FABRIZIO DE ANDRE' / RIMINI
エミリア・ロマーニャ(Emilia-Romagna)州のリミニ(Rimini)はアドリア海に面した有名なビーチ・リゾートで、夏にはイタリアやヨーロッパ各地からたくさんの観光客が訪れるそうですが、このアルバムもヨーロッパのビーチ・リゾートらしい、明るくておだやかな、そして開放感にあふれた感じがします。このころのFabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)はたしか、サルデーニャ島で半分隠遁生活のようなことをしていたのではなかったかと思いますが、地中海に浮かぶ島でのおだやかな生活も、このアルバムで聴けるおだやかさに影響しているのかもしれません。
全体に、素朴でフォーク・タッチな印象の強い作品です。タイトル曲であるM1「Rimini」を聴きながら、ジャケットやブックレットに掲載されたビーチなどの写真を眺めつつ、リミニの街って、いまもこんな雰囲気なのかなぁと想いを馳せるのもいとおかし。
M5「Tema di rimini」やM6「Avventura a durango」などものんびりした感じののどかなフォーク・ソングで(M5はアコースティック・ギターによるインストですが)、M6ではフィドルなども入り、とても心地よいです。このアルバムで共同作業をしているMassimo Bubola(マッシモ・ブボラ)の色がFabrizioの色と上手に混じり合っている気がします。Massimoだけだと、もう少し泥臭い感じになってしまいます。
M2「Volta la carta」はトラッド色のある軽快な曲で、明るさと哀愁が入り混じった感じです。ちょっと中世ヨーロッパの村祭りを思わせる(見たことないですが)風でもあります。M8「Zirichiltaggia」も軽快なアップ・テンポの曲で、疾走する?フィドルがカントリー・タッチです。
M9「Parlando del maufragio della london valour」では演奏にエレキ・ギター、ベース、ドラムスが入り、ロック風になるのですが、ヴォーカル・パート?はメロディのない歌詞の語りだけという、ちょっと変わった曲です。
どの曲もそれぞれに味わいがあり心地よいのですが、やはり印象に残るのはM1とM4「Andrea」、そしてM7「Sally」でしょうか。
M4で聴かれる、マンドリン風にトレモロで演奏されるアコースティック・ギターの響きには明るい太陽の光を感じます。のんびりとした南欧のビーチ・リゾートの雰囲気たっぷりです(行ったことありませんが)。
イントロのやわらかなメロディが印象的なM7も、人間味にあふれた歌声とほんのりとした哀愁が非常に心地よく、オーケストラとアコーディオンがおだやかな音楽に味わい深い雰囲気を与えています。
このアルバムのあとFabrizioは、Premiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ。PFM)に説得されて、ひさしぶりにコンサートを行ないます。そのときの録音が『In concerto』というタイトルで1979年にリリースされています(Vol.1とVol.2の2枚がリリースされています)。このライブではアルバム『Rimini』からの曲も多く演奏されていますが、PFMの巧みなアレンジとバック・アップにより、瑞々しくてよりメリハリの利いたものになっています。
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