FAUSTO LEALI / ANIMA NUDA
1994年のアルバムです。くわえタバコでギターを弾いているジャケット写真からして、いなたい。ポップスというよりも、ロックやブルーズの風情ですね。ソウルフルなコーラスの入ったM1「Niente di te」や、都会の夜に似合いそうな哀愁のあるM4「Con chi mi scorderai」などでは、おなじみのダミ声とブルージーなギターが聴かれ、このジャケットのイメージにぴったりです。
もちろん、Marco Masini風の暑苦しさを感じさせるM2「Il cammino del cuore」や、軽快で楽しげなM6「Il grande cuore della terra」などのような明るいポップスもありますし、星空を眺めているような気分になるイントロのM3「La citta' delle donne」や、メジャー・キーでおだやかな明るさとほのかな哀愁をまとったM7「Gente senza cuore」のようなバラード系の曲もあります。でも、どんな曲も、そこにFaustoの力強いダミ声ヴォーカルがのると、なんだか重たく、ときに暑苦しくなってしまうところが、よくもあり、悪くもあり。
ただ、この歌声の個性はやはり強力です。実は彼の歌っている曲自体って、それほどメロディや構成が優れているわけではないと、さっき気がつきました。もしこれを彼ではなく、最近のひ弱な歌声の男性歌手が歌ったなら、たいしておもしろさも味わいも感じないでしょう。曲そのものは、意外と普通で地味なんです。でも、Faustoが、あの声で、あの歌い方で歌うと、曲に命が吹き込まれ、生き生きと力強く響きだします。これが彼の魅力であり、力なのだろうな。
どうやっても力強い重量のある感じになりがちな彼のヴォーカルですが、それに抗うか?のようにスッチャッスッチャッという軽やかなリズムを刻むM9「...E noi a lavorare」とかは楽しいですね。この曲、メロディもどことなくユーモラスだし。あと、レゲエのリズムを取り入れたM5「Ruba ruba」も、タイトルからして楽しげですが、サビの「るば・るば・るば・でぃ・ぴぅ~(るばるば!)」というフレーズも楽しいです。こんなに楽しげな曲なのに、Faustoの歌声が、曲が軽くなるのを阻んでいるような印象があるのも、それはそれでまたおかし。
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