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2006/03/20

コート・ドールでコート・ドールを

昨夜は東京・三田にある、名店と名高いフレンチ・レストラン「コート・ドール」で食事をしてきました。

自分、フレンチもイタリアンも好きで、それなりに食べにはいきますが、たいていは客単価がいっても1万~1万5000円くらいのところ。フレンチでいえば、いわゆるビストロ・クラスのお店です。しかしコート・ドールは平均客単価2万~3万円の、ちょっとした高級店。しかも有名なお店。こういうお店はいままで入ったことがないので、少し緊張します。予約時にドレスコードの確認をしたところ、とくにジャケットもネクタイも必要ない(ドレスコードなし)とのことでしたが、そこはそれ、高級店では高級な雰囲気を楽しむのも味のうちですから、いちおうジャケット&ネクタイで行きました。

なぜ、こんな有名高級店に予約を入れたか。それは昨日が結婚記念日だったからです。毎年、結婚記念日(前後の土日)には、美味しいものを食べに出かけるのがうちらの祝い方。去年は神楽坂にあったビストロ・イデアルで食事をしたのですが、その後イデアルはシェフが変わり支配人が変わり店名も変わり、フレンチとイタリアンの入り混じった創作西洋料理のお店になってしまいました。それはそれで美味しいのだけど、やはり「おフレンチぃ~」な料理が食べたいということで、コート・ドールを選んだのです。

なぜ、数あるフレンチ・レストランのなかでもコート・ドールなのか。なぜなら、ビストロ・イデアルの支配人をされていた大園さんが、いまはコート・ドールにいるからです。支配人としてではなく、ソムリエとしてですけれど(コート・ドールには松下さんという、シェフとずっと一緒にこのお店で働いてらっしゃる支配人がいますからね)。去年と同じく、大園さんのいるお店で食べたいと思い、ここを選んだわけです。ちょっと自分のキャラからは背伸びなんですけど。

最寄りの駅から歩いて約10分弱。外はすごい強風が吹き荒れていて、吹っ飛ばされそうになりながら、髪もぼさぼさになりましたが、なんとか店にたどり着きました。高級マンションの1階にある、こじんまりとしたお店。入り口もひっそりとしてて、一瞬見落としてしまいそう。落ち着いた木の扉を開け中に入ると、そこには懐かしい大園さんの笑顔がありました。おひさしぶりです。

席に通されると、アペリティフのシャンパーニュが出てきました。ふわふわの泡のようにクリーミーな舌触り。間接照明に照らされ、華美な装飾のない、落ち着いた店内。明らかに自分らより年下に見える(20代後半から30代前半くらい?)けど明らかに自分らよりも金持ちそうなお客たち。お店のつくりや雰囲気はとても居心地がよく、緊張もしないのだけど、この客層のなかでは多少うちらは場違いな感じがなきにしもあらず。

料理は、アミューズに、このお店の名物といわれる赤ピーマンのムースにトマトのソースを添えたもの。もう、これはなんなんでしょう。とろとろのふわふわです。やさしい野菜の味。ピーマンの味はよくわかんなかったけれど、ソースのトマト味のさわやかな甘さにもうメロメロ。ビストロ・イデアルで以前シェフをされていた(いまは新宿のオーヴィユパリでシェフをしている)黒岩さんのつくる赤ピーマンのババロアも絶品でしたが、ここのムースもすっげぇ旨いっす。

前菜は、この時期ならではの茹でたホワイト・アスパラガス(塩かマスタード・ヴィネガーのソースで)と、フォワグラのキャベツ巻き。メインは魚とイベリコ豚を。もう、どいつもこいつもシンプルな料理法で素材の味がしっかり感じられ、旨いっす。とくに前菜はたまらんかった。なぜヨーロッパ人が春になるとホワイト・アスパラ、ホワイト・アスパラと騒ぐのか、理由がわかるというくらいに美味しいアスパラ。そして、もうとろっとろで口の中でとろけるフォワグラ。これとパンとワインがあればもうOKですみたいな感じです。

ワインはしっかりした味のブルゴーニュ(コート・ドール)の白がいいなと思い、大園さんと相談。ピュリニー・モンラッシュのプルミエ・クリュをすすめていただきました。これもまた、旨いブルゴーニュの白はほんとに旨い、ということを再確認。料理との相性もよく、非常に美味しくいただきました。

