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2006/04/18

ANNA OXA / LA MUSICA E' NIENTE SE TU NON HAI VISSUTO

2006年のサンレモ音楽祭参加曲「Processo a me stessa」を収録したアルバムです。完全な新作というわけではなく、2005年のツアーを収録したライヴ・アルバムに新曲を追加したような感じでしょうか。

M1「L'eterno movimento」はイントロで聴かれる管楽器がエスニックで、エジプトなどの砂漠の国をイメージさせます。ヴォーカル・パートは普通のポップスなのですが、最後はライオン・キング風というかアフリカ風というか。アルバム冒頭からエキゾティックさ満載です。

M1エンディングのアフリカン・テイストを引き継ぐ感じでM2「La panchina e il New York Times」が始まります。Giancarlo Bigazzi(ジァンカルロ・ビガッツィ)のつくった曲なので、普通に歌えば普通のポップスなはずですが、そこはAnna Oxa(アンナ・オクサ)、そうはしません。途中の超音波系のシャウト(スクリーム?)ではNina Hagen(ニナ・ハーゲン)を思い出してしまいました。ヴォーカル・パート後の演奏は打楽器が中心となったシャーマニックなもので、ちょっと怖いです。

その怖さをなだめるかのように、M3「Trans-forma-acao」は軽快なボサノバ。Annaの粘りのある歌声が独特の色っぽさをもって響きます。フルートの音色もしゃれた感じを加えています。

すでにここまででいろんな国めぐりをしている気分になってきていますが、M4「Oltre la montagna」ではイントロにバグパイプを持ってきて、これまでとはまた違う異国へと誘います。バグパイプってイギリスのもの(ですよね?)なのに、そのメロディにも音色にも、なぜかヨーロッパとは違うエキゾティックな響きがありますね。その後はパンパイプとアコースティック・ギターが入ってきて、このまま英国風の牧歌的なシンフォニック・フォークになるのかなと思いきや、ヌーヴェル・シャンソンのような曲調に移行していきます。おだやかで心地よい曲だと思います。これ、曲づくりにMatia Bazar(マティア・バザール)のPierro Cassano(ピエロ・カッサーノ)が協力してるんですね。

M5「The Dance」はパンパイプ系の管楽器とアコースティック・ギターを中心としたフォルクローレ風のトラッド・ポップスでしょうか。これも最後は打楽器メインになり、プリミティヴな呪術系音楽のような雰囲気になっていきます。

M6「Tutti i brividi del mondo」はNew Trolls(ニュー・トロルス)がAnnaに提供した曲で、ロマンティックなバラードです。普通のアレンジで普通に歌えばとても美しい曲のはずなのに、ここではついにシタールまで導入され、エキゾティックさ満載です。Annaのヴォーカルもほんのりウィスパーをまじえているので、いっそう妖しい雰囲気です。そして最後はやっぱり砂漠の国っぽさ満開になっていきます。

M7はFranco Fasano(フランコ・ファザーノ)とFausto Leali(ファウスト・レアーリ)が曲づくりに協力した「Ti lascero'」。イントロではアコースティック・ギターのアルペジオにのったヴァイオリンの音色が切なく響きます。オーソドックスなイタリアン・バラードといった感じの曲で、このアルバムのなかではめずらしく、比較的オーソドックスなアレンジが施されています。一般的なイタリアン・ポップス・ファンは、ここにきてやっと少しホッとできるのかもしれません。

ここまでがライヴ収録です。

M8「Processo a me stessa」は2006年のサンレモ参加曲。自分の好み的には、2006年のサンレモ参加曲のなかではAnnaのこの曲がもっとも印象深く、心に響いたのですが、曲の持つ個性の強さがサンレモに嫌われたのか、コンペティションではいちばん最初に落選してしまいました。ヴォーカル・パート前半部分では祈りのように(呪いのように?)ぶつぶつと歌詞を呟き、この部分ですでにダメな人はダメだろうなと感じます。サビでは一気にシンフォニックなアレンジへと変わり、歌い方もオペラ風のドラマティックなものへとなります。これぞイタリアといった感じのパワフルなカンツォーネ風の歌い上げもあり、Annaの多彩な歌声を堪能できます。非常に個性の強い曲ですが、とてもドラマティックだと思います。こういう曲は、一般のポップス・ファンよりも、プログレッシヴ・ロック系のファンの人のほうが、もしかしたら受け入れやすいのかもしれません。

アルバムのエンディングとなるタイトル曲のM9「La musica e' niente se tu non hai vissuto」は、M8の後奏といった印象です。M8からほとんど切れ間なくつながり、M8と同じメロディを使い、全体を通してシンフォニックに演奏しています。M8のエキセントリックさを取り除いたような感じで、悲壮に、しかし同時に神々しさを感じさせる響きを持っています。M8とM9は、ある種の組曲、もしくは「対の存在」として考えるといいのかもしれません。

全体にエキゾティック感やトラッド風味が強く、いわゆるサンレモ系のイタリアン・ポップスや英米系のポップ・ミュージックが好きな人には、とっつきにくいだろうし、あまり合わないかもしれません。でもこれ、実はなかなか趣き深い作品だと思います。じっくりと聴くことで、どんどん味わいが出てくるのではないでしょうか。自分は気に入りました。40分に満たない収録時間のコンパクトさも好ましく感じます。

ちなみに、曲の収録時間が短い分、エンハンスドとしてデータ・トラックが同じCDに収録されているようなのですが、コンピュータに入れると「専用のプレイヤーをインストールし、レジストリに書き込みますか?」みたいなアラートが出るのでキャンセルしちゃいました。データ・トラックにはなにが入ってるのかなぁ。



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