっと実験的なニュアンスもあって、こういうところが場合によっては一部のプログレ系ファンには喜ばれたりするのかもしれませんが、曲自体はけっこう普通のスロー・ポップスでした。このあたりの曲にはトラッド風味がほとんどありません。

サードからの曲では、「Meta Canzone」は古いアコースティック系プログレッシヴ・ファンにちょっとアピールするのかもしれないと感じます。グループとしてのスタイルや曲調は違うのだけど、たとえばOpus Avantra(オプス・アヴァントラ)くずれだったり、After Dinner(アフター・ディナー)くずれだったりするような雰囲気にうっかり反応してしまうタイプの人は、この曲にもうっかり反応してしまうかも。「Coda de topo」はジャズの雰囲気のあるアコースティック・ポップスで、トラッドの匂いはないですね。一方、「Musica immaginaria」はオーソドックスなトラッド系ポップスといった感じで、コーラス前半はスローでおだやかなのだけど、サビではエモーショナルに盛り上がります。長いスカートのすそを持って情熱的に踊る女性ダンサーの姿が目に見えるよう。ガットギターとヴァイオリンも哀愁を高めます。

これといって目新しさのない、日本ではあまり紹介される機会がないけれどヨーロッパには以前からけっこう普通に存在しているタイプの音楽のように思います。ヴォーカルがもっと情熱的だったなら、もう少し印象的になったでしょう。悪くはないけれど、もっと個性的なほうが自分は好みです。NCCPとかのほうが自分は好きかな。

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コメント

小丸たちが、古いソプラノとかとってつけた
悪くはないけれどオーソドックスとか、大きい響きとか漂わせながらも
ローマで大きい曲調と、楽しく普通や楽しくコーラス前半とミュージックとかをピックアップしたいみたい。

投稿: BlogPetの小丸 | 2006/10/13 13:28

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