その後、妻はデザートとして温かいケーキ(チョコレート・サヴァランみたいなのに温かい練乳のようなソースがかかっている)を、自分はチーズの盛り合わせ(モンドール、ボーフォール、ロックフォール、名前忘れたシェーブルの4種)をいただき、さらに自分はチーズに合わせてソーテルヌをグラスで1杯。お店から「おめでとうございます」メッセージの書かれたクッキーもいただき、食後のコーヒーも飲んで、しめて4万7000円。おなかはちきれそうだし、味もよかったし、満足のいくディナーでした。しょっちゅうはこれないけれど、年に1~2回くらいは来てもいいな。大園さんがいるなら。

その大園さんは、まだこのお店に来てから3か月程度ということもあり、ちょっと硬い感じはありました。お店の雰囲気も、扱うワインや料理も、お客さんの層も、イデアルとはずいぶん違いますからね。うちらのテーブルでは、顔なじみでもあるし、自分もこんなキャラですから、ほどよくリラックスしてサーブしてくれていましたが、他のテーブルでは、慎重に慎重にサーブしているように見えました。丁寧だけどフレンドリーで、お客との距離感を上手にとるのだけど意外とお調子者かもと思わせるひとなつっこさがある彼のサービスを自分らは知っているので、このお店で楽しくサービスをしているだろうか、支配人さんとかにいじめられていやしないだろうかなどと、酔っ払っていたこともあり、帰り道でちょっと心配にもなったのでした。余計なお世話ですね。

ホールには松下支配人と大園ソムリエのほかに、若いおにいちゃんのギャルソン(お名前聞いたのだけど、忘れちゃった。ごめんね)がいて、このギャルソンがなんだかフレンドリーでいい感じです。大園さんとも仲良くしてるみたいだし。彼と話しているところに大園さんがきて「彼は、私に憧れてるんですよ」といったとたんに、彼に「それは、ありません」と言い切られていましたが(笑)。自分はやはり、こういったほどよくフレンドリーな感じがするサービス・パーソンたちが大好きです。そういう意味では、コート・ドールのようなレストランよりは、オーヴィユパリのようなビストロのほうが楽しいし、好きかもしれません。またオーヴィユパリ行こうっと。そんで、黒岩さんの美味しい料理を気楽に食べるのだぁー。


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グルメ・クッキング」カテゴリの記事

コメント

もあさん。
いい結婚記念日だったですね。

来週、東京へ行くのです!
で、うちのシェフに「コート・ドールに行く?」と聞いたら、「うーん」と考えていました。
ちょっとお高いですものね。
シェフは「ラ・ブランシュ」へ行きたいって。

ちょっと、残念。
ああ・・大園さんのサービスを受けてみたかったなー。

いいサービス・パーソンがいらっしゃると、食事の時間がますます楽しくなりますね。

見習わねばっ!!

投稿: いをり | 2006/03/21 00:10

ふ、ふたりでよんまんななせんえん…。
それはペアで草津に行ける金額…。宿ではおいしい夕食も出る…。♪La decisione che non posso prendere〜。
タイトル読んで、巷にあるコーヒーショップの話題かと思ってしまい、申し訳ございませんでした。

投稿: あんき〜お | 2006/03/21 01:42

結婚記念日、おめでとうございました。
おいしいものを好きな方と食べることができるのって、
一番幸せなことだと思います。
これからも、一生毎年、ステキな記念日を過されますように。

投稿: ムーン・フェアリー・ヒロコ | 2006/03/21 07:50

うわぁ~すてきな結婚記念日~♫
憧れちゃう!
高級なレストランって緊張するけど、お料理以外の部分の演出も一流だもんね。
今年の記念日も思い出深いものになったことでしょう☆.。.:*・°
お料理のお話ごちそうさまでした~。

