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2006/09/26

FEDERICO SALVATORE / DOV'E' L'INDIVIDUO? (2004)

1959年ナポリ生まれ。1980年頃からミュージシャンとして音楽活動を始めていたようです。カンタウトーレとしての活動は1990年代からはじめたようで、1996年にはGiancarlo Bigazzi(ジァンカルロ・ビガッツィ)とともに書いた曲「Sulla porta」でサンレモ音楽祭ビッグ部門に出場し、13位になっています。

これまでに10枚ほどのアルバムがあるらしいFederico Salvatore(フェデリコ・サルヴァトーレ)の、これは現時点での最新アルバムとなりそうです。全部で12曲が収録されていますが、曲のタイプはおおまかに、ロック・カンタウトーレ風、フォーク・ロック風、ジャズ・ポップス風の3つに分けられるでしょうか。

ブックレットの、それぞれの曲の歌詞のところと曲目リストのところに、いろいろな人のコメントが引用されているのですが、その人選がおもしろいです。Giorgio Gaber(ジォルジォ・ガーベル)Fabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)Boris Vian(ボリス・ヴィアン)といったイタリアの歌手・ミュージシャンだけでなく、Frank Zappa(フランク・ザッパ)Pink Floyd(ピンク・フロイド)の名前もありますし(引用内容はイタリア語で書かれているので自分にはわかりません)、Fernando Pessoa(フェルナンド・ペッソア)というのは詩人でしたっけ? 知らない名前もいっぱいあるのですが、Pulcinella(プルチネッラ)ってのは、イタリアの喜劇(コンメディア・デッラルテ)に登場する道化の役名ですよね?

これらの言葉の引用がこのアルバムや収録曲に対しどういう意味を持っているのかわかりませんが、その人選の幅広さ・おもしろさほど、アルバム自体はおもしろくない感じではあります。おっさんカンタウトーレぽい、よくいえば渋い感じの歌声はそれなりに魅力的ですが、説得力や存在感はそれほどありません。曲も、どれも平均点といった感じで、悪くはないのだけど、突出してよいわけでもありません。

M1「Dov'e' l'individuo?」やM5「Musica leggera」、M7「Nascondi il cuore fra due tette」などはロック・カンタウトーレぽい曲。リズムもシンプルで、ほどよく力強く、軽快な感じではあるけれど、歌メロの歌詞の載せ方が単純な八分音符ではなく、どことなく語りっぽいニュアンスがまじります。

M3「Fra me e l'albero」、M4「L'ateo cristiano」、M10「Il passatista」はウッドベースにピアノ、ブラシを使ったドラムなど、ジャズ・スタイルの演奏にカンタウトーレ風のヴォーカルが乗ったもの。M3では甘いサキソフォン、M4ではブルージーなギターも聴かれます。とくにM4はジャズ・カンタウトーレといった印象が強く、Sergio Cammariere(セルジォ・カンマリエーレ)や、一時のIvano Fossati(イヴァーノ・フォッサーティ)などに通じる部分もあるかもしれません。

M2「Quelli che si lasciano andare」、M6「Sul presepe del 2000」、M9「La lepre」、M11「Voglio un castello di sabbia」などはフォークやポップスの要素が強く感じられますが、やはり歌い方にはカンタウトーレ的な、語りっぽい雰囲気が紛れ込んでいます。M6はガットギターによる弾き語りで、このアルバムのなかではちょっと異色の、ナポリの香りがするもの。M11はアコースティック・ギターの弾き語りによるフォーク風な出だしから、だんだんとキーボードやオーケストラがかぶさっていくという、なかなかドラマティックな構成を持っています。

個人的にはM9が、ちょっと気に入っています。ピアノを中心に、うすくオーケストラも入るカンタウトーレ風なポップスで、歌い方もちょっとリズムをはずしたようなカンタウトーレぽいものなのですが、メロディにイタリアらしい美しさを感じます。とくにサビのあたりはRenato Zero(レナート・ゼロ)を思わせるようななめらかさもあったりします。

というわけで、それなりに楽しんで聴けるのだけど、自分にとってはあくまでも「それなり」な感じでした。


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