観たぞ! 聴いたぞ! New Trolls!!
先週後半から風邪気味で喉が痛く、個人的なコンディションはあまりよくなかったのですが、行ってきましたよ、4月8日(土)の川崎Club Citta'。そう、New Trolls(ニュー・トロルス)の初来日公演です。しかも、オーケストラつきの「Concerto grosso live」とな。
自分のなかでは、New Trollsはすでに「プログレッシヴ・ロック」ではなくて「イタリアン・ポップス」のグループなのですが、そして実際、彼らの音楽のベースはプログレよりもポップスだろうと思うのですが、日本ではやはりプログレッシヴのイメージが強いですからね。どうしても「プログレ・ファン対応」のプロモーションになってしまうのは、しかたのないところではあります。そのあたりがポップス・ファンの自分としては、いくぶん不満というか、心配なところではありました。彼らの音楽のごく一部でしかない「プログレッシヴな側面」ばかりを抽出・強調したライヴだったら残念だなと。
でも、それはすべて杞憂でした。彼らの本質は、少なくとも今回のライヴを体験して感じた彼らの音楽のベーシックな部分は、プログレでもポップスでもなく、じつは熱いロックだった。
コンサートは、あいだに約20分の休憩を挟む前半と後半に分かれていました。前半はグループのみの演奏によるパート、後半は女性による(男性もほんの少しまじっていましたが)オーケストラをしたがえてのパートです。
コンサートの1曲目は、予想もしなかった 「Nella salavuota, improvvisazioni dei New Trolls registrate in diretta」。アルバム『Concerto grosso n.1』のB面(LP)全部を使って収録された即興性の高い曲です。これからくるかぁ。いきなりコアだ。しかし、会場の大半を占めていたと思われるプログレ・ファンのみなさんの反応は悪くなかったですね。
一方、ポップス・グループとしてのNew Trollsが好きなファンなら狂喜するはずの「Quella carezza della sera」などは、まわりの観客の反応が薄い薄い。自分などはVittorio De Scalzi(ヴィットリオ・デ・スカルツィ)が「次の曲はQuella carezza della seraだよ」と紹介し始めた段階で目がキラキラ&おもいっきり拍手だったんですが。たぶん、プログレ・ファンのみなさんの多くはこのあたりのNew Trollsのアルバムを聴いていないのでしょうね。
約1時間強の前半では、ほかにも「Il treno」や「Let it be me」なども演奏されました。「Annalisa」も前半だったっけ? ときどき、バンド・アンサンブルの詰めが少し甘いかなと思うところもありましたが、とても1960~70年代から活動しているおじいちゃんたちが中心とは思えない、力強い演奏と美しいコーラスを堪能しましたよ。
休憩を挟んでの後半は、いよいよオーケストラとの演奏で「Concerto grosso」です。自分は、曲としての「Concerto grosso n.1」の旬はすでに過ぎていると思っていますので、実はそれほど期待してなかったのですが、まわりのプログレ・ファンなみなさんの熱狂のすさまじいこと。それで余計に自分は引いてしまいました。
「Allegro」「Adagio」「Cadenza」と、学生時代に聴きまくったおなじみのメロディが流れます。ファースト・ヴァイオリンがもう少し艶やかにひいてくれればなぁ。あと、席の関係か、ファースト・ヴァイオリン以外のオーケストラの音があんまりよく聞こえない。まわりの席の人たちはかなり興奮気味のようですが、出来としては「こんなものかな」といった感じでした。CDの『Concerto grosso live』のほうが、まだ感動的だったな。
オーケストラ・フル・フィーチャーのこれら3曲よりも、続く「Shadows」のほうが心地よく聴けました。やはりNew Trollsはロック・グループなんだな。アルバムのなかではあんまりいいと思っていなかったこの曲ですが、ライヴには合いますね。しかし、これでアルバム『Concerto grosso n.1』の収録曲は全部演奏されたことになるんだな。
そして「Concerto grosso n.2」へ。むかしはあんまり好きじゃなかったのですが、いまとなってはこちらのほうが楽しめます。派手で元気のある曲調なので、ライヴにも向いてますね。PAのミキシングを調整したのか、オーケストラの音もバランスよく聞こえるようになってきたし。
ちなみにオーケストラの前列はヴァイオリンの女性4人で、いちばん左がファースト・ヴァイオリンなんですが、この女性はほとんど終始笑顔で弾いていました。哀愁の旋律を奏でるときは、その笑顔はやめようよ。一方、右からふたりめの女性は、終始つらそうな顔で弾いているのですが、弾いていないときにときおり見せる笑顔がなんだか可愛らしかった。いちばん右の女性は、曲調に合わせて笑顔だったり真顔だったり。オーケストラ・パートがお休みのときはずっとバンドのほうを見ていて、ノリのいい曲のときは体でリズムをとっていたりと、個人的にはいちばん好感触でした。(←いったいなんのレポートだ?)
