LEDA BATTISTI / TU, L'AMORE E IL SESSO (2006)
1971年2月生まれのLeda Battisti(レダ・バッティスティ)の、サード・アルバムになるのかな。彼女のバイオグラフィには記述がないのだけど、Battistiという苗字で、生まれはラツィオ州リエティ(Rieti)県のポッジォ・ブストーネ(Poggio Bustone)というのは、1998年9月9日に亡くなったイタリアの偉大なカンタウトーレ、Lucio Battisti(ルーチォ・バッティスティ)
と同じ。きっと娘なんでしょうね(と思ったら、Ledaのお父さんとLucioのお母さんが従兄弟同士という関係なんだとか。しかもLedaの本名の苗字はBattistiではないらしい)。
Lucioは偉大だったけれど、Leda
はどうかというと、なんかあんまりぱっとしない感じです。ところどころでアラビックだったりスパニッシュだったりといったエスニック風味がまぶされていて、それはLeda
の南欧の血を感じさせるエキゾティックな容姿と合っていて魅力的ではあるのだけど、そこから先へと気分が進めない。M1「Ancora Una Parola」でのわずかにウィスパー気味な歌声も、もっと心に響いてきてよさそうなのに、耳で止まってしまう感じなんです。自分にはいくつかの「好きなイタリアン・ポップスのツボ」みたいなのがあるのだけど、残念ながらLeda
の歌・曲は、そこにかすらない。
普通に美しいメロディで、現代風のデジタルなリズムが配されて、要所でエスニック・アレンジを施すといった変化の工夫もあって、作品として悪くはありません。M6「Corazon Latino」とかはPaola & Chiara(パオラ・エ・キアラ)みたいだし。
でも、たとえばM3「Tu L'amore E Il Sesso」では、せっかくサビの部分でメロディ的にも演奏的にも高揚していくのに、ヴォーカルがそれについていけていないので、もやっと感が残ってしまう。M5「Il Vento Sulla Sabbia」も、スパニッシュ・ギターにフォルクローレっぽい笛の音、ニューウェーヴ風のリズム・セクションといった演奏の個性に、ヴォーカルが埋没しちゃってる。こういった曲・アレンジを歌うには、歌声に個性と力強さが足りないと思うんですよ。これがAntonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)だったら、もっともっと魅力的な作品になっただろうなぁと、そんな印象ばかりが残ってしまいました。
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コメント
Lucioに娘がいたんですね、知らなかった。Lucioも歌がうまいってわけじゃないですから、娘に声量がなくても仕方ないかも。Lucioの歌好きなんですけどね。
投稿: なこ | 2006/08/04 14:18
イタリアの音楽界も2世がずいぶん増えてきたみたいですね。Poohのメンバーの息子とか、Gianni Morandiの息子とか、Claudio Fabiの息子とか... Lucioと並んで偉大なもうひとりのカンタウトーレ、Fabrizio De Andre'の息子、Cristianoはなかなかいいな。
投稿: もあ | 2006/08/05 18:40
Poohの息子はDJ Francescoですね。彼は若い人に人気がありますね。Morandiの息子はMarcoだったかな。何年か前にサンレモのGiovaniで出ていましたね。後の二人は知らないなぁ。
投稿: なこ | 2006/08/06 17:22
Claudio Fabiの息子はNiccolo' Fabiです。もうデビューして10年くらいになるのかな。すっかり中堅となり、コアなファンもついて、いまも元気に活躍中。初期のころはエレポップ風味がけっこう強くて自分の好きなタイプの音楽ではなかったのだけど、最近はメロディアスなポップ要素が増えてきたようで、ちょっと気になってきてます。
Fabrizio De Andre'の息子のCristiano De Andre'も、デビューして17年くらいになり、もうベテランの域ですね。1993年ころに「Dietro la porta」(なかなかいい曲)という曲でサンレモにも出たようです。ちなみに、この曲の曲作りに協力しているのがDaniele Fossatiというカンタウトーレ(アルバムが少なくとも1枚はあります)なのですが、この人とIvano Fossatiが親類縁者なのかどうかはわかりません。
投稿: もあ | 2006/08/06 21:10