AMMUINA / TUTTO LO SPLENDORE DI UN RESPIRO (2006)
カンパーニア州サレルノ(Salerno)出身のニュー・グループ。このアルバムがデビュー作となります。大雑把にジャンル分けをすれば「ロック・グループ」となるのですが、いわゆる元気でやかましいロックンロールといったタイプではなく、憂鬱なアートを感じさせるような、たとえば音の感じはちがいますがDavid Sylvian(デヴィッド・シルヴィアン)などにも通じるようなニューウェーヴ系のものです。ジャズでもクラシックでも歌ものポップスでもないから、とりあえずロックにしておこう、といった感じでしょうか。
多用されるエレキ・ギターのクリーン・トーン。滴り落ちる水滴のように透明なピアノの響き。それらが水面に広がる波紋のように交わっていきます。どこか静謐で神聖にさえ感じられる瞬間を持ったギターとピアノのうしろでは、厚みのあるドラムとベースが力強いリズムを刻みます。そして、少し喉を絞められたような声で、淡い狂気と哀しみを秘めて搾り出されるかのごとく歌われるヴォーカル。このヴォーカルがときに、いびつな浮遊感と高揚感を持つのですが、そのときの様は初期のAlan Sorrenti(アラン・ソッレンティ)を髣髴させます。
盛り上がりの少ない淡々としたメロディ構成の曲が多く、バックの演奏も派手なドラマティックさなどはないのですが、ヴォーカルを含めたメロディ楽器の持つある種の静けさとリズム・セクションの力強さの対比が心地よく感じられます。サビなどの部分で効果的にコーラスが使われる曲や、シンセサイザーがファンタジックなオーケストレーションを演出する曲もあります。また、オーヴァードライヴで甘くひずませたエレキ・ギターが丸く伸びやかなフレーズを奏でるパートなど、Genesis(ジェネシス)やEngland(イングランド)
といったシンフォニック・プログレッシヴを思い起こさせますし、クリーン・トーンのエレキ・ギターによるアルペジオにシンセサイザーが薄くかぶるところなどではPink Floyd(ピンク・フロイド)
などに通じる匂いも感じます。
イタリアのあるウェブサイトでは、彼らのサウンドからインスピレーションを感じるアーティストとして、Afterhours(アフテルアワーズ)、Carmen Consoli(カルメン・コンソリ)
、Fabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)
、Subsonica(スブソニカ)
、Pink Floyd
、Chopin(ショパン)
の名をあげているのですが、なんとなくなるほどと思います。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- 「every little music in my life」最近の更新(2023.08.06)
- Matia Bazar / The Best Of (2022)(2022.11.27)
- Umberto Tozzi / Io Camminero(2022.07.24)
- Spectrum / Spectrum 6; SPECTRUM FINAL Budoukan Live Sept. 22,1981 (1981)(2022.05.22)
- RockFour / One Fantastic Day (2001)(2022.05.22)
「ジャンル:ロック」カテゴリの記事
- Zoran / Opera Universe (2019)(2021.03.20)
- Pinnacle Point / Hero(2020.09.22)
- Dennis DeYoung / And The Music of Styx - Live in Los Angels (2014)(2020.02.02)
- Edenbridge / The Bonding (2013)(2017.12.09)
- Obscured by Clouds / Thermospheric (2017)(2017.11.14)
コメント
小丸はイングランドまでもあでエレキを構成すればよかった?
がイングランドで演奏しなかった?
投稿: BlogPetの小丸 | 2006/09/21 12:23