ファントム・オブ・パラダイス
ひさしぶりにDVDでブライアン・デ・パルマ監督の『ファントム・オブ・パラダイス (Phantom of the Paradise)』を観ました。
これ、ずっと前、まだ中学生か高校生くらいのときにテレビで観たことがあるのだけど、あのときはぜんぜんおもしろいと思わなかった。しかし、ロック・ファンとしてそれなりの数の音楽を聴き、読書ファンとしてそれなりの数の本を読み、映画ファンとしてそれなりの数の映画を観てきたいま、あらためて観ると、いやぁ、なかなかよくできた映画ですね。
ベースはもちろん『オペラ座の怪人 (The Phantom of the Opera)』なのだけど、舞台をロックの殿堂「パラダイス」に移し、ロック・オペラとして再構築してあるのです。しかも、たんに舞台と音楽をロックに変えただけでなく、悪魔との契約という『ファウスト』的要素を組み込んであります。その契約内容には、自分は年をとらず「ビデオのなかの自分」だけが年をとるという『ドリアン・グレイの肖像』もあったりして、原作とはいろいろかけ離れているのですが、むかしは「成功と引き換えに悪魔に魂を売った」といわれたロック・スターがたくさんいたのです。T.Rexのマーク・ボランとかね。そんなことも織り込まれているのでしょうね。ついでにいうと、映画『サイコ』のパロディ・シーンなどもあったりして、きっとほかにもいろんな作品へのオマージュやパロディが盛り込まれてるのだろうな。自分は気づかなかったけど。
全編に流れる曲も、いかにもアメリカのロック・オペラ風でかっこいいです。Meat Loaf(『地獄のロック・ライダー』が有名ですね)とか思い出しちゃいます。パラダイスのオープニング公演で主役に抜擢された(そして舞台上でファントムに殺された)シンガーの名前がビーフっていうのは、Meat Loafからの連想だろうか? そして、そのステージは、きっとAlice CooperかLizzy Bordenのステージングとかがベースにあるのだろうな。
歌姫フェニックスが、歌声も容姿もそれほど魅力的に感じないというのはどうかと思いますが、無駄にゴージャスで猥雑感あふれる舞台やテンポのあるカット割り、クオリティの高い楽曲、『オペラ座の怪人』と『ドリアン・グレイの肖像』を混ぜ合わせたかのようなストーリー等、独特の魅力にあふれた映画です。90分程度と上映時間がコンパクトなのも好ましい。おもしろかった。
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