自分の判断と責任を、どんどん放棄していく
ドライバーが酒を飲んでいるかどうかを感知して、酒気帯びの場合はエンジンがかからないクルマというのを自動車メーカーが開発中なのだそうだ。
酒を飲むと、判断力や瞬発力、感応力が低下し、平常時であれば回避できるようなアクシデントを回避できなくなる。さらには、平常時であれば起こし得ないような事故を起こすケースも多い。
だから、酒を飲んだらクルマを運転してはダメなんだ。
他人にとって、自分にとって、危険が及ぶ可能性がきわめて高いから。
多くのドライバーは、このことをわかっている。わかっていながら、自分だけは大丈夫と、甘い判断で酒気帯び運転をし、事故を起こす。あるいは、そもそも充分な判断力すら持たないままにクルマを操り、大きな事故を起こす。
ならば、もうドライバー自身に判断させるのはやめよう、人間は信用できない、それよりも、クルマに、コンピュータに、調べさせ、判断させよう、ということなのだろう。
酒を飲んだら運転しない。基準は「酔って」いるかどうかではなく、「飲んだ」かどうか。たったこれだけのこと。理性的に考えれば充分判断できることなのに、人間がそれを自分でしようとしないから、機械にまかせる。
アルコールを感知したらエンジンがかからなくなるクルマは、おそらく、そう遠くないうちに実現するのだろう。そして自分が「酒気帯び」かどうかの判断を、機械にまかせてしまう人も出てくるだろう。そういったクルマが普及・一般化したときには、仮にコンピュータに一時的なトラブルやエラーがあって「酒気帯び」を見逃してしまい、事故につながったときも、「だって、コンピュータがOKっていったのだもの」と言い訳をするのだろう。
こうして人は、自分の判断と責任を、どんどん放棄していく。
すでにいろいろな場面で、自分の責任で判断することが放棄されているので、そこにあらたな一場面が加わるだけといえば、それはそうなのだけど。
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コメント
素晴らしい考え。全くその通りでございます。うんうん。
投稿: なこ | 2006/09/15 15:04
子供の頃「やってはいけない」と言われて、「そんなのやるわけない」と思っていたこと。飲酒運転だとか、喫煙だとか、泥棒だとか、麻薬だとか、うそをついて人をだますとか……。大人になるとやってしまうんですよね。子供の頃は誰でも正義のヒーローになりたくて、悪役になりたい人はいなかったのに。なんでだろうなあ。
投稿: 久保田 | 2006/09/15 17:39
結局、楽なほうに行きたいんだ、この国の国民は。責任も負いたくないんだ。ただ、見ていたいだけ。
そういう国民に仕立て上げたのは政府であり、アメリカなんだよな。
そんな中で陪審員制度なんて始めちゃっていーのかなー
投稿: umezo | 2006/09/19 17:05