そのほかにも、「Signore, io sono irish」や「Una miniera」がシンフォニック・アレンジで演奏されたりと、こちらも約1時間強、オーケストラ入りのNew Trollsを堪能できました。
休憩込みで約3時間、演奏パートだけでも2時間半くらいあったのですが、ぜんぜん長さを感じない。というか、もっと聴いていたかった(体力があれば、ですが。最後はちょっと疲れた)。比較的プログレ時代の古い曲が中心だったのですが、自分としては『Aldebaran』以降の、もっと新しい(といっても、ずいぶん前になるな)ポップス時代の曲をもっともっと聴きたかった... といった部分はありますが、全体に、非常によいコンサートだったと思います。
ちなみに今回の来日メンバーのベーシストは、元Labyrinth(ラビリンス)の人だそうで。Labyrinthといえばクラシカル・テイストあふれるメロディック・スピード・メタルを演奏するイタリアでも屈指のバンド。そのためか、彼だけステージ・アクションが変です。ノリがメタルです。ハイ・トーン・ヴォーカルも、やっぱり少しメタル入ってます。ついつい観客を食い殺してしまいそうな怖い顔をしてしまうのも、やはりメタルなクセなんでしょうか。せっかくのご縁?なので、これを機に、Labyrinthもぜひ聴いてみよう。
== セットリスト ==
第一部
Nella sala vuota
Annalisa
Corro da te
Il treno
Let it be me
Quella carezza della sera
La prima goccia bagna il viso
第二部
Concerto grosso per 1
- allegro
- adagio
- cadenza
- shadows
In st peter's day
Concerto grosso n°2
- vivace
- andante
- moderato
Quiet seas
Le roi soleil
アンコール1
Signore io sono irish
Una miniera
Concerto grosso n°2 - vivace
アンコール2
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コメント
3日目もn.1の時はソロを除いてストリングスの音が全然聞えませんでした。n.2ではちゃんと聞えたんですけど。2日目も3日目も同じ状態ですね。
ソロを執った一番左のバイオリンの女性は結構真剣な顔をして弾いていたと思います。
逆に右側の女性は二人とも終始結構楽しそうでしたよ。右から二番目の女性が個人的には一番好感触でした。
自分でも意外なのですが、良く聴いていた(正確にはそれしか聴いていなかった)「Concerto grosso n.1」よりも「Una miniera」「Quella carezza ...」「Quiet seas」と言った曲の方が楽しめました。「Le roi soleil」のコーラスの掛け合いも良かったですねぇ。
(全部一夜漬け...ハハハ)
投稿: ニョッキ@疲労気味 | 2006/04/11 00:34
右から2番目の女性は、どうやら石内さんというらしい。いちばん右の女性は、Rushというポップ系のグループもやってるらしい。
「Concerto grosso n.1」以外のほうが楽しめたというのは、きわめて正常な反応かと思われます(笑)。
投稿: もあ | 2006/04/11 11:01