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2006/04/26

DOLCENERA / IL POPOLO DEI SOGNI

2006年のサンレモ音楽祭でもピアノに向かい口を大きく四角くあけて熱唱する姿が印象的だったDolcenera(ドルチェネーラ)。そのサンレモ参加曲「Com'e' straordinaria la vita」を収録したサード・アルバムです。

Dolceneraは、自分にとってはもうひとつ微妙なアーティストです。Gianna Nannini(ジァンナ・ナンニーニ)やLoredana Berte'(ロレダーナ・ベルテ)系のひび割れた歌声は自分の好みですし、歌唱力・表現力もあります。曲も悪くありません。なので、1曲もしくは数曲聴く分には、とても引かれます。だけど、セカンド・アルバムもそうだったのですが、アルバム全体を通して聴くと、なぜか退屈を感じてしまうのです。意外と曲やアレンジ、リズム、テンポのバリエーションが乏しいためかもしれません。

このサード・アルバムでも、大半がスローかミディアム・スローのロック・バラード系といった曲。ひとつひとつはそれなりに魅力的なのだけど、これを40分間聴き続けると、ちょっと飽きてきてしまいます。Dolceneraは才能豊かで、作曲もアレンジも自分でできる人だけど、それがかえって曲やアレンジの範囲を狭めているところがあるのかもしれません。プロデューサーにはLucio Fabbri(ルーチォ・ファッブリ)という大物がついていますが、それだけでなくコンポーザーやアレンジャーにもDolceneraの魅力を充分に引き出してくれる誰かがついてくれれば、より輝きが増すのではないでしょうか。このまま「Dolceneraの枠」の中で完結させてしまうのはもったいないような気がします。

M1「Com'e' straordinaria la vita」は2006年のサンレモ音楽祭参加曲で、力強いバラードです。徐々に盛り上がる構成がとってもイタリアン。Dolceneraのヴォーカル・スタイルにもよく合っています。

M2「Giusta o sgabliata」はストレートなハード・ロックで、Gianna Nanniniとかがやりそうです。

M3「Piove」では、イントロのアコースティック・ギターの美しい響きが印象的。淡々としたバラード系の曲ですが、歌のバックでなるベースとピアノの音が意外とファットで重い感じです。

M4「Il luminal d'immenso」は6/8拍子のアルペジオがすごく古くていなたい感じ。むかし持っていた家庭用キーボードに搭載されていたリズム・ボックスに「ロッカ・バラード」というリズムがあったのですが、それですね。サビではメジャー系のテンション・コードなども使っていまふうのしゃれた感じも出しているのですが、それ以外のところはコーラスも含め、70年代な感じでしょうか。変な曲。別の意味で、ちょっと物悲しくなりました。

M5「L'amore」はピアノのアルペジオでバラード風に始まり、サビでハード・ロックになっていくという構成。こういうタイプの構成は好みです。Dolceneraのヴォーカルも、力強く歌うところと、力を抜いて少し甘えるように歌うところを巧みに組み合わせ、聴き手の男心を翻弄します(笑)。その歌い方の切り替わる瞬間がとてもゾクゾクするというか、胸キュンものです。ただ、曲そのもののメロディは、そんなに好みじゃないのですけど。

M6「Resta come sei」はミディアム・スローな曲で、ウッド・ベースとピアノをバックにした少しジャジーな雰囲気。大人の集まる、アルコール・メインのライヴ・ハウスとかに合いそうです。

M7「Il popolo dei sogni」とM8「E la luna sale su'」は、どちらもなんとなく80年代ポップスの匂いがする気がします。M7はポップ・ロック系、M8はジャズ・ブルーズ系の80年代ポップス。学生時代にこういう感じの曲、よくテレビやラジオでかかってたなぁと思うのですが、違うかしら。

M9「America」はGianna Nanniniの曲のカバーですね。Dolceneraの声や歌い方にはGiannaに似ているところが多々あるので、カバーなのかコピーなのか、聴いているとよくわからないです。微妙に歌メロがあまり魅力的でないところも類似性があるかも。あまりにシンガーとしてのタイプがかぶりすぎていて、Dolceneraらしさを表現しづらい選曲なのではないかな。ちなみにイントロのギターはRainbow(レインボー)の「Since you been gone」に似ていませんか。

M10「Emozioni」はLucio Battisti(ルーチォ・バッティスティ)の曲。この曲だけ、アレンジをLucio Fabbriが担当し、オーケストラ入りで演奏されています。それもあってか、非常に趣のあるカバーに仕上がっています。歌メロと歌詞の分量バランスが絶妙で、優れたカンタウトーレの書く曲はさすがだと感じます。おだやかに盛り上がる構成も、イタリアらしい美しいメロディと展開も、非常に魅力的。それを歌うDolceneraのヴォーカルも、抑制の効いた、だけど内に強いエモーションを秘めた感じを出していて、とてもいいです。優れた楽曲を優れたアレンジで歌えばこんなにも魅力的に歌えるシンガーだということが、あらためてわかります。この曲を聴いても、やはり彼女にはコンポーザーとアレンジャーに優れた協力者が必要なのではないか、それが彼女を「次の段階」へと進ませるのではないかと感じます。



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