乙女の祈りがネバーランド
映画『乙女の祈り (Heavenly Creatures)』を観ました。ずっと前に深夜に地上波で放映されたのをヴィデオに録ってあったもの。1950年代にニュージーランドで実際に起きた少女ふたりによる母親殺人事件を映画化したもの。
想像力と感受性が豊かなゆえに周囲に理解されない・受け入れられないと感じている女の子と、両親に愛されていない想像力と感受性が豊かな女の子が出会い、ふたりの想像力と感受性でつくりだした世界に埋没していく。そこに「現実」を持ち込もうとした母親を殺害する。穢れなく美しい二人の世界を守るために。というお話。想像世界にのめりこんでいくふたりの心理描写が非常に美しく、哀しく、おそろしいです。
その少女のうちのひとり、裕福だけど両親に愛されていない少女を演じているのがケイト・ウィンスレット。彼女の芝居がなんだかすごいです。気分の浮き沈みが激しい役柄ですが、とくに躁状態のときの無闇な明るさがおそろしい。両親の気をひくために、愛されるために、そうしなければならなかったのか、それがいつしか習慣になってしまったのかと思わされます。
また、もうひとりの陰気な空想少女を演じたメラニー・リンスキーもよかったですね。あの目、あの表情、いかにもこういう少女っていそうです。
映画のなかでは、ふたりの少女がつくりあげたヒロイック・ファンタジーの世界を実写として見られるパートがあります。また、ケイト演じるジュリエットのうちは裕福で、英国調の美しい庭があり(さすがニュージーランド)、そこをドレスを着て走り回るジュリエットといったシーンもあります。
こういった、ヨーロッパな風景の中にいるケイト・ウィンスレットは美しいですね。ジョニー・デップ主演の映画『ネバーランド』でも、イギリスの緑の中にいるケイトはエドワード・バーン・ジョーンズの絵画のように美しかった。
などということを思いながら観ていたら、『乙女の祈り』の夢見がちな少女は空想を膨らまして殺人を犯し服役したのち社会復帰して結婚したけど旦那は先に死んじゃって子供4人抱えて困っていたところにジェームズ・バリと出会い「ピーターパン」が生まれたけれど自分は病気で長く生きられず最終的には少女のときに見たものとは少しかたちは違うけれどやはり夢の世界である「ネバーランド」へと帰っていった... などというストーリーを思い浮かべてしまいました。
『乙女の祈り』と『ネバーランド』の物語を勝手にリンクさせてしまうとは、恐るべしケイト・ウィンスレット(←違うって)。
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