MATIA BAZAR / SEMPLICITA'
このころのMatia Bazar(マティア・バザール)というと、Antonella Ruggero(アントネッラ・ルッジェーロ)の縦横無尽なヴォーカルを活かした派手でちょっとエキセントリックなタイプの曲がどうしても印象に残ってしまいますが、もっとオーソドックスでやわらかい感じの曲もけっこう多くあります。この『Semplicita'』には、そういった、やわらかな哀愁と美しさをまとった曲が多いように思います。
M1「Tu semplicita'」では、アコースティック・ギターのぶんちゃっというコード・ストロークに、チューバかなにかのブン・ボンという低音が入り、1コーラスめは混声合唱でトラッド風。2コーラスめからソロ・ヴォーカルがメインになりMatia Bazarらしいポップスへと移り変わっていきます。
M3「Accipicchia che nostalgia」はやわらかなロックンロール風に始まりますが、オーケストラが加わると若草の香るような淡い明るさにあふれた、50'sや60'sのニュアンスもあるポップスになっていきます。
また、M4「Pero' che bello」ではおもちゃの国を思わせるトイ・ピアノの可愛らしい音色があったりする一方で、M8「Guarda un po'」では多少のテンションもまじえた小気味よいエレクトリック・ピアノのコード・ストロークがあったりと、Piero Cassano(ピエロ・カッサーノ)のしゃれたポップ・センスが要所で光っています。
全体に、Antonellaを前面に出した、というよりも、コーラスや男声・女声をさまざまに組み合わせ、使い分け、曲のなかでのヴォーカル・アンサンブル、そしてそういった曲の配置と組み合わせによるアルバム・トータルでのヴォーカル・アンサンブルにヴァリエーションを持たせたポップス作品といった印象を受けます。その一環?なのか、M7「Ancora un po' di te」ではドラマーのGiancarlo Golzi(ジァンカルロ・ゴルツィ)がメイン・ヴォーカルをとっているのですが、変なファルセットで歌っていて、歌わないほうがよかったんじゃないかというのが正直なところです(笑)。
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