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2006/07/21

MARIO CASTELNUOVO / COM'ERANO VENUTE BUONE LE CILIEGIE NELLA PRIMAVERA DEL '42 (2005)

Mario Castelnuovo(マリオ・カステルヌォヴォ)は1955年1月25日生まれだそうですから、もう51歳になるのですね。ラツィオ州ローマ出身(だけどお父さんはロンバルディーア州、お母さんはトスカーナ州の出身)のカンタウトーレ。1982年にAmedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)のプロデュースでアルバム・デビューして以来、おおよそ2~3年ごとにコンスタントなアルバム・リリースを続けています。最近はその間隔がちょっと長くなってきていて、前々作の『Signorine adorate』(1996年)から前作『Buongiorno』(2000年)までが4年、そして現時点での最新作であるこのアルバムまでが5年となっているので、次のアルバムは2010年ころでしょうか。

オリジナル作としては10枚目(Goran Kuzminac(ゴラン・クズミナク)Marco Ferradini(マルコ・フェッラディーニ)とコラボレートした『Q-concert』を含めば11枚目)の作品ですが、これといって作風に変化はないようです。自分は飛び飛びにしかアルバムを聴いていませんが、Amedeoのプロデュースでピコピコしたシンセサイザー・アレンジが安っぽい印象を与えるデビュー作をのぞけば、どれも地味でおだやかで華やかさに欠けるけど多くのカンタウトーレ作品を聴いてきた人には味わい深かったりする玄人好みの作品になっていると思います。

『Com'erano venute buone le ciliegie nella primavera del '42』とおそろしくタイトルの長い(覚えられない)このアルバムも、これまでと同様に、華やかさや浮かれた気分とはほとんど無縁の、とても地味なもの。

M2「L'Ave Maria di un clown」では落ち着いた声の地味なヴォーカルをウッドベースとブラス、哀愁のヴァイオリンが彩ります。終盤ではアルト(かな)の女性ヴォーカルが入り、そのバックでは控えめな混声合唱も聞こえ、それまでの世俗っぽいカンタウトーレの世界が少し神聖な感じに変わります。

M4「Piccolo giudice (siciliana)」も、字余り気味の歌詞を地味なメロディに載せて淡々と歌う、いかにもカンタウトーレ風なアコースティック・ギターの弾き語りが、終盤にきて少し変化するといった構成。Marioによる弾き語りパートのあとに、打楽器と、キーボードによる薄いオーケストレーションの入った女性ヴォーカルのパートが始まります。ここではエスニックな雰囲気のまじったトラッドや民俗音楽風になります。

M5「Montaperti」は映画音楽風のオーケストラルな演奏にのって、本や詩を朗読しているような語りが入るという作品。

M6「Compagnia d'arte scenica viaggiante」はヨーロッパの小さな町のお祭りで行なわれるパレードを思わせるような曲調。ほどよくひなびたアコーディオンの音色や、ぼん・べんと鳴るベースと太鼓、ぶかぶかいうホーンがチープな楽しさを感じさせます。でも、基本はやっぱり地味なカンタウトーレ作品。

M11「Fantasia K397 in re minore (frammento) di W.A. Mozarto」はタイトルどおり、モーツァルトの曲らしいのですが、ピアノの演奏がほんの短い時間入っているだけで、気がついたら終わってました。

アルバム最後のM13「Com'erano venute buone le ciliegie nella primavera del '42」はアルバムのタイトル曲ですが、ゆったりとしたオーケストラの演奏によるインストゥルメンタルです。そういえばM1「Radio valzer」も、ラジオをチューニングするSEはありましたが、基本はオーケストラによるインスト作品だったかな。

他の曲は基本的に、アコースティック・ギターの弾き語りに、適度なオーケストラがかぶさったり、フィドルやラッパがときにバックアップする、どちらかというとメロディよりも歌詞重視タイプのカンタウトーレ作品といった感じ。全体に地味だけど、おだやかなロマンティシズムが漂っています。


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