投稿: 猫 | 2006/03/21 23:51

>いをりさん

おかげさまで、素敵な結婚記念日でした。大園さん、まだ少しかたい感じがしたけれど、もうしばらくすれば、以前のような笑顔がもっと見られるようになることでしょう。

帰りに名刺をもらおうと思ったのですが、いまは彼の名前入りのお店の名刺がないそうで、「じゃ、もっとえらくなったらくださいね」といったら、横にいた支配人が「えらくはなりませんね」と... これは、いわゆるジョークなのか、それとも、ちょっとしたいじめ?(^^;)

ラ・ブランシュって、知らないや。シェフが行きたいというのですから、おいしいのだろうなぁ。

投稿: もあ | 2006/03/22 10:41

>あんき~おさん

ワインだけで15000円しますからねぇ。でも、それだけの価値はあると思いましたよ。ペアで草津も素敵だけど、めったに行かない(行けない)高級店で、めったに払わない(払えない)額の料理を食べるというのも、大切な経験だなと。

こういったお店で得られるものは、料理やサービスといった「お店が提供するもの」だけではないのだと思います。そこから「自分に蓄積されるもの」に価値があるんじゃないかなぁ。

投稿: もあ | 2006/03/22 10:47

>ヒロコさん

食事って、なにを食べるかも大切だけど、それ以上に、誰と食べるか、どこで食べるか、のほうが「食卓」に影響しますよね。

美味しいものを、楽しく食べたい。それに必要な分が稼げるなら、金持ちにならなくてもいいです。

楽しく生活したいから働いてるのであって、働くために生きてるわけじゃない。

あぁ、なんだかだめだな、最近。

投稿: もあ | 2006/03/22 10:52

>猫さん

うん、緊張したぁ。ホールに大園さんがいるって知っていなかったら、いかなかっただろうなぁ、こんな高級店(というほどでもないようだけど)。

なじみのスタッフがいるというのは、やはりいいものです。べつに特別なサービスとかしてくれなくていいけど、こちらの好みとかをほどよく把握してくれてたり、食事の合間にちょこちょこっとしゃべったり。

レストランでの食事って、ただ「料理を食べる」だけを目的にしちゃうと、もったいないよなと思うのよ、おいら。レストランでの食卓には、ひとつのテーブルにもドラマがあるけれど、そういったテーブルが集まったお店全体にもドラマがあるんじゃないかなぁと。せっかくレストランに来たのだから、そういったドラマに自分も身を投じたいなぁと。

逆に、そういったドラマをぶつ切りにしたり、筋の通らないドラマにしたり、ドラマそのものを崩壊させるようなサービスを提供するお店に入ってしまうと、激しく後悔します。ただ「美味しいもの」を食べるだけだったら、家で自分でつくったほうがいいな。

投稿: もあ | 2006/03/22 11:01

>もあさん。
あぁ私こういうお話をききたかったんですよ。
本当おっしゃるとおりだとおもいます。
レストランはご飯食べる場所だけど、お腹すいたから入るんじゃないです。
一緒にご飯食べる人との雰囲気をよくしたり、楽しくお話しするための自分達専用の小さな舞台なんです!
有名店ばかりじゃなくても、たまたま入ったレストランでスタッフ達の心遣いが気持よかったり、イスのすわり心地がゆったりとしてくつろげたりするとお料理もおいしく感じるし、話も弾みますものね♪

投稿: 猫 | 2006/03/23 10:46

もあさん、はじめましてアラと申します。コートドールの記事やイデアルの記事楽しく拝見させていただきました。唐突な質問で恐縮なのですが、大園さん、黒岩さんというのは西麻布にあったフランス料理店、ルテシアにいらした方でしょうか?というのは、2002年の事なのですが、妻の誕生日に西麻布のルテシアというフランス料理店で食事をし、大変美味しい料理とソムリエの方の素敵なサーブで、大感激の時間を過ごしたことがありまして、その時のソムリエの方が大園さんで、シェフの方が黒岩さんでした。(オーナーは直井さんというシェフの方でした)。本当にもう、妻が涙を流して感激したくらい素晴らしいお料理とサーブでした。で、後日、再度ルテシアで食事しようと予約しようとしたところ、すでに閉店してしまっていました。フレンドリーでありながらも適度な距離間で大変楽しく心地よい時を作っていただいた大園さんのサーブでもう一度食事をしたいと、ネット等でなにか情報はないかと探してみたのですが、何も情報は得られませんでした。ところが、今年も妻の誕生日の時期が近くなり、なんとなく「大園、ソムリエ」などで検索していたところ、もあさんのこの記事に遭遇した次第です。で、もし、ここに書かれている大園さんが、ルテシアにいらした大園さんなら、コート・ドールは少々お高いですが、行ってみたいと思いまして、コメントさせていただきました。突然でかつ長い書き込みになってしまい、申し訳ありません。

