ROBERTO GIGLIO / SEI NASCOLTO (2004)
1972年2月6日ローマ生まれのカンタウトーレ。たぶん、このアルバムがデビュー作だと思います。2003年のサンレモ音楽祭新人部門参加曲「Cento cose」が収録されています。
スキンヘッドなのに、ぜんぜんいかつさを感じないのは、顔立ちが実はとても優しいというか、もしかしてこの人ゲイかもと思わせる、ある種の可愛らしさがあるからでしょうか。声もほんのり甘くかすれた感じで、「スキンヘッド!」からイメージされる力強さや、ある種のパンキッシュなイメージは、彼の曲にはありません。それよりも、どちらかというとMassimo Di Cataldo(マッシモ・ディ・カタルド)などに通じるような、優しげな感じがあります。
曲調は全体的にポップスとロックの中間といった感じで、ミディアムからミディアム・スローなものが多く、比較的淡々としたメロディにシンプルなギターのバッキング、変なSE風に使われるキーボード、といった印象です。大きな盛り上がりなどはないのですが、フレーズには素直でなめらかなものが多く、イタリアン・ポップスらしいといえます。
M1「Sei in ascolto?」ではエレキ・ギターがミュートでミディアム・テンポの8ビートを刻み、M3「A volte zero」ではガチャガチャとコードをかき鳴らされます。リズムはけっこう単調で、シンプルなポップ・ロックになっています。
サンレモ参加曲であるM4「Cento cose」はアコースティック・ギターのストロークが中心で、イタリアらしい感じを持った、やわらかであたたかいポップスです。ただ、バックで使われるキーボードがSE風で、なんだか微妙な感じです。
M5「Terra e mare」はエレキ・ギターのストロークにちりばめられる透明なピアノの響きが印象的。スローなロックで、サビの歌メロとバックのアレンジ、コード進行はノスタルジックな感じです。また、エレキ・ギターが奏でる短い間奏は、ディストーションというよりはファズといった感じのひずみ方で、やはりここもノスタルジック。
またM6「Vai dove vuoi」でもギター・アンプのトレモロ機能を使ったエレキ・ギターの音が懐かしい感じです。最近のアンプに「トレモロ」なんてついてるのでしょうか? 曲そのものはシンプルでわかりやすいやわらかさを持ったイタリアン・ポップスなのですが、バックでシンセサイザーがグニョグニョと鳴っていて、なんかそれが自分はいやです。
M7「D'improviso」とM8「Io mai」は、リフっぽいギターのバッキングとカッティングがちょっといい感じ。とくにM8はサビでシンセサイザーがバックに入り、大きなメロディで一気にスペーシーになります。
ラストのM10「Vivo da me」はゆったりとしたリズムのバラード系で、おだやかなバックのアレンジにオーケストレーションも入り、しっとりとした叙情が漂います。バラード系とはいってもあまり甘さはなく、どことなく寂しげな印象があるところが好ましいです。
これといって突出した曲がなく、またシンセサイザーを変なSE風に使うのが自分の好みからするといまいちなのですが、ほどよくイタリアン・テイストがあり、歌声もほどよく印象的なので、ほどよく楽しめることでしょう。
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コメント
Roberto Giglioって誰だっけ?と思って引っ張り出しました、当時のサンレモ参加者の記事とCD。顔は覚えていないけど、曲は聴いたら思い出しました。甘い感じの歌ですよね。嫌味がなくてなんとなく好きです。「ほどよく楽しめる」っていうの、ぴったりですね。
投稿: なこ | 2006/09/24 15:03
たぶん、気のいい兄ちゃん(だけどゲイ?)なんだと思います>Roberto。芸能界で生き残っていけるのか? というか、まだ生き残ってるのか??
最近は「ほどよく楽しめる」タイプの人ばかり多くて、クセの強いタイプが好きなおいらとしてはちょっと残念。
投稿: もあ | 2006/09/26 13:15