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2006/03/15

MARCO TURRIZIANI / BASTAVA CHE CI CAPISSIMO IO E I MIEI

Marco Turriziani(マルコ・トゥッリツィアーニ)についての詳しいことはわからないのだけど、生まれたのは1966年ころのようです。もともとはコントラバス奏者としてオーケストラと演奏していましたが、1990年代に入ってLatte e i Suoi Derivati(ラッテ・エ・イ・スォイ・デリヴァーティ)というポップス系のグループに参加、1998年ごろにグループが活動停止するまで在籍していたようです。

このアルバムは2005年の暮れにリリースされたソロ・デビュー作で、Marcoはヴォーカルとギターのほかにコントラバスも演奏しています。マンガ『ぼのぼの』に出てくるプレーリードッグくんのような、のほほんと平和な顔をした犬と、おそらくMarco本人だと思われる長髪の男性が、向き合うかたちで腹ばいになってうたた寝しているといった感じのシンプルな線画がとても気に入り、とくに情報等を調べずにいわゆる「ジャケ買い」したのですが、正解でした。

ジャケットから感じられるのとは少しタイプが違うような気はしますが、音楽にものんびりと平和な感じがあります。Marcoの演奏するコントラバスとアコースティック・ギターのほか、ピアノ、クラリネット、チェロといったアコースティックな楽器でバックが演奏され、やわらかで、あたたかで、おだやかに楽しい感じが漂います。

歌はフォーク・タッチなのだけど、演奏は古いヨーロッパのムード音楽やサロン・ミュージックといった印象で、ほんのりノスタルジックなロマンを感じます。そこに乗るMarcoの歌声も素朴で淡々としているのだけど、ときには少し力をこめてメリハリを出しています。彼、もう40歳くらいのはずなのですが、その歌声には感傷的な青臭さのようなものがときに感じられ、それがまた胸にしみます。この感じはFranco Simone(フランコ・シモーネ)などにも通じるかもしれません。また、曲によってはLucio Dalla(ルーチォ・ダッラ)のセンチメンタルをなんとなく思い出したり、Angelo Ruggiero(アンジェロ・ルッジェーロ)の哀しげな美しさを思い出したりもしました。

M1「Benedetto amore」はやわらかくて軽やかなフォーク・タッチのポップスで、アコースティック・ギター、アコーディオン、チェロ、クラリネットの音色がとても心地よく感じられます。メロディの感じが少しLucio Dallaに通じるように思います。前半ではおだやかに歌っていますが、サビではいくぶん声を張り上げ、力強さを出します。

M3「Nel nome del padre」のイントロで聴かれるピアノとチェロの演奏は、ロマンティックな月夜のよう。そこに詩の朗読のようにMarcoの声がのり、サビに向けて徐々に言葉にメロディがついていくといった流れも素敵です。サビ以降は素朴なメロディのフォーク・ロックになっていきます。

M4「Il mio cane ed io」はピアノとクラリネット、チェロなどの演奏が、古いヨーロッパのムード音楽を思わせる、ひなびたロマンを感じます。うらぶれたクラブでアルコールを片手に聴くのが似合いそうな前半から、ゆるやかなダンスを踊る人々の姿が思い浮かぶような後半へとつながる流れも素敵です。

M5「Il figlio che...」ではピアノとチェロの演奏にのって歌われるMarcoのめそめそした感じのヴォーカルがしみます。Franco Simoneを少し力強くするとこんなような感じになるかもしれません。

M8「L'ora delle luci magiche」には寂しげなロマンティシズムが漂います。ピアノ、チェロ、アコーディオンが奏でる、古いヨーロッパを感じさせる哀愁のメロディと、Marcoの歌声が、ヨーロッパの小さな町の石畳の夕暮れを思わせます。



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