投稿: アラ | 2006/04/24 02:16

アラさん、こんにちは。

大園さんと黒岩さんがビストロ・イデアルの前にどこのお店で働いていたのか、残念ながら自分は知りません。黒岩さんはフランスのヴィヴァロワ、広尾のアラジンで働いていたと、以前のイデアルのウェブサイトには書いてありましたが。

ちなみにビストロ・イデアルのオープンは2003年7月だったそうですので、2002年にルテシアというお店にいた可能性も、なくはないと思います。

少し前のものですが、ビストロ・イデアル当時の写真が以下のところに残っているようです。
http://www.kaguramura.jp/shop/1065760848.html

いくぶん不細工に写ってるような気がしないでもないですが(笑)、左が大園さんで、右が黒岩さんです(真ん中は松ちゃんだ。懐かしいな。元気にしてるかしら)。いかがでしょうか。アラさんがご存じの大園さんだといいのだけど。

投稿: もあ | 2006/04/24 11:56

もあさんこんばんは、アラです。早速情報をいただきありがとうございます!二人で写真見ましたが、たぶんルテシアにいらした大園さんと黒岩さんだと思います!4年前、それもたった一度の記憶なので確信はもてませんが、雰囲気的には間違いないと思います。ちなみに、ルテシアでも赤ピーマンのババロアが絶品でした。そう数多くフランス料理を食べに行っているわけではありませんが、あれほど幸福な気持ちになったのは大園さん、黒岩さんのあのお店をおいて他にありません。イデアルというお店に行けなかったのが、ちょっと残念ですが、今度是非コート・ドールに行ってみます!(色んな意味でチョット頑張らないといけませんが・・・)
もあさん、貴重な情報をいただき本当にありがとうございました!スゴイ数のワインメモなど大変興味深いのでまたちょくちょく拝見させていただきます。
※ちなみに最近Primo Palatumというワインがお気に入りです。あと、松澤屋というワイン通販ショップが、品揃え豊富で毎月格安セールをやっているのでお奨めです。

http://www.grandvin.net/index.html

投稿: アラ | 2006/04/25 01:07

今日、お昼を食べにいったお店でラングルの中尾さんにたまたまあったので聞いてみたところ、イデアルにいた大園さんと黒岩さんは、ルテシアにいたおふたりで間違いないそうです。
こんなにもお客さんに愛されている支配人とシェフ。素敵だ。

投稿: もあ | 2006/05/12 14:40

もあさん、こんばんは。色々と情報をいただきありがとうございます。お蔭様で、先日ようやくコートドールに行ってまいりました。私もですが、父親が特に大園さんファンでしたので、親孝行のつもりで家族四人で行ってきました。
父は久々の再会に大喜びでした。大園さんはリラックスしてサービスしていらっしゃるかんじでしたよ。もあさんのことをお伝えしたら、どなたのことだか大園さんはちゃんとわかっていらっしゃるようで「ガッシリ握手をしたんですよ」と仰っていましたよ。
お料理はどれも美味しかったです。特にエイとキャベツが初めての味で、新鮮で美味しかったです!
あまり頻繁には行けませんが、ぜひまた行きたいと思いました。

投稿: ハム子 | 2006/07/24 23:41

ハム子さん、こんにちは。コート・ドールで楽しいひとときを過ごされたようで、よかったです。いろんな人に「また彼のサービスを受けたい」と慕われている大園さんって、やはりすごいな。

3月にコート・ドールでホワイトアスパラを食べたときは、思わず笑顔になってしまい、「おいしい!」などという言葉が口から出てくるまでにしばらく時間がかかってしまいました。また行きたいな。今度はランチに行ってみようかな。いっそうリラックスした大園さんが見られそうな気がするので。

投稿: もあ | 2006/07/25 17:16

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